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第34話 数原vs???
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一方、葉村と一色とは遠い位置(距離約3km)に転送された数原は、気性の粗さとは裏腹に呼吸を殺して、静かに、冷静に、建物の影から影へ移動していた。
(成瀬も飯塚も真正面からやり合えばキツい。男らしくはねぇが不意打ちで潰すのが大吉だな)
先に敵を発見し、渾身の1撃にて敵を死角から潰す。
数原は魔法と武術を組み合わせることでサポーターにしては高い攻撃力を持っている。いくらシーカーと言えど、無防備に数原の攻撃を受ければタダではすまないだろう。不意打ちが決まればまず倒せる。
デュエル開始から10分。
数原は数十メートル先に道の真ん中を歩く人影を発見する。
(アイツは……)
糸目の銀髪男、ウルだ。
(この距離、この位置、やれる!)
数原はウルの背後の建物、その2階の窓際に行く。
「……【鋼拳】、【風靴】」
拳を鋼のように硬くする魔法、【鋼拳】と空中ジャンプを可能にする【風靴】を発動。
窓の縁を足場に、ウルの背中目掛けて飛ぶ。空中を2度蹴り加速し、鋼の拳を振りかぶる。
「!?」
数原は確かにウルの背中を目掛けて飛んでいた。
なのに、気づいたらウルの姿が目の前から消えていた。
「おやおや、ついてきていたのはあなたでしたか」
声が聞こえたのは、背後。
数原は空中を蹴り、前に飛びながら体を反転させる。
「……なんだと!」
前に居たはずのウルは、自分の背後にいた。
数原はコンクリートの地面に着地し、ウルを観察する。
(間違いなくオーパーツの力だ! 瞬間移動系だとしたら厄介だな! しかし、奴の装備品でオーパーツっぽいのが見当たらねぇ!)
ウルは手ぶらだ。剣や槍などは持っていない。
腰に掛けたポーチ、あるいは靴、あるいは右手にだけ嵌められた赤いグローブ、あるいは外套……あるいは服の中に隠しているのか。オーパーツがどれなのか見当もつかない。
「数原凛空。肉体強化系の魔法と治癒系魔法を使えるサポーター。サポーターとしては珍しく単体で戦える。パートナーのシーカーはA級上位のユン=キョウ」
数原は眉をひそめる。
(コイツ、俺のことを調べてやがる。いや、俺だけじゃなく、多分冴や志吹のことも……)
「どうしますかねぇ、この戦い……負けても勝ってもおいしいのですが……わざと負ける、というのは些か面倒だ。あの義手の青年のことも気になりますし。うん、とりあえずあなたにはここで消えてもらいましょう」
「はっ! 1度背後を取ったぐらいで良い気になるなよ!」
数原は右手を前に出す。
「【紅蓮弾】!!」
数原は右手の前に火炎の球を作り、それを鷲掴みにして――
「オラァ!」
ぶん投げる。
火炎の球は時速300kmを超える速度でウルに迫る。
ウルは、赤いグローブを嵌めた右手を前に出し、その手のひらで火炎の球を受ける。
――パァン!
数原が放った【紅蓮弾】はグローブに当たった瞬間、反射し、数原の元へ戻っていく。
「なに!?」
数原は屈んで【紅蓮弾】を避ける。【紅蓮弾】は数原の背後にある電柱に激突し、へし折る。
(魔法の反射……コイツの能力は瞬間移動じゃねぇのか!?)
屈んだ数原の目の前に、ウルは一瞬で移動する。
(クソ! わけわかんねぇ!!)
ウルは右手を突き出し、その手のひらで数原の顔面に撫でるように触れる。
すると数原は高速でぶっ飛び、廃墟の壁に激突した。
「かはっ!?」
壁を突き破り、廃墟の中に突っ込んだ数原。廃墟の中の床を転がっている数原に追いつき、ウルは数原の顔面を踏みつけ床に叩きつける。轟音を上げ、数原は床にめり込む。
「終わり、ですね」
ウルは物言わぬ数原に背を向け、立ち去ろうとするが、
「ははは……オーケー。そういうことね」
数原の笑い声を聞き、ウルは足を止める。
「……その右手のグローブがオーパーツか。能力は、グローブで触れた物体をぶっ飛ばす、ってところかな?」
数原は鼻血をフンと噴き、立ち上がる。
「ええ正解です。正確にはグローブの手のひらの部分で触れた対象を飛ばす能力です。オーパーツの名は“スキップハンド”」
「あの瞬間移動は自分にグローブで触れてぶっ飛ばし、やっていたわけか」
ウルは「ははっ!」と笑う。
「それにしても驚いた。サポーターの身で今の攻撃を受け、まだ意識があるとはね」
「そこらの奴と一緒にするなよ。タフさだけならシーカーを凌ぐぜ俺は」
と強がってはいるが、数原の体は大きなダメージを負っている。
(勝てねぇな。志吹は3人目はB級だろうって言ってたが……コイツ本当にB級か? オーパーツの能力もその使い方も、体術、勘の鋭さも全てA級並みだぞ。メテオストレートもあのオーパーツには簡単に弾かれそうだ)
数原は拳をグッと握る。
(俺にできることは……)
数原は己のすべきことを自覚し、覚悟を決める。
「【眩光弾】!!」
「!?」
数原は光の球を出し、上に投げる。
光の球は弾け、辺りを眩い光で包む。
「くっ!」
ウルは腕で両目を塞ぐ。
「【万迦快煙】!!」
数原は足元に魔法陣を展開。魔法陣から緑の煙が噴き出し、数原の傷口に流れ込み傷を癒す。
「【風靴】!」
数原は廃墟の外に飛び出し、空中を蹴って加速する。
廃墟を飛び出した数原の背中を目で追い、ウルは数原の能力を再評価する。
「目くらましに回復、機動強化。なるほど……確かにこれを倒しきるには時間がかかるな」
―――――――
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(成瀬も飯塚も真正面からやり合えばキツい。男らしくはねぇが不意打ちで潰すのが大吉だな)
先に敵を発見し、渾身の1撃にて敵を死角から潰す。
数原は魔法と武術を組み合わせることでサポーターにしては高い攻撃力を持っている。いくらシーカーと言えど、無防備に数原の攻撃を受ければタダではすまないだろう。不意打ちが決まればまず倒せる。
デュエル開始から10分。
数原は数十メートル先に道の真ん中を歩く人影を発見する。
(アイツは……)
糸目の銀髪男、ウルだ。
(この距離、この位置、やれる!)
数原はウルの背後の建物、その2階の窓際に行く。
「……【鋼拳】、【風靴】」
拳を鋼のように硬くする魔法、【鋼拳】と空中ジャンプを可能にする【風靴】を発動。
窓の縁を足場に、ウルの背中目掛けて飛ぶ。空中を2度蹴り加速し、鋼の拳を振りかぶる。
「!?」
数原は確かにウルの背中を目掛けて飛んでいた。
なのに、気づいたらウルの姿が目の前から消えていた。
「おやおや、ついてきていたのはあなたでしたか」
声が聞こえたのは、背後。
数原は空中を蹴り、前に飛びながら体を反転させる。
「……なんだと!」
前に居たはずのウルは、自分の背後にいた。
数原はコンクリートの地面に着地し、ウルを観察する。
(間違いなくオーパーツの力だ! 瞬間移動系だとしたら厄介だな! しかし、奴の装備品でオーパーツっぽいのが見当たらねぇ!)
ウルは手ぶらだ。剣や槍などは持っていない。
腰に掛けたポーチ、あるいは靴、あるいは右手にだけ嵌められた赤いグローブ、あるいは外套……あるいは服の中に隠しているのか。オーパーツがどれなのか見当もつかない。
「数原凛空。肉体強化系の魔法と治癒系魔法を使えるサポーター。サポーターとしては珍しく単体で戦える。パートナーのシーカーはA級上位のユン=キョウ」
数原は眉をひそめる。
(コイツ、俺のことを調べてやがる。いや、俺だけじゃなく、多分冴や志吹のことも……)
「どうしますかねぇ、この戦い……負けても勝ってもおいしいのですが……わざと負ける、というのは些か面倒だ。あの義手の青年のことも気になりますし。うん、とりあえずあなたにはここで消えてもらいましょう」
「はっ! 1度背後を取ったぐらいで良い気になるなよ!」
数原は右手を前に出す。
「【紅蓮弾】!!」
数原は右手の前に火炎の球を作り、それを鷲掴みにして――
「オラァ!」
ぶん投げる。
火炎の球は時速300kmを超える速度でウルに迫る。
ウルは、赤いグローブを嵌めた右手を前に出し、その手のひらで火炎の球を受ける。
――パァン!
数原が放った【紅蓮弾】はグローブに当たった瞬間、反射し、数原の元へ戻っていく。
「なに!?」
数原は屈んで【紅蓮弾】を避ける。【紅蓮弾】は数原の背後にある電柱に激突し、へし折る。
(魔法の反射……コイツの能力は瞬間移動じゃねぇのか!?)
屈んだ数原の目の前に、ウルは一瞬で移動する。
(クソ! わけわかんねぇ!!)
ウルは右手を突き出し、その手のひらで数原の顔面に撫でるように触れる。
すると数原は高速でぶっ飛び、廃墟の壁に激突した。
「かはっ!?」
壁を突き破り、廃墟の中に突っ込んだ数原。廃墟の中の床を転がっている数原に追いつき、ウルは数原の顔面を踏みつけ床に叩きつける。轟音を上げ、数原は床にめり込む。
「終わり、ですね」
ウルは物言わぬ数原に背を向け、立ち去ろうとするが、
「ははは……オーケー。そういうことね」
数原の笑い声を聞き、ウルは足を止める。
「……その右手のグローブがオーパーツか。能力は、グローブで触れた物体をぶっ飛ばす、ってところかな?」
数原は鼻血をフンと噴き、立ち上がる。
「ええ正解です。正確にはグローブの手のひらの部分で触れた対象を飛ばす能力です。オーパーツの名は“スキップハンド”」
「あの瞬間移動は自分にグローブで触れてぶっ飛ばし、やっていたわけか」
ウルは「ははっ!」と笑う。
「それにしても驚いた。サポーターの身で今の攻撃を受け、まだ意識があるとはね」
「そこらの奴と一緒にするなよ。タフさだけならシーカーを凌ぐぜ俺は」
と強がってはいるが、数原の体は大きなダメージを負っている。
(勝てねぇな。志吹は3人目はB級だろうって言ってたが……コイツ本当にB級か? オーパーツの能力もその使い方も、体術、勘の鋭さも全てA級並みだぞ。メテオストレートもあのオーパーツには簡単に弾かれそうだ)
数原は拳をグッと握る。
(俺にできることは……)
数原は己のすべきことを自覚し、覚悟を決める。
「【眩光弾】!!」
「!?」
数原は光の球を出し、上に投げる。
光の球は弾け、辺りを眩い光で包む。
「くっ!」
ウルは腕で両目を塞ぐ。
「【万迦快煙】!!」
数原は足元に魔法陣を展開。魔法陣から緑の煙が噴き出し、数原の傷口に流れ込み傷を癒す。
「【風靴】!」
数原は廃墟の外に飛び出し、空中を蹴って加速する。
廃墟を飛び出した数原の背中を目で追い、ウルは数原の能力を再評価する。
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