君と臓器とそれから愛を

桜崎 零(サクラザキ レイ)

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06 君との出会い

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「何度も言うようだけど、
私はあんたと一緒にいたいからここにいるの。
周りがどう言おうと知ったことじゃないしね。」

「……いつか痛い目みるよ」

「上等だよ!」

そう言いながら、悪戯っぽく笑う君。

“一緒にいたいから”っか…

「…蛍ちゃん」

「なに?」

「蛍ちゃんって、バカだよね」

「ーはぁ!?」

僕がそういうと、
蛍ちゃんはガタッと勢いよく立ち上がった。


「あんたね、…はぁ~」


呆れた顔なのだろうか、それとも怒っているのか、
複雑な顔をしながら彼女はゆっくりと席に着く。


「はいはい、あんたからしたらどうせ私は勉強できないバカですよ~だ!!!」


今度は開き直って不貞腐れながら勢いよくストローをすする。


「いや、勉強じゃなて普段がって話。」

「あ゛ぁ゛!?友達がいないあんたに言われたくないわ!!!!」

だっておかしいじゃないか、いくら幼なじみで腐れ縁だからって今の僕に話しかけて何も得ることは無いし、むしろデメリットしかない。
周りの目だってあるだろうに…
なのに、いくら優しい君でも少し考えれば自分に損だって事ぐらい分かるはずなのに…

「っていうか、そろそろ友達の1人や2人くらいつくんなさいよ。今は私がいるからいいけど、クラスに戻ったらあんたいつも1人じゃない。」

今蛍ちゃんがいる場所、2組は僕のクラスであり本来の彼女のクラスは3組。つまり、彼女がこっちに居れるのは朝の時間と放課後くらいなのだ。
いくら隣のクラスだからといって、毎日こちらにわざわざ移動してるんだ。
絶対めんどくさいはずなのに…

「別に作んなくたっていいし、」

「まぁ~たそう言う」

別に友達なんて欲しくない。
自分のことは一人でできるし、困ってもない。
それに、こんな僕と友達になりたいなんて思ってくれる人もいないだろうし。

「そんなこと言ってると、一生友達出来ないよ?」

「いいもん、、、僕には蛍ちゃんがいるし」

「ーえぇ!?!?!????」

何をそんなに驚いているのだろう。
変なことでも言ってしまったのだろうか。

「ふっ、ふ~ん、私がいるからいいんだぁ…」

変なしゃべり方をしてる彼女の顔はなんだか赤くなっているような…?

「どうしたの?」

「えっ、いや、別に…」

おかしな蛍ちゃんだ。

「ねぇ…あんたって…好きな人とかっているの…?」

「えっ、」

「あっ、いや、なし!今のなし!!!わ、私もうクラス戻るね!!じゃぁ、」

「あっ、蛍ちゃんあぶな…」

ーバン!!!!

大きな音がクラスに広がる。

「ーっ、、、」バタバタバタ

大丈夫かなっ?
思いっきりドアに顔ぶつけてたけど…

顔も赤かったし、
もしかしたら今日は体調が悪かったのかもしれない。
後で様子でも見に行こう。




「好きな人か…」ボソツ


“好きな人”
もっと相手に近づきたいと思える相手。
触れたい思う相手。好意を向ける相手。



何故そんな事を蛍ちゃんは聞いてきたのだろう。

幼なじみだから?

友達だから?

興味が湧いたのだろうか、


分からない
君以外友達が居ない僕がせめて好きな人くらいいるのかどうか気になったのだろうか、


蛍ちゃんにはいるのだろうか、
そういう風に思える人が。


好きってなんだろう…
他人に好意を向けるってどんな気持ちだろう。


楽しいのだろうか?
それとも切ないのだろうか?



分からない

そんなの誰も教えてくれなかった。



どちらにしろ、僕には一生縁がないものだ。

他人なんかを好きになるなんて、
僕には到底出来ない。


1度だけ、
僕にも彼女というものが出来たことがある。
でもそれはその子のことを好きになったからでは無い。当時の僕は一人で死ぬのが怖かった。
一人ぼっちで消えるのが_

だから彼女というものをつくってみた。


しかし、
僕の足が無くなってから彼女の様子は一変した。
足があった頃は毎日ウザったいくらい絡んできて、

『幸佑くん♡』

甘ったる声で僕の名前を呼んでいたくせに、
僕が病気になったと分かった途端、

『私は“人気者だったあなた”が好きだった。』

そう、彼女は僕自身ではなく僕の“地位”が好きだったのだ。

“まだ走れた頃の僕”を、
“周りに愛されていた僕”を_



人間は裏表がある生き物だ。
必ずしも自分にメリットがある事だけを考えている。

自分に損があると分かった瞬間
手のひらを返して遠ざかっていく。


“あの頃”みたいに


しかし、恋愛って相手の為に何かをするのだろう?
好きって理由だけで。

でも、それって一方的ではないか?
勝手に自分でその人の為だとか思っいこんで、勝手に行動して、勝手に傷ついて_


綺麗事を並べてるが、
結局全部自分の自己満に過ぎないじゃないか。


だから
僕が“彼”に対して抱いてる感情は
きっと、好きじゃない。



だって僕は、
“彼”を自分のものにしたいなんて考えない。
触れたいとか、触れて欲しいとかそんな事望まない。

僕はただ見ているだけでいい。
遠くから“君”を_


友達と話している 君

クラスで人気者の 君

みんなから愛されている 君

全てを愛する 君


そして、


誰も“愛さない” 君を




廊下に人だまりができ、ザワザワとしている。


「来た_!!!」ボソッ

“君”が来たんだ。


絹のように細く鮮やかな髪、
薄くほんのり赤い唇、
まるで人形のような整った顔立ち、


それが“君”だったね
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