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通信機能は切断されたはずのガラケーだった。僕の机の引き出しの中に眠っていたはずの携帯電話。
僕は今日、それを気まぐれに引っ張り出した。
それを充電器に繋いで、電源を入れてみた。ガラケーに保存していた写真なんかのデータを、僕は今使っているスマホに移動させていない。
どんな写真を保存していたかな……?
もう何年も前に使わなくなったものだったので、そんなワクワクもあった。
「わぁ、懐かしい……」
思わず、口をついて出た。
それに保存されていたのは、大学生時代の学祭の写真やサークルで行った旅行……そんな、懐かしい思い出の数々だった。
学生時代の貴重な思い出の数々……それが、携帯の中に積み重なっていた。
僕はぼんやりとそれを眺めながら、「あれ?」と一つのことを疑問に思った。
学生時代の思い出の数々……それはとっても美しく、素敵なものなのだけれど。何か、最も大事なものが抜け落ちている気がした。
それに、こんなに大事なものをスマホに移さずに、今まで机の引き出しの中にしまっていた。どうして?
その疑問が僕の頭に浮かんだ途端、頭にツーンと偏頭痛が起こった。
そして……信じられないことが起こった。
何と、そのガラケーがメール受信画面に切り替わったのだ。
「うそだろ……」
僕はスマホに機種変更して、このガラケーには通信機能はないはずなのに。
そんなことを思っているうちに、一件のメールが届いた。僕は恐る恐る、それを開いてみた。
『さーくん、久しぶり! 元気してた? ちゃんと、栄養のあるもの、食べてる? 心配してるんだ。だってさーくん、私がいないといっつもカップ麺ばかりだし(苦笑)』
誰だろう……?
僕の名前は智(さとし)。昔、確かに『さーくん』と呼ばれていたことがある。だけれども……誰に、だったかどうしても思い出せない。
差出人の名前は登録されていない。しかし、差出人のメールアドレスを見ると、僕はまた、ツーンと偏頭痛がした。
そして……僕はまるで自動的に、そのメールに返信した。
『うん。僕、今は実家暮らしだから、食生活はきちんとしているよ』
そして、思い切って送信ボタンを押した。
たったそれだけのメール……だけれど、僕の心臓はバクバクと高鳴っていた。
だって、メールの相手が誰なのか分からないし、何より、あり得ないことなのだから。
すると、程なくして。
ガラケーはまたも、メールの受信画面に切り替わった。
『そっか、それなら安心だよね。でも、ちょっと残念……。だって、ひとちゃん特製の野菜たっぷりクッパ。その作り方、教えてあげようと思ったんだけどね』
ひとちゃん……? 野菜たっぷりクッパ?
その言葉を見た途端、またもツーンと偏頭痛が起こって。
「仁美(ひとみ)……」
僕の口からは、またもまるで自動的に、その名前が出た。
『仁美? 本当に、仁美なのか? どうしたんだよ、どこにいるんだよ?』
僕はその文面で送信した。
僕は今日、それを気まぐれに引っ張り出した。
それを充電器に繋いで、電源を入れてみた。ガラケーに保存していた写真なんかのデータを、僕は今使っているスマホに移動させていない。
どんな写真を保存していたかな……?
もう何年も前に使わなくなったものだったので、そんなワクワクもあった。
「わぁ、懐かしい……」
思わず、口をついて出た。
それに保存されていたのは、大学生時代の学祭の写真やサークルで行った旅行……そんな、懐かしい思い出の数々だった。
学生時代の貴重な思い出の数々……それが、携帯の中に積み重なっていた。
僕はぼんやりとそれを眺めながら、「あれ?」と一つのことを疑問に思った。
学生時代の思い出の数々……それはとっても美しく、素敵なものなのだけれど。何か、最も大事なものが抜け落ちている気がした。
それに、こんなに大事なものをスマホに移さずに、今まで机の引き出しの中にしまっていた。どうして?
その疑問が僕の頭に浮かんだ途端、頭にツーンと偏頭痛が起こった。
そして……信じられないことが起こった。
何と、そのガラケーがメール受信画面に切り替わったのだ。
「うそだろ……」
僕はスマホに機種変更して、このガラケーには通信機能はないはずなのに。
そんなことを思っているうちに、一件のメールが届いた。僕は恐る恐る、それを開いてみた。
『さーくん、久しぶり! 元気してた? ちゃんと、栄養のあるもの、食べてる? 心配してるんだ。だってさーくん、私がいないといっつもカップ麺ばかりだし(苦笑)』
誰だろう……?
僕の名前は智(さとし)。昔、確かに『さーくん』と呼ばれていたことがある。だけれども……誰に、だったかどうしても思い出せない。
差出人の名前は登録されていない。しかし、差出人のメールアドレスを見ると、僕はまた、ツーンと偏頭痛がした。
そして……僕はまるで自動的に、そのメールに返信した。
『うん。僕、今は実家暮らしだから、食生活はきちんとしているよ』
そして、思い切って送信ボタンを押した。
たったそれだけのメール……だけれど、僕の心臓はバクバクと高鳴っていた。
だって、メールの相手が誰なのか分からないし、何より、あり得ないことなのだから。
すると、程なくして。
ガラケーはまたも、メールの受信画面に切り替わった。
『そっか、それなら安心だよね。でも、ちょっと残念……。だって、ひとちゃん特製の野菜たっぷりクッパ。その作り方、教えてあげようと思ったんだけどね』
ひとちゃん……? 野菜たっぷりクッパ?
その言葉を見た途端、またもツーンと偏頭痛が起こって。
「仁美(ひとみ)……」
僕の口からは、またもまるで自動的に、その名前が出た。
『仁美? 本当に、仁美なのか? どうしたんだよ、どこにいるんだよ?』
僕はその文面で送信した。
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