最強無敵のRe:Act~無数の異世界を救った俺が、転移に巻き込まれたクラスメイトを救います~

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STAGE1

第10話 暗黒大陸へ

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「……ミッシェル? って、まさかドラゴンの名前なの?」
「ああ、直ぐに来るからちょっと待っててくれ」
「……はい?
 いや、巡……あんたまさかドラゴンを従えてるとか言うわ――」

 恋が何かを言い掛けて口を閉じた。
 それは、魔人を凌駕するほどの巨大な気配を感じたからだろう。

「なっ……なに……? なんなのよ、これ……!?」
「ミッシェルの魔力だな」
「こ、こんなのって……ど、ドラゴンだとしても、こんなの尋常じゃないわよ!」

 恋はかなり驚いている。
 そうか。
 ドラゴンとしか俺は説明しなかったが、ミッシェルはエンシェントドラゴンだったもんな。

『この女は何を戸惑っているのだ?』
『ミッシェルの力が大きいから驚いてるんだよ』
『……あの程度の雑魚にか?』

 確かにミッシェルは雑魚だ。
 が、それは俺たちの基準での話だ。
 俺も以前はドラゴンに苦戦したことがある。
 初めて目にした時は、信じられないほどの巨躯を目にしただけで震えてしまった。
 そんな恐怖の感情は当に忘れ去ってしまったいたけれど。

『普通の人間にとってはドラゴンってだけで怖いもんなんだ』
『ふむ……人とは脆い種族なのだな。
 そんな中……お前のような者が生まれると考えると、人間の持つ可能性とは面白く興味深い』

 声だけしか聞こえないが、アルが俺と恋を交互に見つめている姿が目に浮かんだ。

 ――ビューーーーーーン!  バサッ! バサッ!

 強烈な風を切る音と共に、地面に向かって吹き飛ばされそうな風が吹いた。
 敷地を覆う大きな影を見て、この場にいた生徒たちは――いや、町の住民は皆、顔を上げたことだろう。

「早かったな」
「も~う、お友達とお茶してたのに……」

 ドラゴンってお茶を飲むのか……それは勉強になった。

「悪いな。
 だが急いで連れ行ってほしいところがあるんだ」
「いいわよ。
 あなたの頼みならなんでも聞いちゃうわ!」

 ミッシェルはウィンクした。
 その光景にこの場にいた者たちは慄いている。

「ど、ドラゴンを飼いならしてる!?」
「やはりあの方こそ真の勇者!?」
「いや、もしかしたら古の時代に存在したというドラゴンライダーかもしれないわよ!」
 妙な噂が広がっている。
 残念ながらどれもハズレ……いや当たらずしも遠からずか?
 他の異世界で勇者と呼ばれた頃もあれば、ドラゴンライダーだった頃もあるからな。

「……め、巡……あんた、さっきこの世界に来たばっかりじゃなかったの……?」
「ああ、そうだぞ」
「そうだぞ――って、じゃあなんでいきなり、こんなすごいドラゴンと知り合い――というか、妙に親しくなってるのよ!」
「その辺りの説明は暗黒大陸に向かいながらでいいだろ」

 俺は恋の手を引くと、有無を言わさず抱きかかえた。

「ぁ――!?」
「いくぞ」

 一言だけ伝えて、俺は転移の魔法を使ってミッシェルの背に転移する。

「乗ったわねん?」
「ああ、暗黒大陸まで頼む」
「それじゃあ――全力全開で行くわよ~!」
「え、ちょ、ちょっと待って、まだ心の準備が――」

 ブワアアアアアアァァァァァッ!!!
 轟音が響いた。
 それはミッシェルが羽ばたい音。
 同時に飛行が始まると、一瞬で城下町が小さくなっていく。

「は、速ッ!? でも、どうして風圧がないの?」
「風の魔法を使って、抵抗を全て無力化してる」
「……巡……凄すぎるよ」
「このくらいは普通だぞ? 恋も少し練習すればできる」
「風の魔法の話しじゃなくて! 一瞬で魔人を倒しちゃった理、いきなりドラゴンを呼び出して背中に乗って移動って、常識的に考えておかしいじゃない!」

 異世界の常識とは? と、俺自身が疑問に思ってしまう。

「……俺の経験上、ドラゴンと友達になった奴は結構いるぞ?」
「結構はいないわよ!」

 教団の大司教とか。
 それこそ、竜と信頼を築くことで力を得るドラゴンライダーとか。 
 ドラゴンと信頼関係を築く人間はいないこともない。
 まぁ、この世界ではそうじゃないのかもしれないが。

「ま、それぞれの世界にそれぞれの常識があるんだ」
「はぁ……無数の異世界を救ってきたって言ってたけど、その言葉の真実味が増していくわね」

 溜息をついた後に恋は苦笑した。

「ねぇ、巡……随分と親し気だけど、あなたの彼女さんなの? あたしにも紹介してほしいんだけど?」
「彼女ではないが――」
「っ――巡、さっきから抱きかかえてるけど、女の子に対してデリカシーがないから!」「あ、ああ、悪い」

 腕の中で暴れ出した恋を、ミッシェルの背に下ろす。
 頬を膨らませて明らかに不機嫌になっていた。

「あら~、あなたも罪な男ね」
「何がだ?」
「鈍感なんですよ、こいつ昔から」
「浮世離れしてるものね~。
 色々と大変な人だとは思うわん……でもその分、不思議な魅力があるわよね」
「わかりますか、ミッシェルさん!」
「もちろんよ! これでも竜として数万年の時を生きてるんだから……竜生経験豊富なのよん?」

 竜生?
 それは人の人生にはなんの役にも立たなそうだが、数万年か……ミッシェルはドラゴンだけあって、そこそこ長生きのようだ。
 それでも俺が過ごしてきた時と比べれば赤子と変わらない。 

「それと恋愛相談ならいつでも乗るわよ? あたし大好物だから……と、自己紹介させてもらうわねん。あたしはミッシェルよ」
「麗花(うるか) 恋(れん)です。
 えっと……ミッシェルさん、でいいですか?」
「ええ、好きに呼んでいいわよん。
 たとえばお姉様とかね」

 お姉様?
 ミッシェルは性別的に雄なのでは?
 いや……これに関しては確認しないでおこう。

「あはは……じゃあミッシェルさんって呼ばせてもらいますね」

 苦笑する恋。
 どうやらミッシェルがフレンドリーなことに困惑しているようだった。
 俺が見て来た中でも、このドラゴンはかなり人間味があるほうだと思う。
 オネエ言葉だからそう感じるだけかもしれないが。

「ミッシェル、暗黒大陸の場所はわかってるか?」
「友達の暗黒龍がいるから、何度も遊びに行ったことがあるわん」
「なら位置を伝える必要はなさそうだな」
「ええ、お任せあれ!」

 すると高速飛行していたドラゴンはさらに加速する。
 速度は既に音速を超えて――大陸を出て視界には紺碧の海が広がっていた。
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