28 / 42
第28話 勇気の結果①
しおりを挟む
※
あたしは今、メールに送られてきた地図の場所に向かっている。
時間は十九時五十分。
でも、目的地に近付くにつれて、緊張感から足取りが重くなっていく。
(……怖い……)
やっぱりあたしは弱い。
きっとこの本質は変わらないのだろう。
これから何が起こるのか?
考えるだけで不安になっていく。
でも、あたしは皆友くんの言葉を信じてる。
彼を想うだけで、あたしは勇気が出せる。
だから、
(……大丈夫だ)
前を向く。
ゆっくりでもいいから、一歩、一歩前に足を進める。
そして、指定された時間の五分前――あたしは目的地に到着した。
階段を下りることができるのだが……。
「……ここ、だよね?」
スマホを確認する。
マップ上が示す位置は間違いなくここだった。
目前には工場――だが入口はロープで封鎖されていた。
(……廃工場、なの?)
人気《 ひとけ》は全くない。
誰も寄り付かない場所だからこそ、あたしを呼び出すには都合が良かったということなのだろう。
(……この中に入らないと、なんだよね?)
ごめんなさい。
心の中で謝って、あたしは敷地に入った。
建物は二つ。
工場と、その隣に立つ小さな建物……多分、事務所とか休憩スペースとか……だろうか?
工場のシャッターは少しだけ開いている。
身を屈めれば人が通れるくらいの隙間だ。
まだ電気が通っているのか、隙間の先から薄明かりが漏れている。
(……多分、この中に……)
一度深呼吸したあと、あたしは覚悟を決めて工場の中に入った。
※
竜胆が店に入ったらしい。
本当に面白い。
指示に従い行動する。
従順に動くおもちゃを手に入れた気分だ。
よほど『過去』をバラされるのが怖いのだろう。
中には既にあいつらもいる。
先に遊んでしまうだろうが……それでも構わない。
ああ、想像するだけで楽しくて仕方ない。
頬を叩いたらどんなふうに泣くだろう?
薬漬けにしてめちゃくちゃに犯したら、どんなふうに喘ぐだろう?
心をぐちゃぐちゃに壊したら、どんな顔をするだろう?
どうしたら、彼女の絶望した顔は見られるだろうか?
やはり大切な存在――たとえば友人に裏切られるとか?
いや、どうせなら恋人のほうがショックは大きいか?
なら一度、自分の物にしてから楽しむのも悪くない。
これからの遊びを考えているだけで、絶頂してしまいそうだ。
綺麗なものほど……壊れる瞬間が美しい。
だからこそその一瞬を見てみたくなるんだ。
「こういう時に限って、予定外の面倒もあったが……」
さぁ……楽しみを味わいに行こう。
その為の演出の準備はもう済んでいるのだから。
※
建物に足を踏み入れた。
視界の先には数人の男たちが立っている。
「時間通りじゃねえか」
そう声を掛けてきたのは、あたしに言い寄ってきた男の一人だ。
あの日に絡んできた三人の男は全員この場にいる。
だが、おかしい……。
この場にいる連中とあたしは、ほとんど面識もなければ、連絡先を伝えている相手なんていない。
「言われた通り、一人で来たみたいだな」
「なんで……あんたたちが――」
ガチャ――。
あたしの言葉を遮るように、工場内にある扉が開いた。
そして、
「あ、本当に来たんだ~」
女の子が一人、こちらに向かって歩いてくる。
「あなたは……――っ!?」
「あたしのこと、ちゃんと覚えてるんだ」
髪型や化粧、髪の色が変わっていたから、直ぐに気付かなかった。
けど、あたしは間違いなく彼女を知っていて……。
「二階堂……さん……」
「はははっ、まぁそりゃ忘れないよねぇ」
忘れるわけがない。
だって、彼女は中学時代にあたしの全てを奪った相手なのだから。
(……そういうことだったんだ)
彼らがあたしの過去を知っていた理由は……彼女がいたから。
「あんたたちのこと、さ~んざん可愛がってあげたもんね~」
「っ……」
二階堂さんが、ニヤッと挑発的な笑みを浮かべる。
圧倒的な強者が弱者に余裕を見せつけるように。
「麗子の言ってたことはマジだったわけだ。
こいつが元イジメられっ子ねぇ……全然見えねぇ……」
「気が強そうないい女って感じだもんな」
「めっちゃ可愛いよなぁ……これで処女とかだったら、マジで今日は最高なんだけど?」
男たちが値踏みするようにあたしを見ている。
「見た目、中学時代と全然違うから、最初は全然気付かんかったわ~」
言いながら二階堂さんがあたしに歩み寄って来た。
そして目の前まで来たかと思うと、手を振り上げて――
「やっ、やめっ……」
咄嗟に身をかがめてしまう。
でも、彼女の手が振り下ろされることはなかった。
「ははははっ、中身はな~んも変わってない」
「か~わい~。
叩かれそうになっただけで、脅えちゃってんじゃん」
この場にいる全員があたしを嘲笑した。
何も変われてない……それは事実だ。
臆病で情けない姿を晒してしまっている……なのに、今も身体の震えが止まらなかった。
だけど……このくらいで負けちゃダメだ。
顔を上げてあたしは二階堂さんの姿を見つめる。
「っ……ば、バカにす――」
「黙れよ」
パンッ――乾いた音が室内に響く。
頬がじんわりと熱くなっていった。
「麗子、顔はやめろっての」
「そ~そ~ブスになったら、どうすんだよ?」
「犯《 や》るなら可愛い子のほうがいいべ」
男たちが好き勝手なことを言っていた。
何か言い返してやりたい。
なのに、
(……あれ?)
言葉が出てこない。
ただ、軽く頬を叩かれただけなのに。
「そんな強く叩いてないし。
こいつ黙らせたいなら、こうしてやるだけで大人しくなるって教えてあげたんじゃん。 見てよ、びくびく震えちゃってさ~……面白いでしょ~」
二階堂さんが歪んだ笑みをあたしに向ける。
心底おかしくて仕方ない。
彼女の表情があたしにそう語っていた。
「んじゃあよ、犯してる最中に頬を叩いたら、喘ぎ声も出さなくなんのか?」
「かもね~。
試したことないから、やってみる?
どんな反応になるか見てみたいかも~」
一斉に下卑た笑い声が上がった。
何が楽しいのだろう?
あたしには、理解できない。
「それじゃ……始めるか」
「ちょ!? 史一《 ふみかず》も交ざんの?」
「ちげーよ。
お前にいくつか確認がある」
史一と呼ばれた男があたしに近付いてきた。
「お前と一緒にいた男……あいつは同じ学校か?」
それは考えてもいない、予想外の言葉だった。
あたしは今、メールに送られてきた地図の場所に向かっている。
時間は十九時五十分。
でも、目的地に近付くにつれて、緊張感から足取りが重くなっていく。
(……怖い……)
やっぱりあたしは弱い。
きっとこの本質は変わらないのだろう。
これから何が起こるのか?
考えるだけで不安になっていく。
でも、あたしは皆友くんの言葉を信じてる。
彼を想うだけで、あたしは勇気が出せる。
だから、
(……大丈夫だ)
前を向く。
ゆっくりでもいいから、一歩、一歩前に足を進める。
そして、指定された時間の五分前――あたしは目的地に到着した。
階段を下りることができるのだが……。
「……ここ、だよね?」
スマホを確認する。
マップ上が示す位置は間違いなくここだった。
目前には工場――だが入口はロープで封鎖されていた。
(……廃工場、なの?)
人気《 ひとけ》は全くない。
誰も寄り付かない場所だからこそ、あたしを呼び出すには都合が良かったということなのだろう。
(……この中に入らないと、なんだよね?)
ごめんなさい。
心の中で謝って、あたしは敷地に入った。
建物は二つ。
工場と、その隣に立つ小さな建物……多分、事務所とか休憩スペースとか……だろうか?
工場のシャッターは少しだけ開いている。
身を屈めれば人が通れるくらいの隙間だ。
まだ電気が通っているのか、隙間の先から薄明かりが漏れている。
(……多分、この中に……)
一度深呼吸したあと、あたしは覚悟を決めて工場の中に入った。
※
竜胆が店に入ったらしい。
本当に面白い。
指示に従い行動する。
従順に動くおもちゃを手に入れた気分だ。
よほど『過去』をバラされるのが怖いのだろう。
中には既にあいつらもいる。
先に遊んでしまうだろうが……それでも構わない。
ああ、想像するだけで楽しくて仕方ない。
頬を叩いたらどんなふうに泣くだろう?
薬漬けにしてめちゃくちゃに犯したら、どんなふうに喘ぐだろう?
心をぐちゃぐちゃに壊したら、どんな顔をするだろう?
どうしたら、彼女の絶望した顔は見られるだろうか?
やはり大切な存在――たとえば友人に裏切られるとか?
いや、どうせなら恋人のほうがショックは大きいか?
なら一度、自分の物にしてから楽しむのも悪くない。
これからの遊びを考えているだけで、絶頂してしまいそうだ。
綺麗なものほど……壊れる瞬間が美しい。
だからこそその一瞬を見てみたくなるんだ。
「こういう時に限って、予定外の面倒もあったが……」
さぁ……楽しみを味わいに行こう。
その為の演出の準備はもう済んでいるのだから。
※
建物に足を踏み入れた。
視界の先には数人の男たちが立っている。
「時間通りじゃねえか」
そう声を掛けてきたのは、あたしに言い寄ってきた男の一人だ。
あの日に絡んできた三人の男は全員この場にいる。
だが、おかしい……。
この場にいる連中とあたしは、ほとんど面識もなければ、連絡先を伝えている相手なんていない。
「言われた通り、一人で来たみたいだな」
「なんで……あんたたちが――」
ガチャ――。
あたしの言葉を遮るように、工場内にある扉が開いた。
そして、
「あ、本当に来たんだ~」
女の子が一人、こちらに向かって歩いてくる。
「あなたは……――っ!?」
「あたしのこと、ちゃんと覚えてるんだ」
髪型や化粧、髪の色が変わっていたから、直ぐに気付かなかった。
けど、あたしは間違いなく彼女を知っていて……。
「二階堂……さん……」
「はははっ、まぁそりゃ忘れないよねぇ」
忘れるわけがない。
だって、彼女は中学時代にあたしの全てを奪った相手なのだから。
(……そういうことだったんだ)
彼らがあたしの過去を知っていた理由は……彼女がいたから。
「あんたたちのこと、さ~んざん可愛がってあげたもんね~」
「っ……」
二階堂さんが、ニヤッと挑発的な笑みを浮かべる。
圧倒的な強者が弱者に余裕を見せつけるように。
「麗子の言ってたことはマジだったわけだ。
こいつが元イジメられっ子ねぇ……全然見えねぇ……」
「気が強そうないい女って感じだもんな」
「めっちゃ可愛いよなぁ……これで処女とかだったら、マジで今日は最高なんだけど?」
男たちが値踏みするようにあたしを見ている。
「見た目、中学時代と全然違うから、最初は全然気付かんかったわ~」
言いながら二階堂さんがあたしに歩み寄って来た。
そして目の前まで来たかと思うと、手を振り上げて――
「やっ、やめっ……」
咄嗟に身をかがめてしまう。
でも、彼女の手が振り下ろされることはなかった。
「ははははっ、中身はな~んも変わってない」
「か~わい~。
叩かれそうになっただけで、脅えちゃってんじゃん」
この場にいる全員があたしを嘲笑した。
何も変われてない……それは事実だ。
臆病で情けない姿を晒してしまっている……なのに、今も身体の震えが止まらなかった。
だけど……このくらいで負けちゃダメだ。
顔を上げてあたしは二階堂さんの姿を見つめる。
「っ……ば、バカにす――」
「黙れよ」
パンッ――乾いた音が室内に響く。
頬がじんわりと熱くなっていった。
「麗子、顔はやめろっての」
「そ~そ~ブスになったら、どうすんだよ?」
「犯《 や》るなら可愛い子のほうがいいべ」
男たちが好き勝手なことを言っていた。
何か言い返してやりたい。
なのに、
(……あれ?)
言葉が出てこない。
ただ、軽く頬を叩かれただけなのに。
「そんな強く叩いてないし。
こいつ黙らせたいなら、こうしてやるだけで大人しくなるって教えてあげたんじゃん。 見てよ、びくびく震えちゃってさ~……面白いでしょ~」
二階堂さんが歪んだ笑みをあたしに向ける。
心底おかしくて仕方ない。
彼女の表情があたしにそう語っていた。
「んじゃあよ、犯してる最中に頬を叩いたら、喘ぎ声も出さなくなんのか?」
「かもね~。
試したことないから、やってみる?
どんな反応になるか見てみたいかも~」
一斉に下卑た笑い声が上がった。
何が楽しいのだろう?
あたしには、理解できない。
「それじゃ……始めるか」
「ちょ!? 史一《 ふみかず》も交ざんの?」
「ちげーよ。
お前にいくつか確認がある」
史一と呼ばれた男があたしに近付いてきた。
「お前と一緒にいた男……あいつは同じ学校か?」
それは考えてもいない、予想外の言葉だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
元おっさんの幼馴染育成計画
みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。
だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる