白雪とギャル男

いっき

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野崎が僕の分の食事まで運び、向かいの席に座る。
僕は、言い出した。
「ねぇ、野崎…さん。野崎さんって、すごくいい人だと思う。強いし、面白いし、男らしい。」
「急に、どうした?」
野崎は、不意を突かれながらも笑って返した。
「でも、あんたに友美をやることはできない。だって、この世界で、僕が一番友美のことを愛している。」
僕は、前髪を元に戻し眼鏡をかけた。
「僕が、友美の彼氏なんだから。」
野崎は少し驚いた顔をしたが、急に笑い出した。
腹を抱えて、大笑い。
そして、訝しがる僕に言う。
「いやぁ、ごめん、ごめん。ちょっとトイレ行くから、待ってて。」
女子トイレへ入って行った。
いや、お前、女子トイレはまずいだろう…。
そう思ったが、しばらくの後、僕はさらに驚くことになる。
何と、女子トイレから、メイクをしたギャルの友美が出てきたのだ!
あっけにとられる僕に、友美は言った。
「ごめん、野崎って、実は私だったの。」

「ごめん、ねぇ、ごめんって。機嫌直してよぉ。」
僕は、プンプン怒って帰路についていた。
人をコケにするのにも程がある。
それに、男に戻ってしまったらこの格好、ただの変態だし、女のまま帰らなくてはならない。
もう、さんざんだ。
すると、路地裏から酔っ払いが現れ、急に僕の肩へ手を回した。
「べっぴんなお嬢ちゃん、俺の相手をしてく…いてててて!」
「私の連れに、何か用?」
友美が酔っ払いの手を捻り、すごい目で睨む。
酔っ払いは、いそいそと逃げて行った。
僕は友美と目を合わす。
何だか可笑しくなって、お互い、大笑いした。
腹の皮がよじれるほどの、大笑い。
笑い終わって、僕は聞いた。
「なぁ、どうしてこんなことしたん?」
「たまには、こういうデートもしてみたかったの。」
「こういうデートって…。僕が来なかったら、どうするつもりだったん?」
「あんたなら、絶対来ると思ってた。まさか、白雪の姿で来てくれるとは思わなかったけど。」
そう言って、いたずらそうに笑った。
やれやれ。
僕はいつもこの自由女に振り回される。
でも、案外、僕もこういうのを求めているのかも知れない。
一見、『美女同士』の僕達は、はたから見ると楽しげな『ガールズトーク』をしながら家への道を歩んでいた。
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