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「あ、京介さん、あぁ、はぁ」
「比呂、イくよ…。くっ!うぅ!」
「エッチするの久しぶりだね。最近忙しかったもんね。」
「あぁ。それより比呂、痩せたな。」
「そうかな?」
「痩せた。具合でも悪いのか?」
「そんなことないよ。」
確かに最近食欲がない。夏樹にも痩せたって言われたな。
胃が受け付けない。
病院に行った方が良いのかも。
最近暑い日が続いたせいからかな。
でもそろそろテストもあるし。勉強しないと。
また夏樹と図書館にでも行こうかな。
山木美鈴のことも航のことも考えないようにしたいのに、頭の中はそのことかばっかりだ。
航とは連絡も取っていない。
あいつは謝ったのに。俺は何も言えなかった。俺を傷付けてごめんって。俺だって航を傷つけたのに。
ダメだまた考えてる。忘れたい。
忘れていいのか?
航の泣いている顔が頭から離れなかった。
「比呂?食欲ないのか?」
「そんなことないよ。」
「でも全然食べてない。」
「昼、食べすぎちゃって…。」
痩せた俺を心配して京介さんが美味しいものを食べに連れて行ってくれた。
銀座のお鮨屋だ。お鮨屋以外のメニューも美味しい。
…美味しいはずなのに味がしない。
本当に病気かも。
結局ほとんど食べられなかった。
京介さんに来週病院に連れていかれることになってしまった。
「比呂は夏休みどうすんの?」
「京介さんと旅行かな。結局ゴールデンウィークどこも行けなかったし。夏樹は?」
「俺はあっくんとイチャイチャする。」
「は?夏休み?ずっと?」
「だってあっくんがそうしたいって。あっくん、すごいから……。」
何故か夏樹の声が遠くに聞こえる。
胃が痛い。キリキリする。吐き気もする。
あ、やばい真っ暗…。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「比呂、大丈夫か?」
「え…」
うわっ!京介さんの顔のドアップだ。
ここは?えっと?起き上がろうとすると京介が背中を支えてくれた。
「俺…。」
「貧血と胃潰瘍。医者はストレスからだろうって。」
「胃潰瘍…。」
だから食欲がなかったのか…。
「比呂、俺に何か言うことあるだろ?」
「え?」
「山木美鈴のこと。俺に何か聞きたいんじゃないのか?」
京介さんの顔は酷く悲しそうだった。
美涼が良くないことをしているのは何となく知っていた。
オメガの秘薬と知ったのは一年近く前だった。
警察から連絡があり、美涼を違法薬物の件で捜査していることも知った。
しばらくして捜査が進み、航にもオメガの秘薬が使われていたという事が分かった。
航が警察に事情聴取を受けていると聞き、俺を取り返しに来ると思った。
でも航は来なかった。自分が悪くないということを知っても何も言ってこなかった。
「初めて比呂と会った時のことを覚えているか?一目惚れだったよ。比呂に会う前は、美涼の弱みが手に入れば、くらいに思っていた。家同士が絡んだ結婚だからな。なかなか断りづらくて婚約までしてしまった。」
「一目惚れ?」
「あぁ。比呂はあの時すごく泣いただろ?可愛くて、守ってあげたくて。傷付いた比呂につけ込んだ。」
そう言って自著気味に笑う。
「そんな。俺だって、優しくしてくれる京介さんにつけ込んだ…。」
「一年前に美涼のことを知った時、比呂に言えなかった。比呂を好きだから。航君は悪くなかったと比呂が知ったら…よりを戻してしまうかも知れないと思った。やっと俺のものになったのに。」
京介さんは泣いていた。俺も泣いていた。
「航君は半年くらい前に自分が何をされたか知ったはずだ。比呂を奪い返しに来ると思ったよ。でも彼は何もしなかった。」
それはもう俺のことを何とも思っていないからだろ?
今さら奪い返しに行くような気持ちがないから何もしなかっただけだ。
「航君はまだ比呂の事が好きだよ。いつも比呂を見ていた。でも何もしなかった。比呂のために…。比呂の幸せのために。」
俺の想っていることを見透かしたように京介さんが言った。
「そんなことないよ!俺のことなんて…もう…。」
「いいや。分かる。俺たちはアルファだからね。どれほど比呂に執着しているか…。きっと今でも…。
ごめんな、比呂。俺は汚い大人だ。でも、いつかこんな日が来ると思っていたよ。」
「どういうこと?」
「こうやって全てが明るみになることだ。おまえのことが好きで、隠していた事実が晒されることだよ。」
京介さんはずっとごめんと言って泣いていた。そのまま病室を出て行った。
頭が混乱している。何がどうなっているんだ?
確かに京介さんは美涼のしたことを俺に隠していた。
でも俺たちの過ごした日々は?偽物?違うだろ。
京介さんはいつも優しくて俺のためにいろんなことをしてくれた。楽しかったし幸せだった。
でもそう思っていたのは俺だけなのかもしれない。
京介さんはずっと苦しかったのかも。真実を隠していること、航が奪い返しに来るかも知れないという恐怖。
京介さんは幸せだったのかな…。
俺はどうすれば良い?
「比呂、イくよ…。くっ!うぅ!」
「エッチするの久しぶりだね。最近忙しかったもんね。」
「あぁ。それより比呂、痩せたな。」
「そうかな?」
「痩せた。具合でも悪いのか?」
「そんなことないよ。」
確かに最近食欲がない。夏樹にも痩せたって言われたな。
胃が受け付けない。
病院に行った方が良いのかも。
最近暑い日が続いたせいからかな。
でもそろそろテストもあるし。勉強しないと。
また夏樹と図書館にでも行こうかな。
山木美鈴のことも航のことも考えないようにしたいのに、頭の中はそのことかばっかりだ。
航とは連絡も取っていない。
あいつは謝ったのに。俺は何も言えなかった。俺を傷付けてごめんって。俺だって航を傷つけたのに。
ダメだまた考えてる。忘れたい。
忘れていいのか?
航の泣いている顔が頭から離れなかった。
「比呂?食欲ないのか?」
「そんなことないよ。」
「でも全然食べてない。」
「昼、食べすぎちゃって…。」
痩せた俺を心配して京介さんが美味しいものを食べに連れて行ってくれた。
銀座のお鮨屋だ。お鮨屋以外のメニューも美味しい。
…美味しいはずなのに味がしない。
本当に病気かも。
結局ほとんど食べられなかった。
京介さんに来週病院に連れていかれることになってしまった。
「比呂は夏休みどうすんの?」
「京介さんと旅行かな。結局ゴールデンウィークどこも行けなかったし。夏樹は?」
「俺はあっくんとイチャイチャする。」
「は?夏休み?ずっと?」
「だってあっくんがそうしたいって。あっくん、すごいから……。」
何故か夏樹の声が遠くに聞こえる。
胃が痛い。キリキリする。吐き気もする。
あ、やばい真っ暗…。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「比呂、大丈夫か?」
「え…」
うわっ!京介さんの顔のドアップだ。
ここは?えっと?起き上がろうとすると京介が背中を支えてくれた。
「俺…。」
「貧血と胃潰瘍。医者はストレスからだろうって。」
「胃潰瘍…。」
だから食欲がなかったのか…。
「比呂、俺に何か言うことあるだろ?」
「え?」
「山木美鈴のこと。俺に何か聞きたいんじゃないのか?」
京介さんの顔は酷く悲しそうだった。
美涼が良くないことをしているのは何となく知っていた。
オメガの秘薬と知ったのは一年近く前だった。
警察から連絡があり、美涼を違法薬物の件で捜査していることも知った。
しばらくして捜査が進み、航にもオメガの秘薬が使われていたという事が分かった。
航が警察に事情聴取を受けていると聞き、俺を取り返しに来ると思った。
でも航は来なかった。自分が悪くないということを知っても何も言ってこなかった。
「初めて比呂と会った時のことを覚えているか?一目惚れだったよ。比呂に会う前は、美涼の弱みが手に入れば、くらいに思っていた。家同士が絡んだ結婚だからな。なかなか断りづらくて婚約までしてしまった。」
「一目惚れ?」
「あぁ。比呂はあの時すごく泣いただろ?可愛くて、守ってあげたくて。傷付いた比呂につけ込んだ。」
そう言って自著気味に笑う。
「そんな。俺だって、優しくしてくれる京介さんにつけ込んだ…。」
「一年前に美涼のことを知った時、比呂に言えなかった。比呂を好きだから。航君は悪くなかったと比呂が知ったら…よりを戻してしまうかも知れないと思った。やっと俺のものになったのに。」
京介さんは泣いていた。俺も泣いていた。
「航君は半年くらい前に自分が何をされたか知ったはずだ。比呂を奪い返しに来ると思ったよ。でも彼は何もしなかった。」
それはもう俺のことを何とも思っていないからだろ?
今さら奪い返しに行くような気持ちがないから何もしなかっただけだ。
「航君はまだ比呂の事が好きだよ。いつも比呂を見ていた。でも何もしなかった。比呂のために…。比呂の幸せのために。」
俺の想っていることを見透かしたように京介さんが言った。
「そんなことないよ!俺のことなんて…もう…。」
「いいや。分かる。俺たちはアルファだからね。どれほど比呂に執着しているか…。きっと今でも…。
ごめんな、比呂。俺は汚い大人だ。でも、いつかこんな日が来ると思っていたよ。」
「どういうこと?」
「こうやって全てが明るみになることだ。おまえのことが好きで、隠していた事実が晒されることだよ。」
京介さんはずっとごめんと言って泣いていた。そのまま病室を出て行った。
頭が混乱している。何がどうなっているんだ?
確かに京介さんは美涼のしたことを俺に隠していた。
でも俺たちの過ごした日々は?偽物?違うだろ。
京介さんはいつも優しくて俺のためにいろんなことをしてくれた。楽しかったし幸せだった。
でもそう思っていたのは俺だけなのかもしれない。
京介さんはずっと苦しかったのかも。真実を隠していること、航が奪い返しに来るかも知れないという恐怖。
京介さんは幸せだったのかな…。
俺はどうすれば良い?
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