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第四章 天使
34歳の固まる決意と宿屋
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茶会の後、街の大きな宿屋にナオたちは宿をとった。
茶会から帰り、すでに二時間は経過しようというものだが、いまだにナオは放心状態だった。
ナオの代わりにブラハが宿の手配や食事の手配などを進めてくれている。
ナオは一人寝室の椅子に座っていた。
「ナオ殿、いかがですか?入りますよ」
ブラハがドアにノックして入ってくる。
「下のダイニングに食事の用意ができたとのことです。
まずは食事をして気持ちを落ち着かせましょう」
ブラハはナオを気遣ってにっこりと笑う。
「ブラハ殿・・・わざわざ心配して付いて来て下さったのにすみません。」
ナオの弱弱しい声と儚げな表情にブラハは少しドキッとして赤くなる。
しかし、すぐ気を取り直して声をかける。
「元気出してくださいナオ殿。
わかってます、大好きなおいしいワインも用意してありますから!」
「―――ブラハ殿!」
涙をにじませて切ない表情のまま、ナオはブラハを見上げた。その表情にブラハがまた赤くなったのは言うまでもない・・・。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ナオ、ブラハ、そしてロレンツェの3人がテーブル囲み、隣のテーブルに護衛の公式私設部隊オーパス・ワンの隊長ラヴェルと隊員二人、そしてブラハの側役が食事をとっている。
大きな宿屋なだけあってダイニングもまた大きい。
席についている客は五十人はいるようだ。
「どうですか、ナオ殿?
このワインはなんと我が国スタインベルグ王国産なんです。美味しいでしょう?
我が国は気候が厳しく、切り立った岩山が多い。
ですが、ワインの原料のブドウはそういう厳しい土地にこそ良いものが出来るのです!ペラペラペラ――――――」
ブラハのありがたいワイン講釈だが誰も聞いていない。
食事も進み、ナオはだいぶ酔っていた。
「ブラハ殿・・・あそこもそこもみんな徴税の話してるんですね・・・」
「そうですね。都市民としてはかなり大きい変化になりますからね。」
「陛下はそんなのお構いなしに私利私欲で徴税を繰り返したんですね・・・。
いつかはその不信のツケを支払わされる時が来るという事ですね・・・」
ブラハとロレンツェもナオにつられてそこそこ飲んでいたが、酔いはまだ軽い方だった。
しかし、ナオはすでに酩酊状態で顔は赤く、目はとろんとして半分くらい閉じている。
茶会でのナオの精神的疲労はとても大きい。
いつも以上に早いペースであっという間に酔ってしまった。
「時にブラハ殿・・・」
「はい?なんでしょう?」
「・・・・ブラハ殿は私なんかの裸が見たいですか・・・??」
「はいっ??!」
ブラハは驚いて立ち上がる。ガタっと椅子が倒れて周りの視線が集まる。
ブラハの顔から湯気が立ち、ゆでだこのように真っ赤になる。
「ああ・・あ・・の・・見たいといえば見たいですが、見ては紳士の名折れといいますか・・・」
ブラハは恥ずかしくてナオの顔を見れない。汗を拭う手も尋常じゃなく早い。
「ブ・・ブラハ様・・・」
ふいにロレンツェが声をかける。
「ナオ様は寝落ちしておられます・・・ククク」
ロレンツェは必至に笑いをこらえていた・・・。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「あれええ・・・私・・・」
ナオは目を覚ます。
あの後、ブラハがナオを抱えて寝室まで運んだ。
「ナオ様、お目覚めになりましたか」
寝台の横のソファでロレンツェはナオを見守っていた。
「ナオ様、お水をどうぞ」
「ロレンツェ、ありがとう。
ずっと看ていてくれたの?」
「はい。今日は結構な酔い方でしたので」
ロレンツェは母親のように優しく微笑む。
「あははは、ごめんね。やさぐれちゃった。
やさぐれついでにロレンツェ!付き合って?!湯を浴びに行きましょう?」
「さすがナオ様。もうお酒は抜けたんですね。お供いたします。」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
二人は宿の大浴場入った。
時間がかなり遅かったため、ほかに客はいなかった。
「ロレンツェってすごいもの持ってたのね・・・」
ナオが顔を両手で隠しつつ指の隙間から、裸のロレンツェの胸を見てナオが呟く。
「ははは。ナオ様
私はすべてが大きいだけです。背も胸も足も」
女性、しかも四十歳前とは思えないほどの引き締まった体、長い手足、そして豊満な胸。
しかし、よく見ると全身のいたるところに古い刀傷がある。
「ロレンツェ・・・この傷は・・・」
聞いていいのか、悩むナオにロレンツェはほほ笑む。
「私は以前、帝国の軍人でした。女性でしたが家が貧乏だったため、男性を装って入りました。
剣の筋がよかったためか、使い捨てとしてちょうどよかったのか、よく最前線に送られました。
その時の傷です。
この傷一つ一つを負った時の事、逆に斬った相手の事、私は何一つ忘れていません。
それが、戦った相手への償いと敬意だと思っております。」
ナオの目から一筋の涙が落ちる。
「ご、、ごめん・・・つらいことを聞いてしまった・・・
でも・・・でも・・・あなたの覚悟はとても素晴らしいわ・・・」
「ありがとうございます。ナオ様は本当にお優しいですね。こんな私の話で泣いてくださるなんて」
ロレンツェはにっこりと笑う。
そして騎士のように片膝をついて敬礼する。
「ナオ様。私はナオ様の剣として、そして盾として私の命が尽きるまでお守りいたします」
「ありがとうロレンツェ。
責任を負うという事の重さ、とてもとても強く感じたわ。
そして同時に私も覚悟が出来たよ」
ナオも右手を心臓に当て、誓いの仕草をする。
「もとよりナオ様ならそうなさると思っておりましたよ。
しかし、私たちは裸で何の話をしているのでしょうね。」
ナオとロレンツェはお互いに顔を見合わせて豪快に笑い合う。
「さあ、ナオ様、お背中を流しましょう」
茶会から帰り、すでに二時間は経過しようというものだが、いまだにナオは放心状態だった。
ナオの代わりにブラハが宿の手配や食事の手配などを進めてくれている。
ナオは一人寝室の椅子に座っていた。
「ナオ殿、いかがですか?入りますよ」
ブラハがドアにノックして入ってくる。
「下のダイニングに食事の用意ができたとのことです。
まずは食事をして気持ちを落ち着かせましょう」
ブラハはナオを気遣ってにっこりと笑う。
「ブラハ殿・・・わざわざ心配して付いて来て下さったのにすみません。」
ナオの弱弱しい声と儚げな表情にブラハは少しドキッとして赤くなる。
しかし、すぐ気を取り直して声をかける。
「元気出してくださいナオ殿。
わかってます、大好きなおいしいワインも用意してありますから!」
「―――ブラハ殿!」
涙をにじませて切ない表情のまま、ナオはブラハを見上げた。その表情にブラハがまた赤くなったのは言うまでもない・・・。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ナオ、ブラハ、そしてロレンツェの3人がテーブル囲み、隣のテーブルに護衛の公式私設部隊オーパス・ワンの隊長ラヴェルと隊員二人、そしてブラハの側役が食事をとっている。
大きな宿屋なだけあってダイニングもまた大きい。
席についている客は五十人はいるようだ。
「どうですか、ナオ殿?
このワインはなんと我が国スタインベルグ王国産なんです。美味しいでしょう?
我が国は気候が厳しく、切り立った岩山が多い。
ですが、ワインの原料のブドウはそういう厳しい土地にこそ良いものが出来るのです!ペラペラペラ――――――」
ブラハのありがたいワイン講釈だが誰も聞いていない。
食事も進み、ナオはだいぶ酔っていた。
「ブラハ殿・・・あそこもそこもみんな徴税の話してるんですね・・・」
「そうですね。都市民としてはかなり大きい変化になりますからね。」
「陛下はそんなのお構いなしに私利私欲で徴税を繰り返したんですね・・・。
いつかはその不信のツケを支払わされる時が来るという事ですね・・・」
ブラハとロレンツェもナオにつられてそこそこ飲んでいたが、酔いはまだ軽い方だった。
しかし、ナオはすでに酩酊状態で顔は赤く、目はとろんとして半分くらい閉じている。
茶会でのナオの精神的疲労はとても大きい。
いつも以上に早いペースであっという間に酔ってしまった。
「時にブラハ殿・・・」
「はい?なんでしょう?」
「・・・・ブラハ殿は私なんかの裸が見たいですか・・・??」
「はいっ??!」
ブラハは驚いて立ち上がる。ガタっと椅子が倒れて周りの視線が集まる。
ブラハの顔から湯気が立ち、ゆでだこのように真っ赤になる。
「ああ・・あ・・の・・見たいといえば見たいですが、見ては紳士の名折れといいますか・・・」
ブラハは恥ずかしくてナオの顔を見れない。汗を拭う手も尋常じゃなく早い。
「ブ・・ブラハ様・・・」
ふいにロレンツェが声をかける。
「ナオ様は寝落ちしておられます・・・ククク」
ロレンツェは必至に笑いをこらえていた・・・。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「あれええ・・・私・・・」
ナオは目を覚ます。
あの後、ブラハがナオを抱えて寝室まで運んだ。
「ナオ様、お目覚めになりましたか」
寝台の横のソファでロレンツェはナオを見守っていた。
「ナオ様、お水をどうぞ」
「ロレンツェ、ありがとう。
ずっと看ていてくれたの?」
「はい。今日は結構な酔い方でしたので」
ロレンツェは母親のように優しく微笑む。
「あははは、ごめんね。やさぐれちゃった。
やさぐれついでにロレンツェ!付き合って?!湯を浴びに行きましょう?」
「さすがナオ様。もうお酒は抜けたんですね。お供いたします。」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
二人は宿の大浴場入った。
時間がかなり遅かったため、ほかに客はいなかった。
「ロレンツェってすごいもの持ってたのね・・・」
ナオが顔を両手で隠しつつ指の隙間から、裸のロレンツェの胸を見てナオが呟く。
「ははは。ナオ様
私はすべてが大きいだけです。背も胸も足も」
女性、しかも四十歳前とは思えないほどの引き締まった体、長い手足、そして豊満な胸。
しかし、よく見ると全身のいたるところに古い刀傷がある。
「ロレンツェ・・・この傷は・・・」
聞いていいのか、悩むナオにロレンツェはほほ笑む。
「私は以前、帝国の軍人でした。女性でしたが家が貧乏だったため、男性を装って入りました。
剣の筋がよかったためか、使い捨てとしてちょうどよかったのか、よく最前線に送られました。
その時の傷です。
この傷一つ一つを負った時の事、逆に斬った相手の事、私は何一つ忘れていません。
それが、戦った相手への償いと敬意だと思っております。」
ナオの目から一筋の涙が落ちる。
「ご、、ごめん・・・つらいことを聞いてしまった・・・
でも・・・でも・・・あなたの覚悟はとても素晴らしいわ・・・」
「ありがとうございます。ナオ様は本当にお優しいですね。こんな私の話で泣いてくださるなんて」
ロレンツェはにっこりと笑う。
そして騎士のように片膝をついて敬礼する。
「ナオ様。私はナオ様の剣として、そして盾として私の命が尽きるまでお守りいたします」
「ありがとうロレンツェ。
責任を負うという事の重さ、とてもとても強く感じたわ。
そして同時に私も覚悟が出来たよ」
ナオも右手を心臓に当て、誓いの仕草をする。
「もとよりナオ様ならそうなさると思っておりましたよ。
しかし、私たちは裸で何の話をしているのでしょうね。」
ナオとロレンツェはお互いに顔を見合わせて豪快に笑い合う。
「さあ、ナオ様、お背中を流しましょう」
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