年上好き〜溺れる欲情〜

住人②

1週間後、思わぬチャンスが
やってきた。
マンションの
防災管理で専門業者による
全室の消防点検が始まる。

在宅であれば問題ないが
留守宅は管理人である
美奈子が立ち合いの元、
実施される。マリの部屋は
毎年、美奈子が立ち合っていた。
今回、マリの部屋に
防犯と称して点検ついでに
隠しカメラを
いくつか設置してもらった。
もちろんマリは知らない。
しかも精密なカメラで
位置が分からない様にして取付た。
余り良い趣味ではなく
マリには悪いが
気持ちが勝ってしまった。
これで美奈子の部屋から
マリの中の様子が筒抜けだ。
居間、寝室、浴室、トイレまで
必要の無い所まで徹底して取付た、
完全主義は良くも悪くも
美奈子の取り柄だ。
1人暮らしの身内の女性が
心配でと思うのは言い訳か。
その夜、こっそり画面で様子を観る、
あまりの鮮明さに
驚いたが
よくわからないよりは
良いと思った。
仕事帰りで
マリは疲れた様子だが
テレビを観たり電話をしたりと
すべてがよくわかる。
その行動が
自分の独身時代と
重なって納得して
笑ってしまう時もある。
他人の生活を
垣間見るのは楽しい、
ましてや相手が
それを全く知らない、
ありのままの姿を
曝け出しているのだから。
画面を観ると
風呂に入るのか
マリは下着姿で
鏡に向かってポーズを取っている。
罪の意識を
感じつつも全てが
手に入った様な
満足感にニヤついてしまう。
観察を止め画面を
閉じた美奈子は
休日に翔が
部屋に入る事を
期待して
勝手な妄想を
して楽しんだ。

続く。