運命はいつもその手の中に

みこと

文字の大きさ
23 / 41

23

しおりを挟む
「とりあえず孝太郎さんを探そう。」

「あ、ああ。さっき向こうにいた。IT系の人たちと集まってたよ。」

平林が会場の奥の方を指差した。
その差した方へ早足で向かう。

「桜沢、どういうこと?ないって何?」

「『スタービューホテル』の広報の人に聞いたんだよ。オメガ限定プランなんてない。」

歩きながら平林に説明する。スマホを取り出し拓実に電話してするが出ない。
嫌な予感しかない。

「あ、いた。あそこっ!」

ダークネイビーのスーツを着た孝太郎さんはオーラが出ていてとても目立っている。アルファだらけの中でもすぐに見つけることが出来た。

「孝太郎さんっ!」

仲の良い四人で談笑していたようだが構わず話しかけた。
四人とも驚いている。失礼だとか言っている場合じゃない。

「どうした?啓くんも…。」

「孝太郎さん、大変です。ちょっと良いですか?」

俺の様子に只事ではないと感じたのだろう。
すぐに三人で会場の外に出た。

「どうしたんだ?」

「『スタービューホテル』のオメガ限定プランなんてなかったんです。」

「ん?どういうことだ?」

「星崎さんに、『スタービューホテル』の広報の人に聞きました。そんなプランやってないって。」

「何を言ってるんだ?チケットもあっただろ?この間、弘海がそのQRコードから予約を入れていた。今日も送って行って…。それがないって?どういうことだ?」

孝太郎さんの顔に徐々に緊張が走る。

「まさか…。オメガ狩り…?」

平林が真っ青な顔で呟いた。
そう。俺が一番恐れていること。
アルファの目を離れてオメガが一人になった。 
正確には三人だけど。
でも、番いになっていないオメガが何者かに嵌められてアルファから離れてしまった。

「オメガ狩り?何だそれは。……はっ!いや、まさか。」

「孝太郎さん、知ってるんですか?」

孝太郎さんは右手で口を覆っている。

「と、都市伝説じゃないのか?」

「いえ、本当にあったことです。関わっていた人物を知っています。」

「何だって!!」

孝太郎さんはフリーズしてしまった。

「満は?満…満。桜沢っ!どうしよう…満は?」

「弘海…弘海が?」

孝太郎さんはスマホを取り出し弘海さんに電話をかけた。それを見た平林も満にかけたけど二人とも出なかった。

「とにかく『スタービューホテル』に行こう。三人がホテルに入って行ったのは確かだ。」


♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


「星崎さん、すいません。」

「いえ、大変なことが起きているいうことは伝わるんですが、何があったんですか?」

孝太郎さんの運転する車で『スタービューホテル』に向かっている。星崎に頼んで一緒に来てもらった。車の中は只ならぬ緊張感に包まれている。

「実は…。」

俺はオメガ狩りについて知っていることと俺たちの大事なオメガが『スタービューホテル』のオメガ限定プランに行くと言って連絡がつかないことを話した。

「オメガ狩り…。聞いたことあります。都市伝説かと…。」

星崎さんは綺麗な顔を歪めた。スマホを出して誰かにメッセージを送っている。

「万が一の時のために応援を呼びました。宝来さん、オメガはうちのホテルに入ったんですね?」

「ええ。メインエントランスで三人を降ろして入っていくのをこの目で見ました。」

「後で警備室の監視カメラで確認してみましょう。録画されているはずです。」

ホテルに着いてベルボーイに車をお願いする。
そのままホテルの警備室に直行した。

「専務?どうされましたか?」

「監視カメラの映像を見せて欲しい。」

「は、はい。いつの映像ですか?」

警備員がパソコンを操作しながら聞いた。

「今日の午後二時くらいだ。まずメインエントランスを頼む。」

孝太郎さんが警備員に言った。
一時五十五分に巻き戻した映像を倍速で流し始めた。
俺たちはその映像を食い入るように見つめる。

「いた!この三人だ!」

映像の隅には一時五十七分と表示されている。
もう一度巻き戻して標準速度で再生した。
間違いない。拓実たちだ。

「次はロビーの一番で。」

星崎さんの指示でロビー①と書かれた映像を流す。エントランスから歩いて来る三人が映っている。
フロントに向かおうとする三人に誰が声をかけた。背格好からすると男だが、顔までは見えない。三人は少し話をするとその男に着いて行った。

「次はロビーの五番。」

三人と男ががエレベーターホールに向かって歩いている。

「エレベーターホール。」

エレベーターを待つ四人。男は八階のボタンを押して四人で乗り込んだ。

「エレベーター二号機。」

エレベーター内の映像だ。楽しそうな三人と男。八階で降りた。

監視カメラの映像を追って部屋まで分かった。部屋に入る三人は少し躊躇って困惑しているようだった。
その後、三人が部屋を出て来ることはなかった。

「どうしましょう。」

「乗り込むか?」

「いや、それよりもベルボーイのフリをして部屋に入ってみますか?」

「星崎さん、良いんですか?」

「ええ。私の大事なホテルの名前を語って卑劣なことをするなんて許せません。これは『スタービューホテル』の潔白を証明するためでもあります。それにオメガが大事なのは分かります。一応フロントにこの部屋の宿泊客を調べさせましょう。おそらく偽名を使っているかと思いますが。」

「よし、じゃあ行こう。」



しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜

鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。 そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。 あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。 そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。 「お前がずっと、好きだ」 甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。 ※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています

大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った

こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。

人気者の幼馴染が俺の番

蒸しケーキ
BL
佐伯淳太は、中学生の時、自分がオメガだと判明するが、ある日幼馴染である成瀬恭弥はオメガが苦手という事実を耳にしてしまう。そこから淳太は恭弥と距離を置き始めるが、実は恭弥は淳太のことがずっと好きで、、、 ※「二人で過ごす発情期の話」の二人が高校生のときのお話です。どちらから読んでも問題なくお読みいただけます。二人のことが書きたくなったのでだらだらと書いていきます。お付き合い頂けましたら幸いです。

クローゼットは宝箱

織緒こん
BL
てんつぶさん主催、オメガの巣作りアンソロジー参加作品です。 初めてのオメガバースです。 前後編8000文字強のSS。  ◇ ◇ ◇  番であるオメガの穣太郎のヒートに合わせて休暇をもぎ取ったアルファの将臣。ほんの少し帰宅が遅れた彼を出迎えたのは、溢れかえるフェロモンの香気とクローゼットに籠城する番だった。狭いクローゼットに隠れるように巣作りする穣太郎を見つけて、出会ってから想いを通じ合わせるまでの数年間を思い出す。  美しく有能で、努力によってアルファと同等の能力を得た穣太郎。正気のときは決して甘えない彼が、ヒート期間中は将臣だけにぐずぐずに溺れる……。  年下わんこアルファ×年上美人オメガ。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

ノエルの結婚

仁茂田もに
BL
オメガのノエルは顔も知らないアルファと結婚することになった。 お相手のヴィンセントは旦那さまの部下で、階級は中尉。東方司令部に勤めているらしい。 生まれ育った帝都を離れ、ノエルはヴィンセントとふたり東部の街で新婚生活を送ることになる。 無表情だが穏やかで優しい帝国軍人(アルファ)×明るいがトラウマ持ちのオメガ 過去につらい経験をしたオメガのノエルが、ヴィンセントと結婚して幸せになる話です。 J.GARDEN58にて本編+書き下ろしで頒布する予定です。 詳しくは後日、活動報告またはXにてご告知します。

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

愛に変わるのに劇的なキッカケは必要ない

かんだ
BL
オメガバ/α×Ω/見知らぬαの勘違いにより、不安定だった性が完全なΩになってしまった受け。αの攻めから責任を取ると言われたので金銭や仕事、生活等、面倒を見てもらうことになるが、それでもΩになりたくなかった受けは絶望しかない。 攻めを恨むことしか出来ない受けと、段々と受けが気になってしまい振り回される攻めの話。 ハピエン。

処理中です...