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第23話 破格のハンデ
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「クズにクズと言われる筋合いはないな」
「はぁ? 俺のどこがクズなんだよ。目、腐ってんのか?」
飯塚は俺を押しのけ、如月の前まで歩み寄ってくる。
「小雪、元気そうだな」
「は、はい。体調はもう……」
「よし。じゃあ明日から復帰な」
「!」
コイツ……!
「いや、ですが、まだ安静するようにと先生から言われていて……」
「自分の体のことは自分が一番よくわかってんだろ? お前はどうなんだ? いけるの? いけないの? どっちだ?」
選択肢なんて無い。
飯塚は有無を言わせぬ視線を如月に送っている。如月は体を震わせながら、口をパクパクと動かす。
「い、いけ、いけます」
「そうか。ならいいんだ」
「……ふざけんなよ」
つい、俺は口を挟む。
もう我慢ができなかった。
「あぁ?」
「誰のせいで如月が入院していると思ってんだ! テメェの身勝手な行動のせいだろ! サポーターを置いて、無様に尻尾撒いて逃げ帰ったテメェが! 如月が退院する日を勝手に決めるな!!」
俺は立ち上がり、断固抗議する。
まだ万全ではない如月を――いや、たとえ万全だったとしても、如月を飯塚と一緒に迷宮に行かせるなんて我慢できないっ!!
「なに良い子ちゃんぶってんだ盗撮犯が!」
「盗撮? 何言ってんだお前……」
「美亜から聞いたぞ。テメェ、美亜のエロ写真撮って美亜のこと脅してたんだってな!」
「そんなこと――」
「葉村さんはそんなことしません!」
俺の言葉を遮り、如月がそう主張した。
如月は顔を青くする。飯塚が強く睨んできたからだ。
――飯塚が、如月の髪を掴み上げた。
「いつからテメェ、俺に口出しできる立場になったんだ!?」
「つぅっ!?」
「やめろ!!」
俺は義手で飯塚の右腕を掴む。指が肌に食い込むぐらいの強さで――
「いってぇな!」
飯塚は如月を手放し、俺の方に体を向ける。
「小雪は俺が買ったんだよ! 俺が俺の所有物に何しようが勝手だろうが!!」
「どうしようもねぇなテメェは……!」
「あぁん? やんのか」
もう我慢できない。
コイツ、二度とデカい顔できないよう徹底的にぶっ潰してやる……!
「は~い。お2人さんそこまで~」
一触即発の空気を断ち切ったのは、アビスの軽快な声だった。
「アビス!?」
「いやぁ、念のため様子見に来て大正解。面白くなってるじゃない」
「唯我阿弥数……! なんか用かよ!」
「用だよ~。ほらお見舞い」
アビスはフルーツの盛り合わせ(俺のと違って超高級そうなやつ)を見せる。
「何しに来やがった!!」
「3日振りだね如月ちゃん。もう平気?」
「は、はい」
「そりゃよかった」
「おいコラ、スルーしてんじゃねぇよ!!」
飯塚がアビスの背後から左の肘うちを繰り出す。アビスの後頭部に当たる軌道だ。
アビスは飯塚の方を見もせず、左の肘で飯塚の肘を受けた。
「くっ!?」
「……やめときなよ。格が違うってわからないかい?」
アビスが気迫で飯塚を後ずさせる。
「ここは病院だ。手荒なことはやめよう」
「く……! この小娘……!」
「なはは、小物感満載のセリフありがとう。それにしても飯塚君と会えて良かったよ。君に渡したいモノがあったんだ」
アビスは封筒を飯塚に渡す。
飯塚は封筒を不気味に思いつつも封を切り、中の紙に目を通す。
「なっ!!?」
飯塚は紙に書かれた文章を見て、目をぎょっと開いた。
「……おい、アレ、何が書いてあるんだ」
アビスに耳打ちで聞く。
「あれは告発状だよ。この前の1件のね」
「あの赤眼のミノタウロスの時の?」
「そう。飯塚敦がサポーターを置いて逃げたことが書いてある」
「テメェ、まさか……これをギルド協会に提出する気か!?」
アレが受理されれば、飯塚は最悪シーカーのランクを下げられるかもな。
「は、はは! 無駄だぜ。俺と小雪で口裏を合わせれば、こんなの握りつぶせる! それに神理会もギルド協会もシーカー至上主義だ! サポーターを置いて逃げたぐらいでとやかく言いはしない!」
「だろうね。でもさ、そもそも僕はそれをギルド協会に提出するとは言ってないよ。僕はそれをメディアに公開しようと思っている」
飯塚の顔が青ざめる。
アビスはメディアに顔が利く。そのアビスがアレを公開すれば飯塚の評判はガタ落ち。ギルドの立場もまずくなる。
「せ、せこいぞ……この野郎……」
「安心しなよ。ちゃんと救済案はある。飯塚君、僕は君のギルド、フェンリルにギルドデュエルを申し込む」
「えぇっ!?」
「なんだと!!?」
「……」
いいよね? とアビスが視線を送ってくる。
1度は止めたが、もう止めはしない。コイツは誰かが倒さないとダメだ。
「このギルドデュエルを受けてくれれば告発状は取り下げよう。デュエルで僕達が勝ったら君と如月ちゃんの間に結ばれた契約を全て撤廃し、如月ちゃんを僕のギルドに移籍させてほしい。君達が勝ったら……そうだな、大量のギルドポイントをあげるし、ついでに葉村君もあげるよ」
「人をついでにあげるな!」
で、でも関係ないか。
デュエルでオッドキャットがフェンリルに負けるはずがないのだから。
「そんなの……賭けになってねぇだろ。俺達が、オッドキャットに勝てるはずがねぇ」
さすがの自分酔い男も互いのギルドの実力差は把握しているようだ。
「もちろん。ハンデはあげるさ」
アビスは俺を一瞥した後、飯塚に視線を戻す。
「こちらは、サポーターしか出さない」
―――――――
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「はぁ? 俺のどこがクズなんだよ。目、腐ってんのか?」
飯塚は俺を押しのけ、如月の前まで歩み寄ってくる。
「小雪、元気そうだな」
「は、はい。体調はもう……」
「よし。じゃあ明日から復帰な」
「!」
コイツ……!
「いや、ですが、まだ安静するようにと先生から言われていて……」
「自分の体のことは自分が一番よくわかってんだろ? お前はどうなんだ? いけるの? いけないの? どっちだ?」
選択肢なんて無い。
飯塚は有無を言わせぬ視線を如月に送っている。如月は体を震わせながら、口をパクパクと動かす。
「い、いけ、いけます」
「そうか。ならいいんだ」
「……ふざけんなよ」
つい、俺は口を挟む。
もう我慢ができなかった。
「あぁ?」
「誰のせいで如月が入院していると思ってんだ! テメェの身勝手な行動のせいだろ! サポーターを置いて、無様に尻尾撒いて逃げ帰ったテメェが! 如月が退院する日を勝手に決めるな!!」
俺は立ち上がり、断固抗議する。
まだ万全ではない如月を――いや、たとえ万全だったとしても、如月を飯塚と一緒に迷宮に行かせるなんて我慢できないっ!!
「なに良い子ちゃんぶってんだ盗撮犯が!」
「盗撮? 何言ってんだお前……」
「美亜から聞いたぞ。テメェ、美亜のエロ写真撮って美亜のこと脅してたんだってな!」
「そんなこと――」
「葉村さんはそんなことしません!」
俺の言葉を遮り、如月がそう主張した。
如月は顔を青くする。飯塚が強く睨んできたからだ。
――飯塚が、如月の髪を掴み上げた。
「いつからテメェ、俺に口出しできる立場になったんだ!?」
「つぅっ!?」
「やめろ!!」
俺は義手で飯塚の右腕を掴む。指が肌に食い込むぐらいの強さで――
「いってぇな!」
飯塚は如月を手放し、俺の方に体を向ける。
「小雪は俺が買ったんだよ! 俺が俺の所有物に何しようが勝手だろうが!!」
「どうしようもねぇなテメェは……!」
「あぁん? やんのか」
もう我慢できない。
コイツ、二度とデカい顔できないよう徹底的にぶっ潰してやる……!
「は~い。お2人さんそこまで~」
一触即発の空気を断ち切ったのは、アビスの軽快な声だった。
「アビス!?」
「いやぁ、念のため様子見に来て大正解。面白くなってるじゃない」
「唯我阿弥数……! なんか用かよ!」
「用だよ~。ほらお見舞い」
アビスはフルーツの盛り合わせ(俺のと違って超高級そうなやつ)を見せる。
「何しに来やがった!!」
「3日振りだね如月ちゃん。もう平気?」
「は、はい」
「そりゃよかった」
「おいコラ、スルーしてんじゃねぇよ!!」
飯塚がアビスの背後から左の肘うちを繰り出す。アビスの後頭部に当たる軌道だ。
アビスは飯塚の方を見もせず、左の肘で飯塚の肘を受けた。
「くっ!?」
「……やめときなよ。格が違うってわからないかい?」
アビスが気迫で飯塚を後ずさせる。
「ここは病院だ。手荒なことはやめよう」
「く……! この小娘……!」
「なはは、小物感満載のセリフありがとう。それにしても飯塚君と会えて良かったよ。君に渡したいモノがあったんだ」
アビスは封筒を飯塚に渡す。
飯塚は封筒を不気味に思いつつも封を切り、中の紙に目を通す。
「なっ!!?」
飯塚は紙に書かれた文章を見て、目をぎょっと開いた。
「……おい、アレ、何が書いてあるんだ」
アビスに耳打ちで聞く。
「あれは告発状だよ。この前の1件のね」
「あの赤眼のミノタウロスの時の?」
「そう。飯塚敦がサポーターを置いて逃げたことが書いてある」
「テメェ、まさか……これをギルド協会に提出する気か!?」
アレが受理されれば、飯塚は最悪シーカーのランクを下げられるかもな。
「は、はは! 無駄だぜ。俺と小雪で口裏を合わせれば、こんなの握りつぶせる! それに神理会もギルド協会もシーカー至上主義だ! サポーターを置いて逃げたぐらいでとやかく言いはしない!」
「だろうね。でもさ、そもそも僕はそれをギルド協会に提出するとは言ってないよ。僕はそれをメディアに公開しようと思っている」
飯塚の顔が青ざめる。
アビスはメディアに顔が利く。そのアビスがアレを公開すれば飯塚の評判はガタ落ち。ギルドの立場もまずくなる。
「せ、せこいぞ……この野郎……」
「安心しなよ。ちゃんと救済案はある。飯塚君、僕は君のギルド、フェンリルにギルドデュエルを申し込む」
「えぇっ!?」
「なんだと!!?」
「……」
いいよね? とアビスが視線を送ってくる。
1度は止めたが、もう止めはしない。コイツは誰かが倒さないとダメだ。
「このギルドデュエルを受けてくれれば告発状は取り下げよう。デュエルで僕達が勝ったら君と如月ちゃんの間に結ばれた契約を全て撤廃し、如月ちゃんを僕のギルドに移籍させてほしい。君達が勝ったら……そうだな、大量のギルドポイントをあげるし、ついでに葉村君もあげるよ」
「人をついでにあげるな!」
で、でも関係ないか。
デュエルでオッドキャットがフェンリルに負けるはずがないのだから。
「そんなの……賭けになってねぇだろ。俺達が、オッドキャットに勝てるはずがねぇ」
さすがの自分酔い男も互いのギルドの実力差は把握しているようだ。
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