オメガの秘薬

みこと

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13 最終話

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「そっか。岩澤が一番の被害者なのかもな。アルファにとって自分の大事なオメガと引き裂かれるほど辛い事はないよ。」

夏樹に航のことを話した。夏樹は引くことなくしんみりと言った。

「うん。京介さんだってそう。最後は泣いてた。」

「比呂だってぶっ倒れるくらい悩んだんだろ?」

「まあな。でも今でも何が正解なのかわかんない。」

「過去は変えられないからな。もう未来を見るしかねーよ。」

「そうだな。」

過去は変えられない。失った時間も戻らない。
美涼が何であんなことをしたのかはこれからの裁判で明らかになるはず。
この罪はどのくらいの重さになるのだろう。

俺たちが失ったものは大きい。でもこれから先そればかりに囚われていたら前に進めない。
これを糧に幸せにならなければ。


♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


「そう言えば夏樹も美涼のこと殺してやりてーって言ってた。」

ヒレカツを食べながら航に言った。いつものファミレスだ。

「あはは。でもナイフ持って裁判所には行かないよね。」

航は笑いながらハンバーグを切ったナイフを俺に見せる。

「まあな。」

俺と航は時々こうやって会うようになった。
美涼の事も話をするようにしている。
言いたい事を言わずに溜め込んでも良い事はない。我慢すれば必ず歪みが生まれる。
航とのことは京介さんにもメールで伝えた。『そうか』とだけ返信があった。

たまにこうして会って、電話したりメッセージを送り合ったりしている。
航からは好きだとか、よりを戻したいとか何も言われていない。俺からも何も言わない。半年くらいこうしている。
オメガの秘薬で俺たちが受けた傷はあまりにも大きすぎた。
今、少しづつ傷を癒している。
最初はぎこちなかったけど昔みたいに話が出来るようになった。


「うー寒い。今年は雪が多いって。」

食べ終わって二人でファミレスの外に出た。
もう十二月だ。雪が降りそうな空だな。

「ヒロ、クリスマス一緒に過ごしたい。」

突然、航が言った。
きっと、ずっと考えていたんだ。何だかそわそわして様子がおかしかったもんな。いつ言おうか考えてだんだ。

「うん。航。友達からでお願いします。」

高校一年の五月、俺は航にこう言ったのだ。

『友達からでお願いします』

航は一瞬驚いた顔をしたけど破顔して頷いた。


~fin.~


最後までお読みいただきありがとうございました。
まさかこんなに暗い話になるとは…。
ラブコメのハピエンが好きなのに(>_<)と思いながら書いておりました。
番外編がありますのでもう少しお付き合いください。
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