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〜番外編〜 Side 美樹
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今日はドキドキして、午前中の授業が全く頭に入らなかった。だって、このお昼休み……菫と凛と、お弁当を一緒に食べることになったんだから。
菫は絶世の美少女。そして、私の大自慢の親友。そんな彼女に、「凛とも仲良くなりたい」なんてことを先日話した。すると、何と……屋上で三人一緒にお昼しようなんていう、リア充爆発イベントが実現してしまったのだ。
ちなみに凛とは、菫の剣道部仲間であり、最強のイケメン美少女だ。全てが完璧な美少女だけに、何処か近寄り難い雰囲気を醸しており……ずっと仲良くなりたかったのに、今まで一度も声を掛けたことがなかった。
それが今日、そんな二人とお昼をする……美少女好きの私にとっては夢のようなシチュエーションが実現したわけで。屋上の扉の前に着くまで、高鳴る鼓動が私の胸を叩きっぱなしだった。
もう一度、大きく深呼吸する。この扉の向こうにいるのは、クラスメイト……とは言っても、私なんぞが同じ空気を吸うことすら恐れ多い、特別中の特別なのだ。ワクワクと緊張の入り混じった夢のような心地の中、思い切って扉を開けた。
その瞬間……
「わぁ、美樹! こっち、おいでよ。いいお天気で、とっても気持ちいいよ」
菫の眩しすぎる、その笑顔が私を出迎えてくれた。
しかし……
「…………」
凛の方は何処か不機嫌そうな、まるで警戒するような視線を私に向けていたのだった。
何処か不穏な空気の中、菫はのほほんと会話を進める。
「ねぇ、凛。美樹がさ、あなたと仲良くなりたいんだって!」
「へぇ、あなたが? どうして?」
凛は、「何の目的で……」と言いたげな瞳を私に向ける。そんな彼女に気圧されながら、私は自分の想いを口にした。
「凛ってすっごく綺麗でカッコよくて……完璧で。私、ずっと憧れてたの。だから、是非、あなたと仲良くなって、色々とお話したいなぁって」
「ふーん……」
凛はなおも、警戒するような目を私に向ける。
何だ、この威圧感……。菫は『凛も話してみたら面白いし、すぐに仲良くなれる』なんて言ってたけど、話が違うじゃないのよう……
そんなことを思いながら、縋るように菫を見る。
すると……
「あ、しまったぁ。教室に水筒、忘れてきちゃった」
彼女はテヘッと舌を出した。
「えっ……」
ちょっと待て。忘れてって、まさか……この状況で、私を置いて行く気!?
いつもはときめかされる菫の天然っぷりが、この時ばかりは恨めしかった。
「すぐに戻るから! しばらく二人で、楽しくお話しててね!」
菫は無邪気な笑顔を振り撒いて出て行ったけれど……これが、楽しくお話できる状況に見える!?
なんて、言えるはずもなく。気まずい沈黙を続けたまま、私は凛とお昼を続けた。
「ねぇ……」
凛がまるで、威嚇するような眼光を私に向ける。
「あなたって、菫とどういう関係?」
「えっ……普通に親友よ。あの娘、天然ですっごく可愛くって、大好き」
「ふーん、親友ね……」
彼女は牽制するような瞳を私に向ける。
こ……こわい。菫、助けてー!
そんな声にならない叫びを上げていた時、にわかに私のスマホが鳴って……菫からのメッセージが届いて、途端に私は絶望した。
『ごっめん。トイレに寄ってくから、ちょっとだけ遅くなる』って。
(やめてよ、菫。お願い、早く戻ってきてぇ!)
私はスマホを握りしめた。
だが、そんな私のスマホを見て、凛の瞳が突然に輝いた。
「菫……その待ち受け、菫じゃん!」
「え、あ……」
ヤバい。私のスマホの待ち受け画面、菫の体操着姿だったんだ。
こんなの見られて。ただでさえ気まずい空気なのに、さらに引かれる……。
しかし、凛は何やら鼻息を荒くして、少し様子がおかしかった。
「すごい……体操着姿。まるで折れそう……華奢で細い足が、ヤバすぎる!」
って、あれ? これって、どういうこと?
凛が待ち受け画面を見て、まるで鼻血を出しそうな勢いで興奮してる。
「ねぇ! この画像、私にもちょうだい! LINE、教えるから!」
「え、えぇ……」
その勢いに圧倒されながらも、
(やった! 連絡先、ゲットー!)
私は密かにガッツポーズをした。
だが、凛の興奮はまだまだ治まらなかった。
「ねぇ、ねぇ。まだ、菫のレア画像って持ってる?」
「えっ、レア画像って……」
「あるならちょうだい! 代わりに、剣道着の菫、送ってあげるから!」
「えっ、マジで!? 剣道着……ひょえー、菫がカッコいい! カッコいい菫とか、ヤバすぎる……!」
私達はあろうことか、菫の画像交換で鼻血を出すほどに盛り上がって……。
美人でカッコよくて完璧な、憧れのクラスメイトは……何と、私と同じ性癖の持ち主なのだった。
菫は絶世の美少女。そして、私の大自慢の親友。そんな彼女に、「凛とも仲良くなりたい」なんてことを先日話した。すると、何と……屋上で三人一緒にお昼しようなんていう、リア充爆発イベントが実現してしまったのだ。
ちなみに凛とは、菫の剣道部仲間であり、最強のイケメン美少女だ。全てが完璧な美少女だけに、何処か近寄り難い雰囲気を醸しており……ずっと仲良くなりたかったのに、今まで一度も声を掛けたことがなかった。
それが今日、そんな二人とお昼をする……美少女好きの私にとっては夢のようなシチュエーションが実現したわけで。屋上の扉の前に着くまで、高鳴る鼓動が私の胸を叩きっぱなしだった。
もう一度、大きく深呼吸する。この扉の向こうにいるのは、クラスメイト……とは言っても、私なんぞが同じ空気を吸うことすら恐れ多い、特別中の特別なのだ。ワクワクと緊張の入り混じった夢のような心地の中、思い切って扉を開けた。
その瞬間……
「わぁ、美樹! こっち、おいでよ。いいお天気で、とっても気持ちいいよ」
菫の眩しすぎる、その笑顔が私を出迎えてくれた。
しかし……
「…………」
凛の方は何処か不機嫌そうな、まるで警戒するような視線を私に向けていたのだった。
何処か不穏な空気の中、菫はのほほんと会話を進める。
「ねぇ、凛。美樹がさ、あなたと仲良くなりたいんだって!」
「へぇ、あなたが? どうして?」
凛は、「何の目的で……」と言いたげな瞳を私に向ける。そんな彼女に気圧されながら、私は自分の想いを口にした。
「凛ってすっごく綺麗でカッコよくて……完璧で。私、ずっと憧れてたの。だから、是非、あなたと仲良くなって、色々とお話したいなぁって」
「ふーん……」
凛はなおも、警戒するような目を私に向ける。
何だ、この威圧感……。菫は『凛も話してみたら面白いし、すぐに仲良くなれる』なんて言ってたけど、話が違うじゃないのよう……
そんなことを思いながら、縋るように菫を見る。
すると……
「あ、しまったぁ。教室に水筒、忘れてきちゃった」
彼女はテヘッと舌を出した。
「えっ……」
ちょっと待て。忘れてって、まさか……この状況で、私を置いて行く気!?
いつもはときめかされる菫の天然っぷりが、この時ばかりは恨めしかった。
「すぐに戻るから! しばらく二人で、楽しくお話しててね!」
菫は無邪気な笑顔を振り撒いて出て行ったけれど……これが、楽しくお話できる状況に見える!?
なんて、言えるはずもなく。気まずい沈黙を続けたまま、私は凛とお昼を続けた。
「ねぇ……」
凛がまるで、威嚇するような眼光を私に向ける。
「あなたって、菫とどういう関係?」
「えっ……普通に親友よ。あの娘、天然ですっごく可愛くって、大好き」
「ふーん、親友ね……」
彼女は牽制するような瞳を私に向ける。
こ……こわい。菫、助けてー!
そんな声にならない叫びを上げていた時、にわかに私のスマホが鳴って……菫からのメッセージが届いて、途端に私は絶望した。
『ごっめん。トイレに寄ってくから、ちょっとだけ遅くなる』って。
(やめてよ、菫。お願い、早く戻ってきてぇ!)
私はスマホを握りしめた。
だが、そんな私のスマホを見て、凛の瞳が突然に輝いた。
「菫……その待ち受け、菫じゃん!」
「え、あ……」
ヤバい。私のスマホの待ち受け画面、菫の体操着姿だったんだ。
こんなの見られて。ただでさえ気まずい空気なのに、さらに引かれる……。
しかし、凛は何やら鼻息を荒くして、少し様子がおかしかった。
「すごい……体操着姿。まるで折れそう……華奢で細い足が、ヤバすぎる!」
って、あれ? これって、どういうこと?
凛が待ち受け画面を見て、まるで鼻血を出しそうな勢いで興奮してる。
「ねぇ! この画像、私にもちょうだい! LINE、教えるから!」
「え、えぇ……」
その勢いに圧倒されながらも、
(やった! 連絡先、ゲットー!)
私は密かにガッツポーズをした。
だが、凛の興奮はまだまだ治まらなかった。
「ねぇ、ねぇ。まだ、菫のレア画像って持ってる?」
「えっ、レア画像って……」
「あるならちょうだい! 代わりに、剣道着の菫、送ってあげるから!」
「えっ、マジで!? 剣道着……ひょえー、菫がカッコいい! カッコいい菫とか、ヤバすぎる……!」
私達はあろうことか、菫の画像交換で鼻血を出すほどに盛り上がって……。
美人でカッコよくて完璧な、憧れのクラスメイトは……何と、私と同じ性癖の持ち主なのだった。
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