最強無敵のRe:Act~無数の異世界を救った俺が、転移に巻き込まれたクラスメイトを救います~

スフレ

文字の大きさ
34 / 40
EXTRA STAGE1

第34話 堕天使の少女

しおりを挟む
「――よう」

 堕天使の少女は俺を見た。
 その姿は驚くほど美しい。
 これまで見てきた世界の中でも有数の美少女だ。

「……」

 少女は表情一つ変えることなく、ただ俺の様子を窺っている。

「言葉、わからないか?」

 通常――異世界に転移した場合、言葉も翻訳された状態になっている。
 だが世界にエラーが起こっている状態であるなら、その神々が作ったロジックが機能しなくなっている。

「……あなたは強い」

 女は俺を直視する。
 どうやら実力の違いを理解する程度の能力は持っているらしい。

「あなたが……そうなの?」
「……?」

 少女は俺に上目遣いを向ける。
 何かを窺っているみたいだったが……口数が少なく、

「だとしたら――倒す。――いくよ」

 堕天使の姿が消えた。
 かと思えば――俺が浮かんでいる場所のさらに上から、強烈な魔力の波動。
 空を見上げると、両手を俺に向けて突き出している黒い翼の少女の姿が見えた。

「――殺戮破壊光線(デストロイ)」

 少女がそう呟いた瞬間――膨大な魔力を秘めた閃光が射出された。
 莫大な力の渦が生み出されたことで、次元に亀裂が入っていく。
 それは、俺が受け止めなければ地球が崩壊するであろう一撃。

「物騒な魔法だな」

 この速度だと、地表に落下するまで残り1秒というところだろう。
 光速で迫りくる閃光に対しては、魔法解除(ディスペルマジック)も間に合わない。
 だがそれでも――何ら問題はない。

「あ~ん」

 俺は口を開いた。
 そして「すううううう~~~~~~~」と、大きく息を吸い込む――と、迫りくる閃光が俺の口の中に全て入っていく。
 吸い込まれた莫大な魔力は俺の保有する魔力へ変化していく。

「ごくん――」
「ぁ……」

 元の世界に戻ってから、二つの世界を攻略するまでに消費した魔力を、いい感じに回復できた。

「……私の魔法、食べられた」
「ご馳走様。中々の魔法だったぞ」

 単純な魔力量なら超神ベアルを上回っているだろう。

「まだ続けるか?」
「……私は、あなたに勝てない」

 圧倒的な実力差を理解していながら、堕天使の戦意は全く薄れていない。
 何か理由があるのだろうか?

「だけど――私は戦う。次の一撃に全ての力を込める」
「あれよりも上があるのか」

 なら――その力を完全に受け切り凌駕して勝つとしよう。
 それなら、この少女も敗北を受け入れることができるだろう。
 話をするのはそれからでも遅くない。

「闇よりも暗く、世界を包む――それは絶望の渦」

 少女が詠唱を開始すると、世界は色を変えた。
 雲一つない快晴の空が闇に包まれる。

「光よりも眩しく、世界を照らす――それは燦爛(さんらん)たる希望の光」

 再び世界は色を変える。

「希望と絶望は交ざり合い――行きつく先は混沌」

 変化する世界に残るのは混沌。
 圧倒的な魔力の波動が、人間の叫び声のように唸りを上げる。

「これで、あなたを終わらせる。――混沌終焉(カオス・エンド)」

 世界に生まれし混沌。
 それは無限に溢れ出し増殖していく。
 これを放置してしまえば、俺だけではなく、地球という惑星自体が消失してしまうだろう。
 その混沌が波のように俺に押し寄せる。
 だが――俺を飲み込もうとした瞬間、動きを止めた。

「ほう……わかるのか」
「……」

 生まれた混沌は言葉を解すわけではない。
 だが、生み出された混沌は本能を持つのだろう。

「消えろ」

 俺の言葉に従うままに――混沌は自身の意志で消滅した。
 そして――世界は色を取り戻す。

「どう、して……」

 何が起こったのか。
 恐らく堕天使の少女はそう思ったのだろう。

「より深い混沌に飲み干されたくなかったんだろ」
「……ははっ」

 少女は、もうどうしようもないと、苦笑した。

「私の負け、だね」
「ああ……でも、悪くはなかったよ」

 少なくとも、こっちに戻ってから戦った中では。

「聞かせてもらっていいか? ここに来ることになった経緯と、なぜ俺を襲ったのかを?」

 質問を受けて、少女は再び俺を直視する。
 その瞳からは複雑な感情が窺えた。
 そして――表情は変えぬまま堕天使は静かに口を開いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...