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体の中の悪魔
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『三人に一人』……その言葉をただただ肯定するかのように、その日から美夏の病状は日に日に悪くなった。そして病状の悪化に伴って、彼女は高熱を出して寝込むことも多くなっていった。
その度に。美夏が高熱と闘う度に、僕は彼女の手をぎゅっと固く握った。
もしこの世に神が存在するなら、どうか、僕から美夏を奪わないで下さい。たとえこの身が切り刻まれても構わない。だから……。
彼女の手を強く握って。僕はそう祈り続けたのだ。
時間が経過するごとに頻度と酷さを増してゆく彼女の高熱は、まるで神様が気まぐれに祈りを聞き入れてくれたかのように、その日はどうにか治まった。その禍々しい熱を必死の想いで自らの内に封じた彼女は、涙で滲ませた瞳を僕に向けた。
「涼平兄ちゃん。私、怖いの」
その手は、堰を切ったように次から次へと目から溢れ出す涙をぐっと押さえた。
「私の体の中の悪魔に、涼平兄ちゃんのいない所に……誰もいない、どこか遠くに連れて行かれそうで。悪魔に何もかもを奪われそうで。私、怖くて堪らない……」
その言葉が僕の胸に熱い奔流となって流れ込んで。僕は彼女を抱き締めずにいられなかった。強く、強く。彼女が悪魔にさらわれてしまわぬように。
そして、僕は祈った。
どうか、美夏の痛みを苦しみを少しでも僕に分けて下さい。それで僅かでも彼女の苦しみが和らぐのなら、少しでも僕に……。
彼女のその、壊れそうなほどに儚い身体をこの胸に抱いて、僕は祈り続けた。そんな僕の目からも、痛くなるほどに熱い涙が流れ出した。
その度に。美夏が高熱と闘う度に、僕は彼女の手をぎゅっと固く握った。
もしこの世に神が存在するなら、どうか、僕から美夏を奪わないで下さい。たとえこの身が切り刻まれても構わない。だから……。
彼女の手を強く握って。僕はそう祈り続けたのだ。
時間が経過するごとに頻度と酷さを増してゆく彼女の高熱は、まるで神様が気まぐれに祈りを聞き入れてくれたかのように、その日はどうにか治まった。その禍々しい熱を必死の想いで自らの内に封じた彼女は、涙で滲ませた瞳を僕に向けた。
「涼平兄ちゃん。私、怖いの」
その手は、堰を切ったように次から次へと目から溢れ出す涙をぐっと押さえた。
「私の体の中の悪魔に、涼平兄ちゃんのいない所に……誰もいない、どこか遠くに連れて行かれそうで。悪魔に何もかもを奪われそうで。私、怖くて堪らない……」
その言葉が僕の胸に熱い奔流となって流れ込んで。僕は彼女を抱き締めずにいられなかった。強く、強く。彼女が悪魔にさらわれてしまわぬように。
そして、僕は祈った。
どうか、美夏の痛みを苦しみを少しでも僕に分けて下さい。それで僅かでも彼女の苦しみが和らぐのなら、少しでも僕に……。
彼女のその、壊れそうなほどに儚い身体をこの胸に抱いて、僕は祈り続けた。そんな僕の目からも、痛くなるほどに熱い涙が流れ出した。
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