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二.ペットショップでの運命の出会い
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夏休みに入ってから三日間、僕は何もする気が起こらずぼんやりしていた。本当だったら一緒に帰ってくるはずだったポンがいない。僕の心にぽっかりと大きな穴があいていた。
四日目、友達の佐野君が心配して家に来てくれた。
「洋介(ようすけ)、大丈夫?ラジオたいそうにもプールにも来ないし、みんなも先生も心配してるよ」
「ありがとう、大丈夫だよ。いつも夏休みの宿題、最後の日に残してしまうから今年は早くから取りかかってたんだ」
全然進んでいない宿題をかくしてそう言った。
「それならいいけど」
佐野君は、まだ心配そうだ。
こんなに心配してくれる友達をもって、僕も幸せだ。そう思った。
すると、佐野君はふと思い出したように言った。
「そうだ。洋介、知ってる? となり町にペットショップがあるんだ。犬や猫もいるし、リスやハムスター……とにかく、色んな動物がいるんだ。一緒に行ってみない?」
ハムスターと言ってから、気をつかったのが分かった。これ以上友達を心配させてはいけない。僕は、笑顔で「うん、行こう!」と言った。
となり町のペットショップには、佐野君の言った通り犬や猫の他、リス、ヘビ、トカゲ、色んな動物がいた。佐野君が気をつかってか、ハムスターのケージの場所には行かなかった。
僕の足は、『フクロモモンガ』と書かれたタグの前で止まった。
「かわいい」
飼育ケースの中で寝ているモモンガに釘付けとなった。ワラをだいて丸まっていて、少しとがった口元がかわいい。それに、灰色の中央に黒い一本線の入ったもようといい、寝ぼすけなところといい、ポンに似ている。値段を見た。
三万円。
佐野君に聞いてみる。
「ねぇ、今、貯金いくらある?」
「僕? 千円くらいかな。」
僕の全財産は二千円。もし佐野君から借りたとしても、ゼロが一つ足りない。
佐野君と一緒に見ていると、モモンガが目をあけた。くりっと大きな目だ。
佐野君もモモンガを好きになったらしく、二人でじっと見ていた。モモンガは、ヒゲを動かしてキョロキョロ辺りをうかがい、またワラをだいて眠りについた。
「いいなぁ」
「かわいい」
僕たちは、うっとりとながめていた。すると、一人の女の子が僕たちに声をかけた。
「フクロモモンガ、好きなの?」
見ると、僕たちと同い年くらいの、左目の下に小さなホクロのある、ぱっちりと大きな目をした女の子だった。佐野君は、かわいい女の子に話しかけられ、真っ赤になってもじもじしている。
「うん」
僕は言った。
「モモンガ、僕の親友と似てるんだ。ハムスターでもう死んじゃったんだけど、灰色の真ん中に黒い一本線があるところも、寝ぼすけなところも、ポンとそっくり」
すると女の子は、にこっとした。
「変わった子。ハムスターを親友って言う人、初めて見た」
そして、「ちょっと待ってて」と言い、店の奥へ入って行った。しばらくすると、小さな巾着を持って出てきて僕に渡した。
「あげる。大切に育ててあげてね」
巾着を開いてみると、小さなフクロモモンガの子供のくりっとした大きなひとみと目が合った。すぐにとじた。
「ここ、私のお父さんの店なんだ。私もフクロモモンガを飼ってて子供がうまれたんだけど、もうじきお母さんと遠くの町へ引っ越さなければならなくて。フクロモモンガの子供たち、私の友達にあげたんだけど、その子だけ、もらい手がなかったの」
女の子は少し悲しそうな顔をした。
「本当に?もらえるの?」
「ありがとう、大切に育てます」
僕たちは女の子の悲しそうな顔には気付かず、モモンガをもらえたことがただ夢のようにうれしかった。
四日目、友達の佐野君が心配して家に来てくれた。
「洋介(ようすけ)、大丈夫?ラジオたいそうにもプールにも来ないし、みんなも先生も心配してるよ」
「ありがとう、大丈夫だよ。いつも夏休みの宿題、最後の日に残してしまうから今年は早くから取りかかってたんだ」
全然進んでいない宿題をかくしてそう言った。
「それならいいけど」
佐野君は、まだ心配そうだ。
こんなに心配してくれる友達をもって、僕も幸せだ。そう思った。
すると、佐野君はふと思い出したように言った。
「そうだ。洋介、知ってる? となり町にペットショップがあるんだ。犬や猫もいるし、リスやハムスター……とにかく、色んな動物がいるんだ。一緒に行ってみない?」
ハムスターと言ってから、気をつかったのが分かった。これ以上友達を心配させてはいけない。僕は、笑顔で「うん、行こう!」と言った。
となり町のペットショップには、佐野君の言った通り犬や猫の他、リス、ヘビ、トカゲ、色んな動物がいた。佐野君が気をつかってか、ハムスターのケージの場所には行かなかった。
僕の足は、『フクロモモンガ』と書かれたタグの前で止まった。
「かわいい」
飼育ケースの中で寝ているモモンガに釘付けとなった。ワラをだいて丸まっていて、少しとがった口元がかわいい。それに、灰色の中央に黒い一本線の入ったもようといい、寝ぼすけなところといい、ポンに似ている。値段を見た。
三万円。
佐野君に聞いてみる。
「ねぇ、今、貯金いくらある?」
「僕? 千円くらいかな。」
僕の全財産は二千円。もし佐野君から借りたとしても、ゼロが一つ足りない。
佐野君と一緒に見ていると、モモンガが目をあけた。くりっと大きな目だ。
佐野君もモモンガを好きになったらしく、二人でじっと見ていた。モモンガは、ヒゲを動かしてキョロキョロ辺りをうかがい、またワラをだいて眠りについた。
「いいなぁ」
「かわいい」
僕たちは、うっとりとながめていた。すると、一人の女の子が僕たちに声をかけた。
「フクロモモンガ、好きなの?」
見ると、僕たちと同い年くらいの、左目の下に小さなホクロのある、ぱっちりと大きな目をした女の子だった。佐野君は、かわいい女の子に話しかけられ、真っ赤になってもじもじしている。
「うん」
僕は言った。
「モモンガ、僕の親友と似てるんだ。ハムスターでもう死んじゃったんだけど、灰色の真ん中に黒い一本線があるところも、寝ぼすけなところも、ポンとそっくり」
すると女の子は、にこっとした。
「変わった子。ハムスターを親友って言う人、初めて見た」
そして、「ちょっと待ってて」と言い、店の奥へ入って行った。しばらくすると、小さな巾着を持って出てきて僕に渡した。
「あげる。大切に育ててあげてね」
巾着を開いてみると、小さなフクロモモンガの子供のくりっとした大きなひとみと目が合った。すぐにとじた。
「ここ、私のお父さんの店なんだ。私もフクロモモンガを飼ってて子供がうまれたんだけど、もうじきお母さんと遠くの町へ引っ越さなければならなくて。フクロモモンガの子供たち、私の友達にあげたんだけど、その子だけ、もらい手がなかったの」
女の子は少し悲しそうな顔をした。
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