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第三章 王都への旅
96.異変
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船での旅ももう6日目となっていた。
それまでの間は、甲板で訓練したり、女性陣(いつの間にかフラムも加わった)が夕食で気に入った料理をエイシェルに食べさせ続けたりと変らない日々を過ごしていた。
……途中でフェルスがフラムとフルームに怒られたり、甲板でのトレーニングに騎士団員が参加したり、トレーニング室で騎士団の対決があったり、メルカが人知れず寝込んでいたり、アリスの寝起きが遅くなったりとちょっとしたことはあったがだいたい変わらない日々を過ごしていた。
ちなみに、甲板の訓練ではフラムが中距離攻撃の魔法をマスターしていたり、エイシェルが氷の矢を安定して短時間で出せるほどに成果が出ていた。
フラムとアリスは相変わらず剣を生み出すことは出来ずにいたが、炎を自在に操ることが出来るほどになっていた。
そんな日の昼前に異変が訪れた。
「なんだか今日はやけに船が揺れるな」
「何日も船の上だからねー。そりゃ波が荒れる日もあるよ。そもそもここ最近ずっと天気良かったから、そっちの方が珍しいんじゃない?昔、雨風強い日もあったけど船はいつも港に着いてるし、この程度は大丈夫じゃないかな?」
「言われてみればそうだな」
いつものように甲板で特訓をしていた4人。
少し天候が悪くなっており、波が高くなっているようだった。
それでも船内に置いてあるものが落ちるほどではなく、ここ数日と比べて特に揺れているなー程度である。
それだけ船がしっかりと作られている事を意味していた。
そんな中エイシェルは初めての船旅の中での揺れに慣れず思わず思った事を口に出したのだ。
そんな中フルームが気にしなくて良いと返事をする。
フルームの話を聞き少し安心するエイシェルだった。
「……むぅ」
「アリス膨れないの」
「別に……膨れてないもん……」
少し離れたところで相変わらず炎の剣を魔法で作り出そうとしているアリスとフラムがいた。
先日の件からエイシェルとフルームの距離が近いのだ。
フルームからは邪魔をする気はないし、そもそも心配しなくていいと言われており、むしろ一緒に会話に入ってきてと言われているが、楽しそうに話しているのを見るとなかなかそうもいかない。
炎の剣が上手く作れないのと会話に入れないことでアリスはもやもやしていた。
「はぁ……ほら、午前はもう終わりにして一緒に行くわよ?」
「あ……うん……」
見かねたフラムがアリスに声をかける。
少し早いが練習に身が入らないため切り上げることにした。
アリスも練習に集中できないとわかっていたため素直に聞き入れる。
「エイシェル、フルーム。午前はこれくらいにしない?ほら、天気も悪くなってきてるし船の中に入りましょう?」
「そうだな、そろそろ戻ろうか」
「そろそろ雨降ってきそうだもんね」
フラムが船内に戻ろうと提案し、エイシェルとフルームも特に反対することもなく4人は船内へ戻ることにした。
船内に入り通路を歩いているとフェルスと鉢合った。
どうやらフェルスはこれから甲板にでるようだ。
「やぁ、みんな」
「こんにちはフェルスさん、もうすぐ雨が降りそうな天気ですけど、外に用事ですか?」
「ちょっと気になることがあってね……。外を確認しようとしているところだよ」
「気になることって……なんか危ないこと?」
エイシェルが何気なくフェルスに質問すると、気になることがあると濁した回答が返ってきた。
そこでフラムは直感的になにかあると感じ詳細を確認しようと突っ込んで聞いてみたのだ。
「そうだな…………お前たちには話しておくか。騎士団の情報でこの近海に化け物が出ると噂があるんだ。必ず天候が悪い日に現れるとかで、今の状況が似てたから念のため周囲を確認してみようと思ったわけだ」
「化け物……いったいどんなやつなんです?」
「なんでも巨大なタコのような魔物らしい。目撃情報も他の船が海に引きずり込まれたのを遠くから見たとしかないから、魔物の詳細情報がないんだ。もしそんなものが現れたらなす術もない。だからもしその魔物が現れてもすぐ逃げられるように周囲を確認しようと今から行くところだ。杞憂ならそれに越したことはないからな」
フェルスは一瞬話して良いものが迷ったが、この4人であれば話してもいいだろうと考え、騎士団で得た情報を話すことにした。
話を聞く限りとても巨大な魔物のようで出会ったが最後、海の底に沈められる未来しか見えなかった。
そのため、フェルスの言うように少しでも怪しいものを見つけたら逃げるのが得策である。
「そう言うことなら手伝いますよ。みんなもいいか?」
「もちろん。ひとりより5人の方が早く気付けるし、聞いたところ逃げるしかなさそうな相手だしね。」
「事情を聞いた手前パパだけに任せるなんて出来ないからね」
「こう言う時は相談してよねー。私達も冒険者なんだから」
「お前たち……恩にきる。騎士団員にも声をかけたから後で集まってくるはずだ。何もなければそれでいい。いや、何もない事を祈る」
4人はフェルスと共に甲板へと戻るのだった。
「私は前方を見張る。お前たちは左右と後ろを頼む」
「りょーかい!私は左見てるからお姉ちゃんは右をお願い」
「分かったわ。エイシェルとアリスは後ろをお願いするわね」
「分かった」
「任せて」
スムーズに役割を決めそれぞれ配置についた。
エイシェルとアリスを2人とも後方に配置したのはフルームの気遣いである。
最近アリスがフルームとエイシェルとの距離をあからさまに気にしている素振りを見せるため、少しでも不安が無くなればと思ったのだ。
そんな事は知らないアリスとエイシェルは真面目に後方の監視をしている。
「こう見てると初めて港町に行った事を思い出すな」
「えぇ、メルカさんの護衛をしていた時にハクが来たやつね。正直生きた心地がしなかったわよ」
「本当にな。今回は何もないと信じたいが…………あれはなんだ……?」
「まさか……本当に……?」
2人はよく目を凝らして見ると遠くにうねるように泳ぐ影が見えた。
最初は例の魔物かと思ったが、よく見て見るとその影はとても既視感のあるもので、少し考えただけで正体が分かった。
「いや、あれは……この前の……!?」
「あー、多分ハクね……って、なんでいるのよ!?」
「どのみち何が起こるか分からない!逃げるようにフェルスさんに言おう!」
「そ、そうね!また言う事を聞いてくれるか分からないし……」
以前襲われかけた事から逃げるのが先決と考えたエイシェル。今度は襲われるかもしれない、そう思うと脅威は例の魔物と比べても大差はなかった。
しかし、アリスの温度感は違ったものだった。
何故か分からないが一度襲われかけた白蛇を脅威とは思えなかったのだ。
何故ここにいるのか疑問には思ったが、エイシェルの焦りを感じ逃げることに同意したのだった。
「そうと決まれば……フェルスさん!!後ろから何かが迫ってきてる!!早く逃げた方がいい!!」
「なんだって!?」
「嘘でしょ!?」
「最近こういうの多すぎない!?」
エイシェルとアリスがフェルスに逃げるように言うと、間にいたフラムとフルームからも反応があった。
フルームの言う通りエイシェル、アリスと行動を共にしてからは普通出会うことの無いであろう珍しい魔物とよく遭遇する。
それはまるで意図的に仕組まれたもののようだった。
それまでの間は、甲板で訓練したり、女性陣(いつの間にかフラムも加わった)が夕食で気に入った料理をエイシェルに食べさせ続けたりと変らない日々を過ごしていた。
……途中でフェルスがフラムとフルームに怒られたり、甲板でのトレーニングに騎士団員が参加したり、トレーニング室で騎士団の対決があったり、メルカが人知れず寝込んでいたり、アリスの寝起きが遅くなったりとちょっとしたことはあったがだいたい変わらない日々を過ごしていた。
ちなみに、甲板の訓練ではフラムが中距離攻撃の魔法をマスターしていたり、エイシェルが氷の矢を安定して短時間で出せるほどに成果が出ていた。
フラムとアリスは相変わらず剣を生み出すことは出来ずにいたが、炎を自在に操ることが出来るほどになっていた。
そんな日の昼前に異変が訪れた。
「なんだか今日はやけに船が揺れるな」
「何日も船の上だからねー。そりゃ波が荒れる日もあるよ。そもそもここ最近ずっと天気良かったから、そっちの方が珍しいんじゃない?昔、雨風強い日もあったけど船はいつも港に着いてるし、この程度は大丈夫じゃないかな?」
「言われてみればそうだな」
いつものように甲板で特訓をしていた4人。
少し天候が悪くなっており、波が高くなっているようだった。
それでも船内に置いてあるものが落ちるほどではなく、ここ数日と比べて特に揺れているなー程度である。
それだけ船がしっかりと作られている事を意味していた。
そんな中エイシェルは初めての船旅の中での揺れに慣れず思わず思った事を口に出したのだ。
そんな中フルームが気にしなくて良いと返事をする。
フルームの話を聞き少し安心するエイシェルだった。
「……むぅ」
「アリス膨れないの」
「別に……膨れてないもん……」
少し離れたところで相変わらず炎の剣を魔法で作り出そうとしているアリスとフラムがいた。
先日の件からエイシェルとフルームの距離が近いのだ。
フルームからは邪魔をする気はないし、そもそも心配しなくていいと言われており、むしろ一緒に会話に入ってきてと言われているが、楽しそうに話しているのを見るとなかなかそうもいかない。
炎の剣が上手く作れないのと会話に入れないことでアリスはもやもやしていた。
「はぁ……ほら、午前はもう終わりにして一緒に行くわよ?」
「あ……うん……」
見かねたフラムがアリスに声をかける。
少し早いが練習に身が入らないため切り上げることにした。
アリスも練習に集中できないとわかっていたため素直に聞き入れる。
「エイシェル、フルーム。午前はこれくらいにしない?ほら、天気も悪くなってきてるし船の中に入りましょう?」
「そうだな、そろそろ戻ろうか」
「そろそろ雨降ってきそうだもんね」
フラムが船内に戻ろうと提案し、エイシェルとフルームも特に反対することもなく4人は船内へ戻ることにした。
船内に入り通路を歩いているとフェルスと鉢合った。
どうやらフェルスはこれから甲板にでるようだ。
「やぁ、みんな」
「こんにちはフェルスさん、もうすぐ雨が降りそうな天気ですけど、外に用事ですか?」
「ちょっと気になることがあってね……。外を確認しようとしているところだよ」
「気になることって……なんか危ないこと?」
エイシェルが何気なくフェルスに質問すると、気になることがあると濁した回答が返ってきた。
そこでフラムは直感的になにかあると感じ詳細を確認しようと突っ込んで聞いてみたのだ。
「そうだな…………お前たちには話しておくか。騎士団の情報でこの近海に化け物が出ると噂があるんだ。必ず天候が悪い日に現れるとかで、今の状況が似てたから念のため周囲を確認してみようと思ったわけだ」
「化け物……いったいどんなやつなんです?」
「なんでも巨大なタコのような魔物らしい。目撃情報も他の船が海に引きずり込まれたのを遠くから見たとしかないから、魔物の詳細情報がないんだ。もしそんなものが現れたらなす術もない。だからもしその魔物が現れてもすぐ逃げられるように周囲を確認しようと今から行くところだ。杞憂ならそれに越したことはないからな」
フェルスは一瞬話して良いものが迷ったが、この4人であれば話してもいいだろうと考え、騎士団で得た情報を話すことにした。
話を聞く限りとても巨大な魔物のようで出会ったが最後、海の底に沈められる未来しか見えなかった。
そのため、フェルスの言うように少しでも怪しいものを見つけたら逃げるのが得策である。
「そう言うことなら手伝いますよ。みんなもいいか?」
「もちろん。ひとりより5人の方が早く気付けるし、聞いたところ逃げるしかなさそうな相手だしね。」
「事情を聞いた手前パパだけに任せるなんて出来ないからね」
「こう言う時は相談してよねー。私達も冒険者なんだから」
「お前たち……恩にきる。騎士団員にも声をかけたから後で集まってくるはずだ。何もなければそれでいい。いや、何もない事を祈る」
4人はフェルスと共に甲板へと戻るのだった。
「私は前方を見張る。お前たちは左右と後ろを頼む」
「りょーかい!私は左見てるからお姉ちゃんは右をお願い」
「分かったわ。エイシェルとアリスは後ろをお願いするわね」
「分かった」
「任せて」
スムーズに役割を決めそれぞれ配置についた。
エイシェルとアリスを2人とも後方に配置したのはフルームの気遣いである。
最近アリスがフルームとエイシェルとの距離をあからさまに気にしている素振りを見せるため、少しでも不安が無くなればと思ったのだ。
そんな事は知らないアリスとエイシェルは真面目に後方の監視をしている。
「こう見てると初めて港町に行った事を思い出すな」
「えぇ、メルカさんの護衛をしていた時にハクが来たやつね。正直生きた心地がしなかったわよ」
「本当にな。今回は何もないと信じたいが…………あれはなんだ……?」
「まさか……本当に……?」
2人はよく目を凝らして見ると遠くにうねるように泳ぐ影が見えた。
最初は例の魔物かと思ったが、よく見て見るとその影はとても既視感のあるもので、少し考えただけで正体が分かった。
「いや、あれは……この前の……!?」
「あー、多分ハクね……って、なんでいるのよ!?」
「どのみち何が起こるか分からない!逃げるようにフェルスさんに言おう!」
「そ、そうね!また言う事を聞いてくれるか分からないし……」
以前襲われかけた事から逃げるのが先決と考えたエイシェル。今度は襲われるかもしれない、そう思うと脅威は例の魔物と比べても大差はなかった。
しかし、アリスの温度感は違ったものだった。
何故か分からないが一度襲われかけた白蛇を脅威とは思えなかったのだ。
何故ここにいるのか疑問には思ったが、エイシェルの焦りを感じ逃げることに同意したのだった。
「そうと決まれば……フェルスさん!!後ろから何かが迫ってきてる!!早く逃げた方がいい!!」
「なんだって!?」
「嘘でしょ!?」
「最近こういうの多すぎない!?」
エイシェルとアリスがフェルスに逃げるように言うと、間にいたフラムとフルームからも反応があった。
フルームの言う通りエイシェル、アリスと行動を共にしてからは普通出会うことの無いであろう珍しい魔物とよく遭遇する。
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