バレンタインの後にさよなら~仲良し姉弟の最後のバレンタイン~

倉橋敦司

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バレンタインから十五日⓵

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 日曜の昼間。
 部屋で勉強してるとき。
 姉があわてて入ってきた。ドアの鍵を内側からかけた。

 「ここに座って!」

 床に腰を下ろす。
 姉にギュッと抱きしめられた。
 ドアを叩く音。

 「開けてくれ。悠に用事があるんだ」

 姉が僕に頬ずりする。
 僕の頬が濡れた。

 「ハッキリ言った。大学行かないって・・・
 あの女に断って!
 手続きして悠はうちの子になったんだよ。ぜったい離さないって!」

 姉の大声。頭を何度もなでられた。

 「お父さんの新しい仕事。悠を渡せばすぐ決めてくれるんだ。
 給料もよくなる」
 「ねえ。話だけでもさせてあげて・・・悠を連れてきて」

 父と母の声。

 「イヤって言ったらイヤ!
 みんな自分のことしか考えない。
 悠の将来のことなんて考えない。
 みんなキライ!大キライ!
 悠はずっとここにいるから」

 姉が僕のこと抱きしめる力、前より強くなった。
 あたたかくて・・・
 やわらかくて・・・
 甘くてすてきな香りがして・・・
 気持ちよくて・・・ 
 こうやって僕、姉さんに守られてきたんだ・・・
 ずっとこうしていたい・・・
 だって僕って・・・
 姉さんのこと・・・・・・

 だけどぼくだって分かってるんだ。
 姉さんのためになにをしたらいいのかって・・・
    
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