『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)

IXA

文字の大きさ
32 / 363

第32話

 ここ最近はダンジョンに一切潜っていない。
 いやー、流石にあの死闘を乗り越えて、さらに毎日戦うってのはきつい。
 ほとんどネットカフェに引きこもっては、映画を見たりしていた。

「おう、よく来たなお嬢ちゃん」
「うん」

 そして筋肉に言われた通り一週間後、私はハリツムリの魔石をうっぱらったお金を受け取りに来ていた。
 いや勿論本当は翌日に魔石を売りに行ったのだが、なんとあのハリツムリ、協会には登録されていないモンスターだったらしい。

 うん、なんか名前おかしいと思ったんだよね。
 しかも推奨レベルより高いし、技えげつないし。
 知力が低かったしもし魔法が使えたなら、もっと楽に倒せていたかもしれないけど。

  というわけで未確認の魔石、一体どんな効果を秘めているか分からないというわけで、検証だとかに時間がかかった。
 取り調べは凄い怖かった。
 なんたって筋肉並みにムキムキな人とか、腹筋バキバキに割れてる女の人とかがすっごいまじめな形相で私を見つめつつ、延々と質問を突っ込んできては紙にがりがりと書き込みしていくのだ。

 誰だってビビる、しかもあの人たち多分超強い。
 だって腰に凄いピカピカ物理的に輝く武器差してたし、あれ多分ドロップ武器ってやつだ。

「んじゃこれが石の買取、調査、情報提供代だ」
「ん。……ん?」

 ぽんっ、と手渡されたのは、分厚く重い封筒。
 軽く封じられていたそれをぺりぺりと破り中をのぞけば、一センチほどはあろうかという紙束。

 え、なにこれ。

「百十五万だ。ほとんど新たなモンスター、しかもボスだからだな。本当は銀行とかに振り込んでおきたかったんだが、お嬢ちゃん口座登録してないだろ?」
「ひゃ、ひゃくま……?」

 百万ってどういう意味だろう。
 百万って、百万?

 あれ、ちょっと待って。
 百万ってなんだ……百万は万が百で……百がマンだから……?

『やあ! 僕百万君!』
「百万君!? 誰!?」
『僕はマネー王国から君と友達になりに来たんだ!』
「どういうことなの……!?」
『さあ、僕と一緒に飛び立とう!』

 巨大な札束に手足の生えた百万君が、私に向かって手を差し伸べた。
 手を重ねれば、私の身体は空高くへと……

「……ちゃん、お嬢ちゃん。大丈夫か、意識飛んでたぞ」
「……え? 百万君は?」
「あん? 何言ってんだ?」
「あ……うん、何でもない」

 というわけで、私はとんでもない大金を手に入れた。
 これはあれか。
 悪いこと、苦労した後にはいいことがある、人生万事最強の馬というやつか。

 ど、ど、どうしよう……!?



「だ、だれもいないよね……?」

 人が怖い。
 突然金の亡者がゾンビの様にわらわらと、そこら辺から生えてきて私のお金を奪っていかないか怖い。 大丈夫かここは、まだマネーウイルスに侵食されていないだろうか。

 協会を抜け大通り、真昼間なだけあって人はいない。
 百十五万円の入った封筒様はリュックの中、服で二重に包んで大切に守っている。
 銀行だ。筋肉も言っていたが銀行を開設して、それから何をするか決めよう。

 裏通り、冷たいコンクリの壁に背中を当て、大通りの様子をうかがう。

 こちらフォリア部隊、敵確認できません。
 今より銀行へ突撃しま……

「お、いたいた」
「ひゃあっ!?」

 つん、とわき腹をつつかれ、奇声が喉奥から湧き出した。

 そこにいたのは相変わらずちぐはぐな靴下、適当に茶髪を結んでいる剣崎さん。
 この街の近くにある大学で、ダンジョンの研究をしている人だ。
 今日は前回会った時とは異なり、私服ではなく白衣そのまま。

「け……剣崎さん……!」
「やあ、探したよ。一週間後に来てって言ったのに、二週間過ぎてもまだ来ないから、剛力君……協会のトップに直接話付けてね」

 筋肉、もとい剛力。
 名前まで筋肉にあふれているなあいつ。

 どうやら剣崎さんは筋肉とも知り合いらしく、私が一週間後に現れることを知っていたらしい。
 まあダンジョンの研究をしていると言っていたし、協会の支部長でもある筋肉と面識があるのは、何らおかしいことではない。

 命がけの戦いを繰り返して忘れていたが、そういえば彼女には、あの三人組が大学にいないか調査を頼んでいたのだった。
 教授となれば忙しいだろうに、わざわざ私に会いに来てくれるとは。
 いい人だ。

「まあこんなところで話すのもなんだ、ついてきなさい。近くにいい喫茶店があるんだ」
「え……うん」

 本当はさっさと銀行へお金を預けに行きたいのだが、そもそも最初に頼んだのは私だ。
 颯爽と白衣をはためかせる彼女の後へついていく。
 ああ、それにしてもこの百万円何に使おう……!
感想 27

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます―― 金さえあれば人生はどうにでもなる―― そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。 交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。 だがその力は、本来存在してはいけないものだった。 知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。 その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在―― 「世界を束ねる管理者」 神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。 巻き込まれたくない。 戦いたくもない。 知里が望むのはただ一つ。 金を稼いで楽して生きること。 しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。 守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。 金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる 巻き込まれ系異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!