35 / 77
第35話 2対2
しおりを挟む
廃墟はどれも背が高く、大体7階ぐらいはある。
屋上から見下ろせば目立つが、5~6階の窓からそっと覗く程度ならばまず地上を歩いている人間にはこっちの位置はバレないだろう。
俺と一色さんは12階建て廃墟の9階から辺りを見渡す。俺は【望遠】を使い視力を強化させ、一色さんは持ち込んでいた望遠鏡で索敵する。
「相手が隠れている可能性は?」
「ないですね。堂々と道路の真ん中を歩いていると思います」
アイツらは俺達を舐め腐っているからな。
「ホントだ」
一色さんが肩をツンツンと指先で叩いてくる。
一色さんが見ている方を見ると、飯塚と美亜が並んで道路の真ん中を歩いてた。
「馬鹿なの?」
「馬鹿ですよ」
もしも普通の相手なら罠かどうか疑うが、アイツらの場合、罠である可能性はまずない。
「不意打ちならまとめて潰せる」
「そうですね。【拘束釘弾】で相手を束縛し、俺が【幻影自在陣】で叩きます」
「うん。それで行こう」
奴らは足を止め、各々持ってきていたバッグを開きだした。
「今です」
俺と一色さんは気配を消しつつ、足音も鳴らさずに階段を駆け下り、物陰を移動して2人の背中から15メートルの位置を取る。
ここなら詠唱の声が聞こえず、【拘束釘弾】も届く。
「?」
俺は2人の服に違和感を抱いた。
2人は見たことのない毛皮のマントを羽織っている。スタート前には羽織ってなかったモノだ。さっき上から見た時には着てなかったから、俺達が降りてくる間に羽織ったのだろう。さっきバッグを開いて取り出していたのはアレか。
どこか――異質なモノを感じる。
「一色さ――」
「【拘束釘弾】」
俺がマントについて言うより先に、一色さんが魔法を放つ。
黒い楔が12本放たれる。それぞれ6本ずつ、飯塚と美亜に向かっていくが――
ガキン! と楔はマントに弾かれた。
「なに……!」
「おっと、釣れたか」
飯塚と美亜はしたり顔で振り向く。
俺は今のマントの反応で、マントの素材を理解した。
「魔物からのドロップアイテムで編んだマントか!」
「そうよ。アンズーの毛皮で作ったの」
アンズー。獅子の顔をした鷲の魔物だ。その毛皮は加工しやすいことで有名だ。
アンズーの皮は特殊な性質を持っていて、オーパーツには滅法弱いが魔法には強い耐性がある。
「侮り過ぎたみたいだね」
「すみません……」
「私も油断した。あんな簡単な対策に気づかないなんて……」
さすがにちょっとは作戦を練ってきたようだな。
「ははは! 馬鹿丸出しならテメェら!!」
クソ。飯塚に言われるとマジで腹立つぜ……!
「敦君。ここは各個撃破といきましょう。元々単独で動く予定だったわけだし、2対2は望む所じゃないでしょ?」
美亜は飯塚とのコンビネーションの悪さを自覚しているんだろうな。
「前は団体行動派じゃ無かったか?」
「3対1は分が悪いと思ってただけ。1対1なら余裕」
「俺はなんでも構わねぇ! あのクソ腕サポーターさえ貰えればなぁ!!」
「……仕方ないわね」
美亜は多分、俺と戦いたかったんだろうが、飯塚に真っ向から逆らうわけにもいかず引いたようだ。
「じゃ、私はあっちの女ね」
一色さんがこっちに目線を向けてくる。
「私はあっちの案に乗りたい。成瀬美亜……あの女には個人的に多大な恨みがある……!」
ゴゴゴ……! と効果音が聞こえるぐらいの威圧! 一体美亜に何をされたんだ?
「でもせっかくアレだけコンビの練習をしたのに……」
「……」
無言の圧が飛んでくる。
「わ、わかりました。1対1に持ち込みましょう」
なるべく仲間同士固まる方針だったが、まぁいいだろう。
「はっはぁ! じゃあ始めるぜェ!!」
飯塚が地面を蹴り砕き、俺に接近してくる。
「喰らいな! 俺の必殺……グレートアックス!!」
飯塚はオーパーツの斧を巨大化させ、振り回す。俺はそれを義手で受け、遥か後方に吹っ飛ぶ。
「ホームラン! だけどまだ終わりじゃねぇぜ!!」
飯塚は大きく吹っ飛んだ俺を追いかけてくる。
俺は地面に両足で着地、追い打ちにきた飯塚に向かって走る。
「なっ!?」
飯塚は俺が涼しい顔で着地したことに驚いた感じだ。
俺は義手を突き出す。飯塚は斧で受けるも、後ずさる。
「テメェ……!」
「さっきの1撃はわざと受けたんだよ。あの場から離れるためにな」
飯塚との1対1……負ける要因が見当たらない。
「覚悟しろ飯塚……さっき言った通り、完膚なきまでに、一方的に潰させてもらう。戦いにはならないだろう。これから始まるのはただの『処刑』だ」
飯塚は額の血管を浮き上がらせる。
「ほんっっっっっとうにムカつく野郎だな。その残った腕もぶった切ってやらぁ!!」
―――――――
面白かったらお気に入り登録&ハートの付与お願いします!
屋上から見下ろせば目立つが、5~6階の窓からそっと覗く程度ならばまず地上を歩いている人間にはこっちの位置はバレないだろう。
俺と一色さんは12階建て廃墟の9階から辺りを見渡す。俺は【望遠】を使い視力を強化させ、一色さんは持ち込んでいた望遠鏡で索敵する。
「相手が隠れている可能性は?」
「ないですね。堂々と道路の真ん中を歩いていると思います」
アイツらは俺達を舐め腐っているからな。
「ホントだ」
一色さんが肩をツンツンと指先で叩いてくる。
一色さんが見ている方を見ると、飯塚と美亜が並んで道路の真ん中を歩いてた。
「馬鹿なの?」
「馬鹿ですよ」
もしも普通の相手なら罠かどうか疑うが、アイツらの場合、罠である可能性はまずない。
「不意打ちならまとめて潰せる」
「そうですね。【拘束釘弾】で相手を束縛し、俺が【幻影自在陣】で叩きます」
「うん。それで行こう」
奴らは足を止め、各々持ってきていたバッグを開きだした。
「今です」
俺と一色さんは気配を消しつつ、足音も鳴らさずに階段を駆け下り、物陰を移動して2人の背中から15メートルの位置を取る。
ここなら詠唱の声が聞こえず、【拘束釘弾】も届く。
「?」
俺は2人の服に違和感を抱いた。
2人は見たことのない毛皮のマントを羽織っている。スタート前には羽織ってなかったモノだ。さっき上から見た時には着てなかったから、俺達が降りてくる間に羽織ったのだろう。さっきバッグを開いて取り出していたのはアレか。
どこか――異質なモノを感じる。
「一色さ――」
「【拘束釘弾】」
俺がマントについて言うより先に、一色さんが魔法を放つ。
黒い楔が12本放たれる。それぞれ6本ずつ、飯塚と美亜に向かっていくが――
ガキン! と楔はマントに弾かれた。
「なに……!」
「おっと、釣れたか」
飯塚と美亜はしたり顔で振り向く。
俺は今のマントの反応で、マントの素材を理解した。
「魔物からのドロップアイテムで編んだマントか!」
「そうよ。アンズーの毛皮で作ったの」
アンズー。獅子の顔をした鷲の魔物だ。その毛皮は加工しやすいことで有名だ。
アンズーの皮は特殊な性質を持っていて、オーパーツには滅法弱いが魔法には強い耐性がある。
「侮り過ぎたみたいだね」
「すみません……」
「私も油断した。あんな簡単な対策に気づかないなんて……」
さすがにちょっとは作戦を練ってきたようだな。
「ははは! 馬鹿丸出しならテメェら!!」
クソ。飯塚に言われるとマジで腹立つぜ……!
「敦君。ここは各個撃破といきましょう。元々単独で動く予定だったわけだし、2対2は望む所じゃないでしょ?」
美亜は飯塚とのコンビネーションの悪さを自覚しているんだろうな。
「前は団体行動派じゃ無かったか?」
「3対1は分が悪いと思ってただけ。1対1なら余裕」
「俺はなんでも構わねぇ! あのクソ腕サポーターさえ貰えればなぁ!!」
「……仕方ないわね」
美亜は多分、俺と戦いたかったんだろうが、飯塚に真っ向から逆らうわけにもいかず引いたようだ。
「じゃ、私はあっちの女ね」
一色さんがこっちに目線を向けてくる。
「私はあっちの案に乗りたい。成瀬美亜……あの女には個人的に多大な恨みがある……!」
ゴゴゴ……! と効果音が聞こえるぐらいの威圧! 一体美亜に何をされたんだ?
「でもせっかくアレだけコンビの練習をしたのに……」
「……」
無言の圧が飛んでくる。
「わ、わかりました。1対1に持ち込みましょう」
なるべく仲間同士固まる方針だったが、まぁいいだろう。
「はっはぁ! じゃあ始めるぜェ!!」
飯塚が地面を蹴り砕き、俺に接近してくる。
「喰らいな! 俺の必殺……グレートアックス!!」
飯塚はオーパーツの斧を巨大化させ、振り回す。俺はそれを義手で受け、遥か後方に吹っ飛ぶ。
「ホームラン! だけどまだ終わりじゃねぇぜ!!」
飯塚は大きく吹っ飛んだ俺を追いかけてくる。
俺は地面に両足で着地、追い打ちにきた飯塚に向かって走る。
「なっ!?」
飯塚は俺が涼しい顔で着地したことに驚いた感じだ。
俺は義手を突き出す。飯塚は斧で受けるも、後ずさる。
「テメェ……!」
「さっきの1撃はわざと受けたんだよ。あの場から離れるためにな」
飯塚との1対1……負ける要因が見当たらない。
「覚悟しろ飯塚……さっき言った通り、完膚なきまでに、一方的に潰させてもらう。戦いにはならないだろう。これから始まるのはただの『処刑』だ」
飯塚は額の血管を浮き上がらせる。
「ほんっっっっっとうにムカつく野郎だな。その残った腕もぶった切ってやらぁ!!」
―――――――
面白かったらお気に入り登録&ハートの付与お願いします!
73
あなたにおすすめの小説
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!
IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。
無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。
一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。
甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。
しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--
これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話
複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~
山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。
与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。
そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。
「──誰か、養ってくれない?」
この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる