運命はいつもその手の中に

みこと

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「どうやってよりを戻したんだ?」

拓実と満は二人で夕飯を作っている。それを幸せそうに眺めている平林に聞いた。

「えっ?いや、強引に…。」

意外だな。寡黙で大人しそうなのに。

「無理矢理押し倒したってこと?」

「違うよ。そっちじゃない。毎日毎日押しかけてお願いした。最初は友達からってことで。その後、満の家でいろいろあって。よりを戻した。」

「満を許せたのか?」

「許すも何も…。フラれた時はすごいショックだった。悲しくて悔しくて苦しかった。死んでもいいかなとも思ったよ。諦めきれなくて、高校生になって興信所で満の事を調べてもらった時に家庭環境があまり良くないのを知った。」 

興信所まで使ったのか。すごい行動力だ。そうか、興信所っていう手があったか。

「で、満が東京に来てる事を知って。少し冷静に考えたよ。自分にとって何が一番辛いのか。裏切られたこと?酷いことを言われたこと?でもそうじゃなかった。一番辛いのは満に会えないことだった。だから満に会いに行った。すごい驚いてたけどね。復讐されるのかと思ったって。」

あはは、と呑気に笑っている。

「それで?」

「どんな形でも良いから側に居たいってお願いしたんだ。満は俺の運命だから。」

まじまじと平林を見た。この大人しい男にそんな情熱があったのか。
その後は満の家のごたごたをずっと側で励まし力になってやっているうちにとうとう満が折れた。

「出来たよ~。」

オムライスの乗った皿を持って拓実が入ってきた。
サラダ、スープと彩りも綺麗で美味そうだ。

「満、料理上手なんだ。俺、習おうかな。」

オムライスを食べながら拓実が言った。
確かにどれも美味しい。満も『いつでも教えてやるよ』
と嬉しそうだ。
片付けは俺と平林でやった。
皿なんて洗ったことない。平林に一つ一つ教えてもらいながら片付けを終えた。

「大男二人でお皿洗ってるの面白かった。」 

満が俺と平林の皿を洗う後ろ姿をスマホで撮っていた。
平林がそれを見て楽しそうに笑っている。
ここに来るまで二人はいろいろあったはずだ。でもそれを乗り越え本当に幸せそうだ。
俺も拓実のためにやれるだけやろう誓った。




「変なことするなよ。」

何故か俺と拓実は泊めてもらうことになった。
拓実は叔母にメッセージを送っている。

シングルベッドに平林と満、その横に布団を敷いて俺と拓実が寝る。
拓実は満に借りた『明日から本気出す!』と書かれた変なTシャツを着ている。下はボクサーパンツだけだ。
俺は平林にTシャツとスウェットを借りた。
電気を消して布団入る。

…寝れる訳がない。
拓実はふわふわ良い匂いをさせて俺の胸に擦り寄ってくる。さらにはすべすべの足を絡ませきた。
平林たちに気付かれないように唇を押し付けてキスをする。
拓実はふふふ、と小さく笑って俺の胸に顔を埋めた。
マジでヤバい。アソコがヤバい。これ以上はヤバい。
でも誘惑に勝てずまた拓実にキスしようと顔を覗き込む。
え?…寝てる。
すうすう寝息をたてて寝ていた。
そういえば昔から寝付きがものすごく良かったな。
悶々としながら拓実の頭に顔を埋めて目を閉じた。

目を閉じてしばらくするとベッドからヒソヒソ声が聞こえてきた。

「だ、ダメだよ。満。」

「二人とももう寝てるよ。」

「あ、あ、ダメだって…」

「えー?こんなになってるのに?」

「あ、あ、だって、あっ、満が…」

マジかよ。やめてくれ。
変なことしてるのはおまえたちだろ!
拓実は気持ち良さそうに寝ている。
拷問じゃないか!

「満、好きだ。大好きだ。ん、ふぅ、」

「啓、俺も。あ、すごい…。」

ベッドが遠慮がちに小さく揺れ出した。
はぁ、勘弁してくれ。
俺はぎゅっと目を閉じて時間が経つのを待った。

いつの間にか眠っていたみたいだ。カーテンの隙間から差し込む陽の光が夜が明けたことを告げている。
壁に掛けてある時計を見た。まだ五時半か。
あれ?拓実は…。
いや、寝相!
布団から飛び出て居なくなっている。
盛っていた二人もまだ寝ているようだ。
今日はあの人の所へ行く予定だ。
拓実は平林たちに預けていく。
飛び出て床に寝ている拓実をそっと布団に戻した。
すっかり忘れていた。寝付きが良いこと、寝相が悪いこと、なかなか起きないこと。どれも可愛いくて仕方ない。
変わってないんだな。
おでこにキスをしてもう一度布団の中に入った。






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