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第68話 勝てるな
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俺、夜猫、如月。
3人で零番地区に降りる。
夜猫はクロシュ・マントを広げ、口元以外見せないようにし、如月は仮面(無骨な銀仮面)で顔を隠している。2人共容姿端麗且つ小柄なため、身を隠すのは正解だ。でないと性欲に脳みそを支配された連中に絡まれるからな。
俺は長袖砂色のコートと黒のグローブで義手を隠している。目立つことはない。
この中で一番零番地区を知っている俺が前を歩き、女子2人は後ろからついてくる。
「ねぇ、アンタ」
「……」
「アンタよ、アンタ! 仮面女!」
「は、はいぃ!?」
「全然喋らないけど何なの? 私、なんか変なことしたかしら?」
「い、いえ、そんなことはぁ……」
まるで圧迫面接だな。
夜猫に悪気はないんだろうが、如月はいちいち語調の強い夜猫が苦手そうだ。
「おい夜猫」
「気安く下の名前で呼ばないでくれる?」
「……朝比奈」
「それだとお姉ちゃんと区別がつかないじゃない」
「ならなんて呼べばいいんだ?」
「夜猫さん、でいいわよ」
「……ちなみにお前は俺をなんて呼ぶつもりだ?」
「志吹」
「じゃあこっちも夜猫でいいだろ!」
「はいはい、好きに呼びなさいな」
今の一連の会話無駄過ぎるだろ……。
「如月はそこまで気が強いわけじゃないんだ。もうちょい声量抑えて、言葉遣いを考えて喋れ」
「そんな大きな声出しているつもりないけど……」
夜猫は息をフーっと吐き、
「小雪」
小さな声で夜猫は話す。
「は、はい」
「アンタ……その、『カモボク』、好きなの?」
「え?」
「ほら、さっき! 童沼のお面被ってたでしょ!」
「ま、まさか夜猫さんも……!?」
カモボク……ああ、さっき如月が話していたBL作品か。
「もうめちゃくちゃ読んでるわよ! アニメ化する前からの古参ファン!」
「わ、私もです!」
「なに、アンタもBL好きなの?」
「もう大好物……じゃなくて、大好きですっ! や、夜猫さんも……お好きなんですね」
「どっちかって言うと『夢』寄りだけど、『腐』でもあるわね」
夢? 腐? なんだ? 全然話の意味がわからない。
「ねぇねぇ! アンタの本棚さ、ちょっと見せてくれない?」
「えぇ~……恥ずかしいなぁ」
「いいじゃん! 私も見せるからさ!」
BL……最近人気と聞くが、さすがにその世界は理解できそうにないな。
何はともあれ、意気投合したようで良かった。如月に女友達が出来たことは喜ぶべきことだ。飯塚に支配されていた時は、自由に友達を作ることすら許されなかっただろうしな。
「……!」
――今の音……。
微かにだが、銃声のような音が聞こえたような。
「亜蘭組が襲撃されたぞ!」
髭面の男性がそう叫びながら走ってくる。
足を引きずっていて、頬から血が流れている。ぱっと見、命に危険がある程の怪我ではない。
「逃げろ! 巻き込まれるぞ!!」
亜蘭組とはかなりのヤバい連中なのか、その名を聞いただけで零番地区の住民が全力疾走で去っていった。
戦闘音が近づいてくる。
「【望遠】を使う。如月、周囲の警戒を頼む」
「はい!」
「え? なに? 何が起きてるの?」
無詠唱で【望遠】を発動。人の限界を超えた視力を得る。同時に近距離は見えなくなるため如月に警戒を任せる。
500メートル先、戦闘している人影を発見。
黒服の集団が、多彩な武器を持った若者たちに圧倒されている。恐らくあの黒服の連中が亜蘭組だろう。年齢層が高く、体格がデカいからな。
若者――大体10代後半~20代後半の奴らが持っている武器は発光している。アレは…オーパーツだな。
「オーパーツを持った連中がヤクザを襲っている。同じオーパーツの姿も見える……多分、人工オーパーツだ!」
「アイツらか……!!」
俺の話を聞くやいなや夜猫が飛び出した。
「待て夜猫!」
まだ相手の戦力を把握できてないってのに!
「如月、銃は持ってきてるな?」
「バックパックに入ってます!」
「出しとけ。戦闘になる可能性が高い!」
「はい!」
まったく、世話の焼ける。
夜猫を追って戦場に行く。
「ヤクザ如きが調子に乗りやがってよぉ!!」
「だっはっは! もうお前らなんぞ怖くねぇぜ!」
一方的だ。一方的にヤクザたちが嬲られている。若者軍団は何やらヤクザたちに恨みを持っているようだが、それにしてもやり過ぎだ。
「見つけた……! あの時の連中だ!!」
夜猫はマントを伸ばし、剣使いを1人コンクリの建物に叩きつける。
「いって!?」
「ちっ! 誰だ!」
「ん? あのチビ、朝比奈妹じゃねぇか?」
「なんだよ! わざわざやられに来たのかよ!」
「アンタらだけは……! ――絶対にぶっ殺す!!」
夜猫はマントを地面にたたきつけ跳躍、不良たちに突撃する。
(剣使いが6、槍使いが2、銃使いが3、盾使いが4)
夜猫の戦いは力任せで無茶苦茶。こちらの援護なんて考えおらず、合わせるのは難しい。
俺はひとまず援護はせず、敵の能力を分析する。
如月も同様に『見』に徹する。
剣のオーパーツは斬撃を2メートル程飛ばすことができる。
槍は3メートル程柄を伸ばせるようだ。
銃は連射機能があるが、6発で10秒程のリロードに入る。
盾は直径3メートルまで拡張でき、さらにブースターがついていて5メートルほど高速で突進できる。
夜猫は……マントを伸ばして攻撃したり、広げて防御したりと、基本的なクロシュ・ハントの操作は出来るっぽいな。だが、マントを尖らせたり幾つも分割して攻撃したりといった多彩な動き・繊細な動きはできないようだ。クロシュ・ハントの真髄を引き出せていない。このままでは削り負けるな。
しかしコイツら……A級を落としたからどれだけやるかと思ったら大したことない。連携は雑、1人1人の動きも拙い。きっと、夕凪さんをやった時は別に『頭』が居たんだろうな。
見ていて腹が立ってくる。コイツらには一切『努力』の痕跡が見えない。オーパーツの性能はシンプルだが、俺の義手状態のオリジンよりかは使いようがある。なのに、全然……ぜんっぜん性能を引き出せていない!
(イライラすんなぁ……飯塚や美亜の方がまだオーパーツと向き合ってたぜ)
『選ばれなかった人間』だからか、オーパーツを適当に使われるとムカついてしまう。
戦力分析完了。対策は容易。
「よし、勝てるな。鎮圧する」
「了解です」
3人で零番地区に降りる。
夜猫はクロシュ・マントを広げ、口元以外見せないようにし、如月は仮面(無骨な銀仮面)で顔を隠している。2人共容姿端麗且つ小柄なため、身を隠すのは正解だ。でないと性欲に脳みそを支配された連中に絡まれるからな。
俺は長袖砂色のコートと黒のグローブで義手を隠している。目立つことはない。
この中で一番零番地区を知っている俺が前を歩き、女子2人は後ろからついてくる。
「ねぇ、アンタ」
「……」
「アンタよ、アンタ! 仮面女!」
「は、はいぃ!?」
「全然喋らないけど何なの? 私、なんか変なことしたかしら?」
「い、いえ、そんなことはぁ……」
まるで圧迫面接だな。
夜猫に悪気はないんだろうが、如月はいちいち語調の強い夜猫が苦手そうだ。
「おい夜猫」
「気安く下の名前で呼ばないでくれる?」
「……朝比奈」
「それだとお姉ちゃんと区別がつかないじゃない」
「ならなんて呼べばいいんだ?」
「夜猫さん、でいいわよ」
「……ちなみにお前は俺をなんて呼ぶつもりだ?」
「志吹」
「じゃあこっちも夜猫でいいだろ!」
「はいはい、好きに呼びなさいな」
今の一連の会話無駄過ぎるだろ……。
「如月はそこまで気が強いわけじゃないんだ。もうちょい声量抑えて、言葉遣いを考えて喋れ」
「そんな大きな声出しているつもりないけど……」
夜猫は息をフーっと吐き、
「小雪」
小さな声で夜猫は話す。
「は、はい」
「アンタ……その、『カモボク』、好きなの?」
「え?」
「ほら、さっき! 童沼のお面被ってたでしょ!」
「ま、まさか夜猫さんも……!?」
カモボク……ああ、さっき如月が話していたBL作品か。
「もうめちゃくちゃ読んでるわよ! アニメ化する前からの古参ファン!」
「わ、私もです!」
「なに、アンタもBL好きなの?」
「もう大好物……じゃなくて、大好きですっ! や、夜猫さんも……お好きなんですね」
「どっちかって言うと『夢』寄りだけど、『腐』でもあるわね」
夢? 腐? なんだ? 全然話の意味がわからない。
「ねぇねぇ! アンタの本棚さ、ちょっと見せてくれない?」
「えぇ~……恥ずかしいなぁ」
「いいじゃん! 私も見せるからさ!」
BL……最近人気と聞くが、さすがにその世界は理解できそうにないな。
何はともあれ、意気投合したようで良かった。如月に女友達が出来たことは喜ぶべきことだ。飯塚に支配されていた時は、自由に友達を作ることすら許されなかっただろうしな。
「……!」
――今の音……。
微かにだが、銃声のような音が聞こえたような。
「亜蘭組が襲撃されたぞ!」
髭面の男性がそう叫びながら走ってくる。
足を引きずっていて、頬から血が流れている。ぱっと見、命に危険がある程の怪我ではない。
「逃げろ! 巻き込まれるぞ!!」
亜蘭組とはかなりのヤバい連中なのか、その名を聞いただけで零番地区の住民が全力疾走で去っていった。
戦闘音が近づいてくる。
「【望遠】を使う。如月、周囲の警戒を頼む」
「はい!」
「え? なに? 何が起きてるの?」
無詠唱で【望遠】を発動。人の限界を超えた視力を得る。同時に近距離は見えなくなるため如月に警戒を任せる。
500メートル先、戦闘している人影を発見。
黒服の集団が、多彩な武器を持った若者たちに圧倒されている。恐らくあの黒服の連中が亜蘭組だろう。年齢層が高く、体格がデカいからな。
若者――大体10代後半~20代後半の奴らが持っている武器は発光している。アレは…オーパーツだな。
「オーパーツを持った連中がヤクザを襲っている。同じオーパーツの姿も見える……多分、人工オーパーツだ!」
「アイツらか……!!」
俺の話を聞くやいなや夜猫が飛び出した。
「待て夜猫!」
まだ相手の戦力を把握できてないってのに!
「如月、銃は持ってきてるな?」
「バックパックに入ってます!」
「出しとけ。戦闘になる可能性が高い!」
「はい!」
まったく、世話の焼ける。
夜猫を追って戦場に行く。
「ヤクザ如きが調子に乗りやがってよぉ!!」
「だっはっは! もうお前らなんぞ怖くねぇぜ!」
一方的だ。一方的にヤクザたちが嬲られている。若者軍団は何やらヤクザたちに恨みを持っているようだが、それにしてもやり過ぎだ。
「見つけた……! あの時の連中だ!!」
夜猫はマントを伸ばし、剣使いを1人コンクリの建物に叩きつける。
「いって!?」
「ちっ! 誰だ!」
「ん? あのチビ、朝比奈妹じゃねぇか?」
「なんだよ! わざわざやられに来たのかよ!」
「アンタらだけは……! ――絶対にぶっ殺す!!」
夜猫はマントを地面にたたきつけ跳躍、不良たちに突撃する。
(剣使いが6、槍使いが2、銃使いが3、盾使いが4)
夜猫の戦いは力任せで無茶苦茶。こちらの援護なんて考えおらず、合わせるのは難しい。
俺はひとまず援護はせず、敵の能力を分析する。
如月も同様に『見』に徹する。
剣のオーパーツは斬撃を2メートル程飛ばすことができる。
槍は3メートル程柄を伸ばせるようだ。
銃は連射機能があるが、6発で10秒程のリロードに入る。
盾は直径3メートルまで拡張でき、さらにブースターがついていて5メートルほど高速で突進できる。
夜猫は……マントを伸ばして攻撃したり、広げて防御したりと、基本的なクロシュ・ハントの操作は出来るっぽいな。だが、マントを尖らせたり幾つも分割して攻撃したりといった多彩な動き・繊細な動きはできないようだ。クロシュ・ハントの真髄を引き出せていない。このままでは削り負けるな。
しかしコイツら……A級を落としたからどれだけやるかと思ったら大したことない。連携は雑、1人1人の動きも拙い。きっと、夕凪さんをやった時は別に『頭』が居たんだろうな。
見ていて腹が立ってくる。コイツらには一切『努力』の痕跡が見えない。オーパーツの性能はシンプルだが、俺の義手状態のオリジンよりかは使いようがある。なのに、全然……ぜんっぜん性能を引き出せていない!
(イライラすんなぁ……飯塚や美亜の方がまだオーパーツと向き合ってたぜ)
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