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27:最終話
ーー終わったーー
ロジェ様は天に召されたのだろうか…。きっとそうだ。
あの日記を見ていたらロジェ様はどうだったのだろうか。今はなかったのだろうか。運命の二人を受け入れてのだろうか。僕には分からない。ただ、ロジェ様は許す心をまだ持っていたことは分かった。
「ルーファス、肝が冷えたよ。」
ビンセント先生が笑顔で僕の肩に手を乗せる。
「ルーファスらしいね。」
カナン様も笑顔だ。
「良くやったな。」
「ルーファス君。凄かったよ。本当に良かった。」
目隠しを外したラザウェル様と泣き腫らした顔のリト様が近づいて来る。
「本当に剣の稽古は役に立たなかったな。」
呆れ顔のオズベルト様に頭を小突かれた。
「これでロジェも解放されたんだ。」
ロジェの剣を拾いながらサフィーア様が呟いた。
「さすが私のルーファスだ。ロジェを『怨念』を解放したんだ。でも、怖かった…。ルーファスが死んだら…。その時は私の命も終わる。」
レオナルド様の声は震えていた。僕をぎゅっと抱きしめる。
暖かいレオナルド様の身体が僕たちが生きているという事を実感させてくれた。
終わった…。僕たちの戦いは終わったんだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「カナン様はこれを見るために鏡を探してたんですね。」
応接室でアルティス様の日記を眺める。転写された反転文字はかなり分かりづらい。
「そうだよ。僕が鏡なんて見るとでも?」
そりゃそうだ。鏡を見る人の格好はこうはならない。
「アルティス様は『魅了』がとけたとき、全てを察してこの日記に残したんですね。そしてロジェ様を恨まなかった。自分のした事を反省したんですね。」
「そうだね。運命の番のオメガとは離れられないけど、ロジェと過ごした時間はアルティスにとってもすごく大切な時間だったんだ。だから変わってしまった、自分が変えてしまったロジェを恨む事なく許した。そしてロジェにも許されたかったんだ。」
「『ロジェ・カステール』はアルティス様のロジェ様への感謝と謝罪の気持ちだったんですね。」
カナン様が日記の転写文字を指でなぞる。
ロジェ様はアルティス様を本当に愛していた。叶わない思いになってしまったけど、ずっと好きで居続けたかったんだ。幸せだった時間を忘れたくなかったんだ。
僕は流れる涙を拭った。
サザーランドはロジェ様が不慮の事故で亡くなったと発表した。その後、クーデターが起きて国王、王太子は失墜した。
『魅了』にかかっていた人たちも正気に戻ったようだ。
僕たちも日常を取り戻した。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
よく晴れた空に教会の鐘の音が鳴り響く。今日はリト様とラザウェル様の結婚式だ。
ロジェ様はアルティス様を許し、神様もロジェ様を許して魂は天に召された。ロジェ様のして来た事は酷い事だと思う。でもアルティス様は許したんだ。レオナルド様だってきっと…。アルティス様と運命の番は天国で幸せに暮らしているはずだ。魂は輪廻せず永遠に二人で一緒にいる。
「ルーファス、次は私たちだよ。」
ネイビーブルーの礼服に身を包んだレオナルド様が囁いた。笑顔で頷く。同じくネイビーブルーのお揃いの礼服はレオナルド様の見立てた物だ。
「ルーファス君!」
リト様が笑顔で近づいて来た。
真っ白なシルクの婚礼服がとても似合っている。所々生地に縫い留めてあるダイヤモンドが陽の光を受けてキラキラ輝いていた。リト様の頸にはしっかりと噛み跡がついているのが見える。
ひと月前にラザウェル様と番ったのだ。その噛み跡を撫でながらうっとりと見つめるラザウェル様もいる。
「おめでとうございます。素敵な式でした。」
「ありがとう。はいコレ。」
「えっ?何ですか?」
リト様に水色のブーケを手渡された。ブルースター、忘れな草、デルフィニウム、バラ。そして白のカラーとかすみ草で出来たリト様らしい爽やかなブーケだ。
僕は手渡されたブーケを見てぽかんとする。
「遠い異国では花嫁のブーケを貰った人が次に結婚すると言われているんだよ。」
隣でカナン様が教えてくれた。そうか、次の花嫁は僕だ。
「はい。ありがとうございます。」
僕はレオナルド様の手を握って元気よく答えた。
~fin.~
最後までお読みいただきありがとうございました。
たくさんのお気に入り、しおりに恐れ慄きながらも大変励まされました。マラソンを完走した気分です(о´∀`о)
『ロジェ編』はこれで完結となりますが、意外と好評だった『二人の変態4』を公開して終了と致します。
尚、『運命には抗えない』の第二弾を執筆中です。(←宣伝)
ルーファスたちがまたもや新しい事件と謎に挑みます。近々公開しますので、興味のある方はご覧ください♪
ロジェ様は天に召されたのだろうか…。きっとそうだ。
あの日記を見ていたらロジェ様はどうだったのだろうか。今はなかったのだろうか。運命の二人を受け入れてのだろうか。僕には分からない。ただ、ロジェ様は許す心をまだ持っていたことは分かった。
「ルーファス、肝が冷えたよ。」
ビンセント先生が笑顔で僕の肩に手を乗せる。
「ルーファスらしいね。」
カナン様も笑顔だ。
「良くやったな。」
「ルーファス君。凄かったよ。本当に良かった。」
目隠しを外したラザウェル様と泣き腫らした顔のリト様が近づいて来る。
「本当に剣の稽古は役に立たなかったな。」
呆れ顔のオズベルト様に頭を小突かれた。
「これでロジェも解放されたんだ。」
ロジェの剣を拾いながらサフィーア様が呟いた。
「さすが私のルーファスだ。ロジェを『怨念』を解放したんだ。でも、怖かった…。ルーファスが死んだら…。その時は私の命も終わる。」
レオナルド様の声は震えていた。僕をぎゅっと抱きしめる。
暖かいレオナルド様の身体が僕たちが生きているという事を実感させてくれた。
終わった…。僕たちの戦いは終わったんだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「カナン様はこれを見るために鏡を探してたんですね。」
応接室でアルティス様の日記を眺める。転写された反転文字はかなり分かりづらい。
「そうだよ。僕が鏡なんて見るとでも?」
そりゃそうだ。鏡を見る人の格好はこうはならない。
「アルティス様は『魅了』がとけたとき、全てを察してこの日記に残したんですね。そしてロジェ様を恨まなかった。自分のした事を反省したんですね。」
「そうだね。運命の番のオメガとは離れられないけど、ロジェと過ごした時間はアルティスにとってもすごく大切な時間だったんだ。だから変わってしまった、自分が変えてしまったロジェを恨む事なく許した。そしてロジェにも許されたかったんだ。」
「『ロジェ・カステール』はアルティス様のロジェ様への感謝と謝罪の気持ちだったんですね。」
カナン様が日記の転写文字を指でなぞる。
ロジェ様はアルティス様を本当に愛していた。叶わない思いになってしまったけど、ずっと好きで居続けたかったんだ。幸せだった時間を忘れたくなかったんだ。
僕は流れる涙を拭った。
サザーランドはロジェ様が不慮の事故で亡くなったと発表した。その後、クーデターが起きて国王、王太子は失墜した。
『魅了』にかかっていた人たちも正気に戻ったようだ。
僕たちも日常を取り戻した。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
よく晴れた空に教会の鐘の音が鳴り響く。今日はリト様とラザウェル様の結婚式だ。
ロジェ様はアルティス様を許し、神様もロジェ様を許して魂は天に召された。ロジェ様のして来た事は酷い事だと思う。でもアルティス様は許したんだ。レオナルド様だってきっと…。アルティス様と運命の番は天国で幸せに暮らしているはずだ。魂は輪廻せず永遠に二人で一緒にいる。
「ルーファス、次は私たちだよ。」
ネイビーブルーの礼服に身を包んだレオナルド様が囁いた。笑顔で頷く。同じくネイビーブルーのお揃いの礼服はレオナルド様の見立てた物だ。
「ルーファス君!」
リト様が笑顔で近づいて来た。
真っ白なシルクの婚礼服がとても似合っている。所々生地に縫い留めてあるダイヤモンドが陽の光を受けてキラキラ輝いていた。リト様の頸にはしっかりと噛み跡がついているのが見える。
ひと月前にラザウェル様と番ったのだ。その噛み跡を撫でながらうっとりと見つめるラザウェル様もいる。
「おめでとうございます。素敵な式でした。」
「ありがとう。はいコレ。」
「えっ?何ですか?」
リト様に水色のブーケを手渡された。ブルースター、忘れな草、デルフィニウム、バラ。そして白のカラーとかすみ草で出来たリト様らしい爽やかなブーケだ。
僕は手渡されたブーケを見てぽかんとする。
「遠い異国では花嫁のブーケを貰った人が次に結婚すると言われているんだよ。」
隣でカナン様が教えてくれた。そうか、次の花嫁は僕だ。
「はい。ありがとうございます。」
僕はレオナルド様の手を握って元気よく答えた。
~fin.~
最後までお読みいただきありがとうございました。
たくさんのお気に入り、しおりに恐れ慄きながらも大変励まされました。マラソンを完走した気分です(о´∀`о)
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