幼馴染みが僕を放してくれない

ゆうき

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一年生編

幼馴染みが迫ってくる

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「ねぇねぇ」
 
 僕、中村なかむら 誠一せいいちは隣にいる幼馴染のあかつき 紅羽くれはに目を向ける。

「ん?」
「いつになったら告白してくれるの?」

 中学三年の秋に、僕は振られた。
 その相手は言わずもがな、目の前にいる紅羽にだ。

「私、今は誰とも付き合う気がないから」
 
 当然の如く振られた。
 まぁ、元々玉砕覚悟だった。
 彼女はモテる。

 腰まで伸びた黒い髪に大きな瞳……運動も出来て顔も整っている。
 いわゆる正統派美少女って奴だ。
 それに加え、彼女の見た目と正反対の活発な性格というギャップも相まって勘違いしてしまう男子が続出するのは必然だろう。
 まぁ、僕もその一人なのだが……。
 
 対して僕は何の取柄もないただのモブ……勉強が出来るわけでも運動が出来るわけもない玉砕待ったなしのオンパレードだった。
 わかっていたこととはいえ少し落ち込んだ。
 幼馴染みに振られるというのは、どうしてわかっていても中々くるものがある。

 彼女の事はこれを機に諦めよう。
 そう思い今に至る。

 以降、特に会話したわけでもない。
 変わった事と言えば、彼女との会話が増えたことだ。
 そして同じ高校で同じクラスで、神様の嫌がらせではないかと思ってしまう。
 だってそうだろう? 
 せっかく玉砕して合わなくて済むと思ったのに同じ高校とか、絶対嫌じゃないか?

「お前、僕を振ったよな?」
「うん」
「しかも、振ったのはつい半年前だったよな?」
「うん」
「なんで、今更そんなこと言うんだ?」

 普通、振った相手に告白してくるとか、何か心境の変化があったならいざ知らず特にイベントもなかったはずだ。
 
「好きなのに、理由っているの?」
「それは……」

 人を好きになるのには様々な要因がある。
 容姿・性格・金・名誉・一目惚れ等様々だ。
 言っては何だが、僕は性格は分からないがそれ以外はどれも持っていない。
 対して彼女は容姿・性格・名誉を持っている。
 そんな彼女が僕を求める意味が解らなかった。

「んで、いつ?」

 肘をついて上目遣いで見てくる。

 本当に、可愛いよな~。

 惚れた者の弱みというべきだろうか、彼女の顔を見ると妙に照れくさくなる。

 まだ、好きなんだな~。

 どうやら僕は未練がましいようだ。
 彼女の事を目で追ってしまうし、目があえばドキドキしてしまう。

「あ、やばっ……」

 紅羽は時計を見る。
 時計は六時、彼女はテニス部のミーティングが六時半からなのでそろそろ着替えていかないと行かないいけないので結構ぎりぎりだった。

「ほら、早く行けよ」
「ちぇ~」

 そう言って彼女は立ち上がり、ラケットを入れた鞄を持つ。

「それじゃあ、行ってくるね」
「おう、頑張れよ」

 教室の扉の前で彼女は僕に手を振って僕が言葉を返していくと、出ていった。

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