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「おはよー。昨日はありがとな。」
「おはよう。早いじゃん。気にすんなって。」
前の席の夏樹に声を掛けた。
早く来たのは途中で航に合わないためだ。アイツが学校に来る時間を避けて家を早く出てきた。
「顔をどう?」
夏樹に聞いた。
ほとんど腫れは引いたはずだけど、まだ重い感じがする。
「大丈夫。かわいい。」
「キモッ!」
笑い合った。大丈夫だ。まだ笑える。昨日も母さんと笑ったじゃないか。
それまで笑っていた夏樹の顔が急に真顔になった。
「来たぞ。」
その一言でわかった。
そしてふわりとアイツの匂いがする。
「ヒロ…。あの、あれは…」
珍しくはっきりしない言い方だ。もごもごと口籠もっている。俺は意を決して顔を見た。精悍な顔が疲れている。
「写真送っただろ?」
「え?あぁ。ヒロ、本当に…」
「親にも言った。写真も見せた。」
写真を見せたのはウソだ。あんなもの見せたら卒倒する。
「え…ウソだろ?何て…?」
「分かったって。あんなの別れるの一択だろ?ほら、人が来るから教室戻れよ。顔も見たくないんだ。」
「ヒロ…」
話しかけてきたが無視した。
航はふらふらしながら自分の教室に戻っていった。
ダメだ…泣きそうだ。俺は立ち上がって教室を出た。
人気のないトイレに篭って泣いた。
あんなに動揺するなら何であんなことしたんだよ。
ひとしきり泣いた。
コンコン。誰かがトイレのドアをノックした。
「比呂?俺。」
「夏樹?」
「大丈夫か?」
「うーん、ダメかも。」
ガチャンと鍵を開けた。夏樹が悲壮な顔をして立っている。
その顔を見たらまた泣けてきた。
「ちゃんと話せよ。岩澤と。全部ぶちまけてやれ。半殺しにしろ!オメガを何だと思ってるんだ。番いを何だと思ってるんだよ。番ってたら死ぬかもしれないんだぞ。番って相手に捨てられたオメガはみんな五年も生きないんだよ。」
夏樹がボロボロ泣き出した。
そうだ、そうなんだ。俺たちはそういう生き物なんだ。
また泣けてきた。
俺たちはトイレて泣きまくった。
すると何故かテンションが上がってやる気が出てきた。
「今日、航と話をする。決めた。」
「え?あぁ。頑張れよ。」
「おまえも来てくれ。」
「わかった。」
気が変わらないうちに航にメッセージを送った。
放課後話しがしたいと。
場所は誰も来ない視聴覚室を指定した。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
俺と夏樹はテーブルを挟んで航の前に座った。
航はずっと下を向いている。
「いつからだよ。まさかその日あった相手じゃないだろ?」
航はいや、そのと口籠もって話しが進まない。
「岩澤、スマホ見せろよ。」
夏樹が手を出した。航が驚いてその顔を見ている。
「何で…」
「何でじゃねーよ。早くしろ。」
観念したようにポケットからスマホを出した。『ロック』と夏樹の一言で渋々ロックを解除した。
俺の心臓はバクバクいっていた。
いつから?いつから浮気してた?むしろ俺が浮気相手?
怖い…。
ぎゅっと目を閉じて下を向いた。
「あー、黒だな。真っ黒。山木美涼?これだろ?」
『美涼さん…気持ちいい…』
あの時の場面がフラッシュバックする。頭がぐらぐらしてきた。手も震える。
「ふーん、二ヶ月前から?大学生か…。大人のオメガは良かったか?」
「あ、いや、違うんだ。ヒロ、本当に。」
「だから、何が違うんだよ!もういい加減にしろよ!認めろよ!」
腹が立って大声で叫んでしまった。涙がボロボロ出てくる。
何なんだよ二ヶ月前からって。
俺は涙を拭って航のスマホを見た。
『山木美涼』アイコンの顔…。間違いないな。
『航君、今日会える?』『気持ちよかった?』『かわいい』
『またエッチしようね』美涼からのメッセージばかりだが黒は黒だ。
スクロールすると次々に真っ黒なメッセージが流れてくる。もうダメだ。無理だろ。
「なあ、何が違うの?もう終わりだな。」
「ヒロ、ヒロ、ごめん。本当に…」
航は急に立ち上がったと思ったら土下座した。
泣きながらごめんなさいと繰り返している。
「何で?何でしたの?俺のどこがダメだったんだよ?」
「違う!ヒロは何も悪くない。俺が全部…ごめん、ごめんなさい。」
「何も知らない俺を騙すのは楽しかったか?」
夏樹を連れて教室を出た。終わった…。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
泣き腫らし顔の二人でファミレスにいる。チラチラ見るやつもいるかどうでもいい。
食って食って食いまくって血液を胃に送る。
少しでも考えないようにしないと。
「これで良かったのか?」
「うん。これしかないだろ。」
夏樹が不安そうに言った。スマホを見せるように言ったことを気にしているのかもしれない。
「岩澤、未練たらたらだったな。泣いて土下座するとは思わんかった。そんなことするくらい好きなら何で浮気なんかしたんだろ。」
「それな。」
俺は今も続く航からの謝罪のメッセージを見せた。
「バカだな、岩澤も。気の迷い?誘惑に勝てなかった?」
「さあな。よっぽど良かったんじゃないの?美涼さん。」
自分で言ってて悲しくなる。
仕方ないだろ。おまえが初めてなんだ。どーしろっていうんだよ。
自分のスマホをいじってた夏樹の手が止まる。
目を見開いて画面を見ていた。
「おはよう。早いじゃん。気にすんなって。」
前の席の夏樹に声を掛けた。
早く来たのは途中で航に合わないためだ。アイツが学校に来る時間を避けて家を早く出てきた。
「顔をどう?」
夏樹に聞いた。
ほとんど腫れは引いたはずだけど、まだ重い感じがする。
「大丈夫。かわいい。」
「キモッ!」
笑い合った。大丈夫だ。まだ笑える。昨日も母さんと笑ったじゃないか。
それまで笑っていた夏樹の顔が急に真顔になった。
「来たぞ。」
その一言でわかった。
そしてふわりとアイツの匂いがする。
「ヒロ…。あの、あれは…」
珍しくはっきりしない言い方だ。もごもごと口籠もっている。俺は意を決して顔を見た。精悍な顔が疲れている。
「写真送っただろ?」
「え?あぁ。ヒロ、本当に…」
「親にも言った。写真も見せた。」
写真を見せたのはウソだ。あんなもの見せたら卒倒する。
「え…ウソだろ?何て…?」
「分かったって。あんなの別れるの一択だろ?ほら、人が来るから教室戻れよ。顔も見たくないんだ。」
「ヒロ…」
話しかけてきたが無視した。
航はふらふらしながら自分の教室に戻っていった。
ダメだ…泣きそうだ。俺は立ち上がって教室を出た。
人気のないトイレに篭って泣いた。
あんなに動揺するなら何であんなことしたんだよ。
ひとしきり泣いた。
コンコン。誰かがトイレのドアをノックした。
「比呂?俺。」
「夏樹?」
「大丈夫か?」
「うーん、ダメかも。」
ガチャンと鍵を開けた。夏樹が悲壮な顔をして立っている。
その顔を見たらまた泣けてきた。
「ちゃんと話せよ。岩澤と。全部ぶちまけてやれ。半殺しにしろ!オメガを何だと思ってるんだ。番いを何だと思ってるんだよ。番ってたら死ぬかもしれないんだぞ。番って相手に捨てられたオメガはみんな五年も生きないんだよ。」
夏樹がボロボロ泣き出した。
そうだ、そうなんだ。俺たちはそういう生き物なんだ。
また泣けてきた。
俺たちはトイレて泣きまくった。
すると何故かテンションが上がってやる気が出てきた。
「今日、航と話をする。決めた。」
「え?あぁ。頑張れよ。」
「おまえも来てくれ。」
「わかった。」
気が変わらないうちに航にメッセージを送った。
放課後話しがしたいと。
場所は誰も来ない視聴覚室を指定した。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
俺と夏樹はテーブルを挟んで航の前に座った。
航はずっと下を向いている。
「いつからだよ。まさかその日あった相手じゃないだろ?」
航はいや、そのと口籠もって話しが進まない。
「岩澤、スマホ見せろよ。」
夏樹が手を出した。航が驚いてその顔を見ている。
「何で…」
「何でじゃねーよ。早くしろ。」
観念したようにポケットからスマホを出した。『ロック』と夏樹の一言で渋々ロックを解除した。
俺の心臓はバクバクいっていた。
いつから?いつから浮気してた?むしろ俺が浮気相手?
怖い…。
ぎゅっと目を閉じて下を向いた。
「あー、黒だな。真っ黒。山木美涼?これだろ?」
『美涼さん…気持ちいい…』
あの時の場面がフラッシュバックする。頭がぐらぐらしてきた。手も震える。
「ふーん、二ヶ月前から?大学生か…。大人のオメガは良かったか?」
「あ、いや、違うんだ。ヒロ、本当に。」
「だから、何が違うんだよ!もういい加減にしろよ!認めろよ!」
腹が立って大声で叫んでしまった。涙がボロボロ出てくる。
何なんだよ二ヶ月前からって。
俺は涙を拭って航のスマホを見た。
『山木美涼』アイコンの顔…。間違いないな。
『航君、今日会える?』『気持ちよかった?』『かわいい』
『またエッチしようね』美涼からのメッセージばかりだが黒は黒だ。
スクロールすると次々に真っ黒なメッセージが流れてくる。もうダメだ。無理だろ。
「なあ、何が違うの?もう終わりだな。」
「ヒロ、ヒロ、ごめん。本当に…」
航は急に立ち上がったと思ったら土下座した。
泣きながらごめんなさいと繰り返している。
「何で?何でしたの?俺のどこがダメだったんだよ?」
「違う!ヒロは何も悪くない。俺が全部…ごめん、ごめんなさい。」
「何も知らない俺を騙すのは楽しかったか?」
夏樹を連れて教室を出た。終わった…。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
泣き腫らし顔の二人でファミレスにいる。チラチラ見るやつもいるかどうでもいい。
食って食って食いまくって血液を胃に送る。
少しでも考えないようにしないと。
「これで良かったのか?」
「うん。これしかないだろ。」
夏樹が不安そうに言った。スマホを見せるように言ったことを気にしているのかもしれない。
「岩澤、未練たらたらだったな。泣いて土下座するとは思わんかった。そんなことするくらい好きなら何で浮気なんかしたんだろ。」
「それな。」
俺は今も続く航からの謝罪のメッセージを見せた。
「バカだな、岩澤も。気の迷い?誘惑に勝てなかった?」
「さあな。よっぽど良かったんじゃないの?美涼さん。」
自分で言ってて悲しくなる。
仕方ないだろ。おまえが初めてなんだ。どーしろっていうんだよ。
自分のスマホをいじってた夏樹の手が止まる。
目を見開いて画面を見ていた。
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