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三人に一人
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美夏が病院で貰う内服薬が変わったのは、海蛍の洞窟へ行った日から数週間後のことだった。
彼女が診察を受けたその日、いつもと同じように夕食後に彼女が飲む薬。それに少し、違和感を覚えた。
「美夏……もしかして薬、変わったの?」
僕が何気ないようにその言葉を発した瞬間に美夏の顔は硬直し、不自然な沈黙が流れた。
永久に続くかとも思われたその沈黙の中。恐る恐る口を開く彼女に得体の知れない緊張が走るのを感じた。
「いいじゃん。薬変わったって、何でもないよ」
「何でもないってことはないだろ! 今までの薬、効かなくなったのか?」
つい声を荒らげてしまった僕に美夏の顔は引き攣って、瞳を微かに潤ませた。
「……ごめん」
いたたまれなくなった僕の口からその言葉が零れ落ちた。すると美夏は、頬に一筋の涙を伝わせてそっと目を瞑った。
「ねぇ……涼平兄ちゃん。私ね」
彼女の震える声が僕の心を震わせた。
「どうやら、『三人に一人』みたいなんだ」
彼女はそう言って、力なく笑った。
「美夏、どうして、それを……」
両親は内緒にしていたはずなのに……僕はその言葉を飲み込んだ。
何故なら、そんな事を言う以前に。『三人に一人』という、すぐに意味が分かったその言葉を僕は信じたくなかったから。
彼女が診察を受けたその日、いつもと同じように夕食後に彼女が飲む薬。それに少し、違和感を覚えた。
「美夏……もしかして薬、変わったの?」
僕が何気ないようにその言葉を発した瞬間に美夏の顔は硬直し、不自然な沈黙が流れた。
永久に続くかとも思われたその沈黙の中。恐る恐る口を開く彼女に得体の知れない緊張が走るのを感じた。
「いいじゃん。薬変わったって、何でもないよ」
「何でもないってことはないだろ! 今までの薬、効かなくなったのか?」
つい声を荒らげてしまった僕に美夏の顔は引き攣って、瞳を微かに潤ませた。
「……ごめん」
いたたまれなくなった僕の口からその言葉が零れ落ちた。すると美夏は、頬に一筋の涙を伝わせてそっと目を瞑った。
「ねぇ……涼平兄ちゃん。私ね」
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「どうやら、『三人に一人』みたいなんだ」
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「美夏、どうして、それを……」
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