雪ごたつ

いっき

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ソノーから、『雪ごたつ』が開発された。
こたつの中で本当に500年前の冬が再現され、雪が降る。
省電力のこの商品は、飛ぶように売れた。

しかし、ここで一つの問題が発生した。
『雪ごたつ』では下半身を冷やす。
しかし、それは人間の健康上よくない。
それに、頭を冷やさないとやはり熱中症になってしまうのだ。

「それでは、今度は『被る雪ごたつ』を開発しましょう」

また、古達が提案する。

「被る雪ごたつ?」

「そうです。雪ごたつを人間の頭のサイズに合わせて小型化するのです。そして、こたつ布団は既存の透明のものを使用すれば、被った人も前が見えるし、何の問題もありません」

「なるほど! すごい。君は、我が社の誇り……いや、この世界の救世主だ」

すぐに『被る雪ごたつ』が開発、販売された。
さらに省電力で、何処へ行っても効果を発揮するこの商品は世界中で売れた。
頭に透明布団の雪ごたつを乗せた人々が、街を行き交うようになった。

その使用は人間だけに留まらなかった。
大量の電力を使用して冷房を効かせた畜舎へ収容されていた、暑さに弱い牛などの産業動物にも、各々に合ったサイズのものが開発され、装着されたのだ。
畜舎の冷房に費やされていた大量の電力は、糞尿処理に有効利用されるようになり、畜産環境も良くなった。

世界的な大ヒット商品を生み出した古達は、ソノーの偉大なる社長となった。
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