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「おめでとう比呂。よく頑張ったね。」
「ありがとう。京介さんのおかげです。」
週末に京介さんがお祝いしてくれた。有名なレストランを予約してくれてプレゼントまで用意してくれていた。
「今日は泊まれる?」
「うん。」
その日の京介さんはすごかった。初めて結ばれた時のことを思い出した。
「今日すごい…。どうしたの?」
「ん?いつもセーブしてだんだよ。次の日立てなくなったら困るだろ?」
「え?そーなの?」
「あぁ、でも今日はダメだ。比呂ほら、もう一回…。」
ちゅっちゅっとキスしてすぐに舌が潜り込んでくる。口の中を舐められて舌を吸われた。身体中にキスマークをつけながらまた京介さんの熱が入り込んできた。
「はぁ、気持ちいい…、比呂、最高…。」
「あっ、あっ、あっ、あぁん、はぁ、あぁ!」
何度も何度もイかされて最後は気を失ってしまった。
「比呂と卒業旅行に行きたいな。」
「あ、夏樹と約束しちゃった…。」
「そうか、残念だな。まぁ、でも四月から一緒に暮らせるし。我慢するか。」
「ごめん。でも、ゴールデンウィークとかは?あ、でもすごい混むか…。」
「混んでも構わないよ。どこか行こうか。」
ちゅっと頭にキスしてくれた。次の日動けなくなった俺の世話をしてくれた。まぁ、京介さんのせいなんだけどね!
こうやって未来の予定を立てられるのも嬉しい。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「今日で卒業かぁ。比呂、元気でな。」
「いや、同じ大学で同じ学部だろ。」
三月九日、俺たちの卒業式だ。あっという間の三年間だった。辛いこともあったけど楽しいこともいっぱいあった。
クラスメイトが泣いたり笑ったりしているのを眺めている。
この後みんなでカラオケに行くみたいだ。
「おまえ、結局恋人は出来なかったな。」
「俺は理想が高いんだ。」
夏樹には何だかんだで三年間世話になりっぱなしだ。
こいつは可愛い顔をしていてそこそこモテるはずなのに浮いた話は一つもなかった。
まさか…。
「夏樹、まさか俺のことが好き…?」
「死ね!」
二人で爆笑して外に出た。
校庭にもまだたくさんの生徒たちが名残惜しそうに残っている。
何気なく校舎の方を見ると航が立っていた。周りはたくさんのオメガや女子に囲まれている。写真を撮ったり握手をしたりしていた。
「あいつモテるな。T大受かったんだろ?」
「え?うん。先生が言ってたな。」
結局航にも浮いた話は聞かなかった。
俺や夏樹が知らないだけかもしれない。
あの時だって俺は何も気付いていなかったしな。
「夏樹、カラオケどーする。」
「俺はパスだな。喉の調子が悪くて。最高のステージを披露できない。」
航がこっちを見ていた。その視線を張り切り正門を出る。
もうこれでさよならだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「はじめまして。比呂君とお付き合いさせていただいている相良京介と申します。」
京介さんがウチに挨拶と同棲の許可をもらいきた。
俺も緊張する。あらかじめ言っておいたので『うちの息子に~!』みたいなことにはならなかったが、やはり航とのことがあったのであまり良い顔はされなかった。
京介さんが番い契約は俺が二十歳過ぎて、気持ちが固まってからで良いと言ってくれたのが好印象だったみたいだ。
同棲は許可してくれた。
明後日には荷物をまとめて家を出る。大学の準備もあるのでゆっくりもしていられない。
それと京介さんがバレンタインに入学式に来ていくスーツを作ってくれたのでそれを一緒に取りに行く。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「ありがとう。こんな良いスーツ。」
「すごく良く似合ってる。」
京介さんの行きつけのテーラーで作ってもらったスーツは濃紺のストライプが入ったものだ。俺にはよく分からないので京介さんに見立ててもらった。おまけに靴やワイシャツ、ネクタイまでプレゼントしてもらった。
店を出て二人で街をぶらぶらする。
プレ大学生は銀座なんてセレブな場所にはめったに来ないからキョロキョロしてしまった。
信号待ちの人の中に航を見つけた。
隣にはオメガの男がいた。楽しそうに二人で話をしている。
別にやましいことなんてないけど京介さんの後ろに隠れるようにして立った。
もうあの出来事から一年半以上も経つんだ。航にだって恋人の一人も出来るだろう。
俺にも京介さんがいる。ただそれだけだ。
「ありがとう。京介さんのおかげです。」
週末に京介さんがお祝いしてくれた。有名なレストランを予約してくれてプレゼントまで用意してくれていた。
「今日は泊まれる?」
「うん。」
その日の京介さんはすごかった。初めて結ばれた時のことを思い出した。
「今日すごい…。どうしたの?」
「ん?いつもセーブしてだんだよ。次の日立てなくなったら困るだろ?」
「え?そーなの?」
「あぁ、でも今日はダメだ。比呂ほら、もう一回…。」
ちゅっちゅっとキスしてすぐに舌が潜り込んでくる。口の中を舐められて舌を吸われた。身体中にキスマークをつけながらまた京介さんの熱が入り込んできた。
「はぁ、気持ちいい…、比呂、最高…。」
「あっ、あっ、あっ、あぁん、はぁ、あぁ!」
何度も何度もイかされて最後は気を失ってしまった。
「比呂と卒業旅行に行きたいな。」
「あ、夏樹と約束しちゃった…。」
「そうか、残念だな。まぁ、でも四月から一緒に暮らせるし。我慢するか。」
「ごめん。でも、ゴールデンウィークとかは?あ、でもすごい混むか…。」
「混んでも構わないよ。どこか行こうか。」
ちゅっと頭にキスしてくれた。次の日動けなくなった俺の世話をしてくれた。まぁ、京介さんのせいなんだけどね!
こうやって未来の予定を立てられるのも嬉しい。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「今日で卒業かぁ。比呂、元気でな。」
「いや、同じ大学で同じ学部だろ。」
三月九日、俺たちの卒業式だ。あっという間の三年間だった。辛いこともあったけど楽しいこともいっぱいあった。
クラスメイトが泣いたり笑ったりしているのを眺めている。
この後みんなでカラオケに行くみたいだ。
「おまえ、結局恋人は出来なかったな。」
「俺は理想が高いんだ。」
夏樹には何だかんだで三年間世話になりっぱなしだ。
こいつは可愛い顔をしていてそこそこモテるはずなのに浮いた話は一つもなかった。
まさか…。
「夏樹、まさか俺のことが好き…?」
「死ね!」
二人で爆笑して外に出た。
校庭にもまだたくさんの生徒たちが名残惜しそうに残っている。
何気なく校舎の方を見ると航が立っていた。周りはたくさんのオメガや女子に囲まれている。写真を撮ったり握手をしたりしていた。
「あいつモテるな。T大受かったんだろ?」
「え?うん。先生が言ってたな。」
結局航にも浮いた話は聞かなかった。
俺や夏樹が知らないだけかもしれない。
あの時だって俺は何も気付いていなかったしな。
「夏樹、カラオケどーする。」
「俺はパスだな。喉の調子が悪くて。最高のステージを披露できない。」
航がこっちを見ていた。その視線を張り切り正門を出る。
もうこれでさよならだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「はじめまして。比呂君とお付き合いさせていただいている相良京介と申します。」
京介さんがウチに挨拶と同棲の許可をもらいきた。
俺も緊張する。あらかじめ言っておいたので『うちの息子に~!』みたいなことにはならなかったが、やはり航とのことがあったのであまり良い顔はされなかった。
京介さんが番い契約は俺が二十歳過ぎて、気持ちが固まってからで良いと言ってくれたのが好印象だったみたいだ。
同棲は許可してくれた。
明後日には荷物をまとめて家を出る。大学の準備もあるのでゆっくりもしていられない。
それと京介さんがバレンタインに入学式に来ていくスーツを作ってくれたのでそれを一緒に取りに行く。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「ありがとう。こんな良いスーツ。」
「すごく良く似合ってる。」
京介さんの行きつけのテーラーで作ってもらったスーツは濃紺のストライプが入ったものだ。俺にはよく分からないので京介さんに見立ててもらった。おまけに靴やワイシャツ、ネクタイまでプレゼントしてもらった。
店を出て二人で街をぶらぶらする。
プレ大学生は銀座なんてセレブな場所にはめったに来ないからキョロキョロしてしまった。
信号待ちの人の中に航を見つけた。
隣にはオメガの男がいた。楽しそうに二人で話をしている。
別にやましいことなんてないけど京介さんの後ろに隠れるようにして立った。
もうあの出来事から一年半以上も経つんだ。航にだって恋人の一人も出来るだろう。
俺にも京介さんがいる。ただそれだけだ。
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