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いつからだろう。
心の奥底から込みあげる『笑い』を抑えるのに必死だった。
なぜなら、この世界のあらゆるものがおかしくて堪らない。
どうしてみんな、笑わず平常心でいられるのだろう?
不思議だった。
今朝も、笑いを抑えながら目覚まし時計の『声』で目を覚ます。
何しろ、目覚まし時計の『声』がおかしくて堪らない。
「ピヨロロン、ピヨロロン、おはようございます、僕、ゴリエもんです。ピヨロロン、ピヨロロン…」
どうしてこの目覚まし時計、朝から自己紹介してるんだ?
変な音まで立てながら。
腹を抱えて大笑いしたくなるが、そんなことをすると家族にまで『頭がおかしい』と思われるため、ぐっと堪える。
『頭がおかしい』と思われる?
自分でそんなことを思ったのが、また面白い。
でも、笑ってはいけない。
頬をつねり、必死で笑いを堪えながら朝食をとろうとする。
見ると、御飯の上に秋刀魚が乗っかっている。
「秋刀魚の蒲焼丼よ。」
母が言う。
秋刀魚の蒲焼丼?鰻なら丼にするのは分かるけど、秋刀魚まで丼にするのか、この家は。
それに、蒲焼丼って響きが笑える。
体の奥底から込みあげる笑いを抑え、蒲焼丼なぞ食べることもできずに家を出る。
家を出ると、真っ直ぐ前を見て規則正しく両手を動かしながら歩く。
間違っても左右なぞ見てはいけない。
そんなことをしたら、『挙動不審』と思われる。
ん?何だ、挙動不審って。
いちいちそんなことを気にする自分自身がおかしくて堪らない。
しかし、笑ったらそれこそ不審だ。
笑わないように、頭を空っぽにしてひたすら歩く。
すると、横から小さい自転車に乗ったおばさんが自分に突っ込んできて横転した。
横転したまま、動かない。
「大丈夫ですか?」
さすがに気になり、声をかける。
「大丈夫ですか、ってあんた」
おばさんが起き上がる。
「ちゃんと前を見て歩きなさいよ。」
怪我をした膝をさも痛そうにめくる。
「どうしてこんな目にあわないといけないの?私、真っ直ぐ進んでただけなのに。」
真っ直ぐ進んでただけなのに?
何を言ってるんだ、この人は。
真っ直ぐ進んでいただけなのは僕なのに、あなたが勝手に突っ込んできたんじゃないか。
僕の中で、この人を『真っ直ぐおばさん』と命名した。
『真っ直ぐおばさん』、いい名前だ。
真っ直ぐ生きるおばさんだ。
人間、脇道に逸れることも多いけれど、このおばさんは常に『真っ直ぐ』生きているのだろう。
そんなことを考えていると、またまた笑いが込みあげてくる。
必死で頬を掻いて堪える。
その時、『真っ直ぐおばさん』の知り合いと思われるおばさんが通りかかった。
怪我を見て、驚いて言う。
「まぁ、みっちゃん。何て怪我。救急車を呼びましょうか?」
救急車?
たかが擦り傷で、どうしてそんなもの呼ばないといけない?
このおばさんは、『救急車おばさん』だ。
そんなことを考えると、いよいよ吹き出しそうになる。
「救急車なんて、呼ばなくていいわよ。」
さしもの『真っ直ぐおばさん』もさすがにそう言って、僕に一瞥をくれ帰って行った。
救急車おばさん、真っ直ぐおばさんよりも強し。
駅への道中で考えてしまうとやはり笑ってしまうため、心を空っぽにして歩いた。
心の奥底から込みあげる『笑い』を抑えるのに必死だった。
なぜなら、この世界のあらゆるものがおかしくて堪らない。
どうしてみんな、笑わず平常心でいられるのだろう?
不思議だった。
今朝も、笑いを抑えながら目覚まし時計の『声』で目を覚ます。
何しろ、目覚まし時計の『声』がおかしくて堪らない。
「ピヨロロン、ピヨロロン、おはようございます、僕、ゴリエもんです。ピヨロロン、ピヨロロン…」
どうしてこの目覚まし時計、朝から自己紹介してるんだ?
変な音まで立てながら。
腹を抱えて大笑いしたくなるが、そんなことをすると家族にまで『頭がおかしい』と思われるため、ぐっと堪える。
『頭がおかしい』と思われる?
自分でそんなことを思ったのが、また面白い。
でも、笑ってはいけない。
頬をつねり、必死で笑いを堪えながら朝食をとろうとする。
見ると、御飯の上に秋刀魚が乗っかっている。
「秋刀魚の蒲焼丼よ。」
母が言う。
秋刀魚の蒲焼丼?鰻なら丼にするのは分かるけど、秋刀魚まで丼にするのか、この家は。
それに、蒲焼丼って響きが笑える。
体の奥底から込みあげる笑いを抑え、蒲焼丼なぞ食べることもできずに家を出る。
家を出ると、真っ直ぐ前を見て規則正しく両手を動かしながら歩く。
間違っても左右なぞ見てはいけない。
そんなことをしたら、『挙動不審』と思われる。
ん?何だ、挙動不審って。
いちいちそんなことを気にする自分自身がおかしくて堪らない。
しかし、笑ったらそれこそ不審だ。
笑わないように、頭を空っぽにしてひたすら歩く。
すると、横から小さい自転車に乗ったおばさんが自分に突っ込んできて横転した。
横転したまま、動かない。
「大丈夫ですか?」
さすがに気になり、声をかける。
「大丈夫ですか、ってあんた」
おばさんが起き上がる。
「ちゃんと前を見て歩きなさいよ。」
怪我をした膝をさも痛そうにめくる。
「どうしてこんな目にあわないといけないの?私、真っ直ぐ進んでただけなのに。」
真っ直ぐ進んでただけなのに?
何を言ってるんだ、この人は。
真っ直ぐ進んでいただけなのは僕なのに、あなたが勝手に突っ込んできたんじゃないか。
僕の中で、この人を『真っ直ぐおばさん』と命名した。
『真っ直ぐおばさん』、いい名前だ。
真っ直ぐ生きるおばさんだ。
人間、脇道に逸れることも多いけれど、このおばさんは常に『真っ直ぐ』生きているのだろう。
そんなことを考えていると、またまた笑いが込みあげてくる。
必死で頬を掻いて堪える。
その時、『真っ直ぐおばさん』の知り合いと思われるおばさんが通りかかった。
怪我を見て、驚いて言う。
「まぁ、みっちゃん。何て怪我。救急車を呼びましょうか?」
救急車?
たかが擦り傷で、どうしてそんなもの呼ばないといけない?
このおばさんは、『救急車おばさん』だ。
そんなことを考えると、いよいよ吹き出しそうになる。
「救急車なんて、呼ばなくていいわよ。」
さしもの『真っ直ぐおばさん』もさすがにそう言って、僕に一瞥をくれ帰って行った。
救急車おばさん、真っ直ぐおばさんよりも強し。
駅への道中で考えてしまうとやはり笑ってしまうため、心を空っぽにして歩いた。
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