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第五章 酒精
34歳はシャンパンがお好き
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「さて、そろそろ本題にまいりましょう。」
ウーゾが切り出した。
「嘆願書でお伝えした通り、先月コラシオの由緒正しき名家の商船がサヴァディン群島の海賊に襲われました。
運悪く、その名家の一族もほとんど乗っていたのです。
当然その商船はかなり武装し、護衛も大勢いましたが、結局拿捕されてしまった。
なぜなら南の大国イスタリカ王国が手を貸していたのです。
その後我々の調べで裏付けも取れております。」
「ではやはりイスタリカ王国はコラシオ島とサヴァディン群島で戦争起こさせたいと?」
「はい。そう考えるのが一番自然かと。
コラシオ側は捕虜返還と賠償金を払えば手を打つとしているがサヴァディン側は全く交渉する気がないようですじゃ。
しかし、このまま戦争をしても何も益がございません。」
「それで我がオルネア帝国に助力を求めた訳ですね。」
「はい。スタインベルグ王国のブラハ様にもご助力いただければと思っております。」
「わかりました。この内海が荒れるのはオルネア帝国にとってもよくない事態。
一緒に交渉の場に臨みましょう。」
数日後、状況を把握したナオたちはサヴァディン群島の一つに上陸し、交渉の場に赴いていた。
交渉の場といっても特別な所で行うわけではなく、現在二つの勢力が対峙しているのは砂浜。
ナオたちコラシオ側は五〇人ほど上陸し、サヴァディン側は三〇名程で向き合っている。
一声あればその場での戦闘も避けられない。
「サヴァディン殿。私はオルネア帝国宰相ナオ・クレルモン=フェラン。
こちらはスタインベルグ王国王子ブラハ・スタインベルグ殿。」
「よろしく。サヴァディン群島を取りまとめる島頭のジャドだ。
ついにオルネア帝国とスタインベルグ王国が出張ってきたわけだ。」
「はい。両島は我々の盟友。穏便に済ますべく、参りました。」
「ふん。何が盟友だ。武力を笠に言いたい放題言ってるだけじゃねえか。」
サヴァディンの島頭ジャドは本人を目の前に悪態をつく。
このことの意味がわからないほど馬鹿な男には見えない。
「無礼な発言は今は不問にします。
それよりも本題です。捕まえた捕虜の解放とその賠償金を払う気がないのですか?」
「ないねえ。俺たちサバディンの人間は海賊業と漁業を生業にしている。
それを他国に咎められる筋合いはねえ。」
「そこまで強気な発言はイスタリカ王国の支援があればでしょう?」
「ははっ。当然ばれちまってるか。その通り。
俺たちサヴァディンとイスタリカは手を組んだんだ。
もうオルネア帝国に媚びを売る必要はねえ。今の俺たちにしたら、オルネアの海軍は大したことねえしな。」
「大したことはないですか・・・時にあなたはタリス島の海賊を知っていますか?」
「ああん?そりゃ知ってるよ。俺たちの宿敵みたいなもんだからな。」
「まだ先日のことなので知らないでしょうが、私たちには切れるカードが増えています。」
「どういう意味だ?」
ジャドは不思議に思ってふいにナオから目を離す。
その時にナオの後ろに控えた兵士の中に一人の女性がいるのに気づく。
胸辺りから右腕にかけてタトゥーが入っていて、意匠も海賊。タリス島の海賊頭の娘レルミタだ。
「あいつは!!!あいつはタリスの狂気!!」
「あらっ。もう気づいてしまったのですね。
そう。我々オルネア帝国とタリス島の海賊は盟約を結びました。
既にタリス島の海賊は海賊ではなく、オルネア帝国を守る盾となりました。」
『腕っぷしが強いからって、どんだけ恐れられてるのよ・・・』
冷静に話しながら、ナオは海賊の娘レルミタの二つ名に心の中で驚く。
「まじか・・・こりゃあやべえな。」
「そろそろ海賊業は廃業してはいかがですか?
それと野蛮な首切りの儀式も」
ジャドは少し沈黙していたが、ナオの言葉にいら立つ。
「俺たちにとって首切りの祝儀はこの海の女神に捧げる信仰の証!
あのしぶきが上がるのを女神が喜ぶのさ!てめえらに俺たちの信仰に文句はいわせねえ!」
ナオは少し考えてから口を開いた。
「では人のしぶきではなくてもいいのではないですか?海の女神が喜びそうなものであれば?」
「はあ!?何言ってんだ!そんなもんあるわけねえだろ!」
「分かりました。では人の代わりを持って来ればその首切りの祝儀をやめてくれるのですね。
交渉成立です。十日後にまた来ます。」
ナオは踵を返し、全軍に撤収を命じる。
「ちょ、ちょっと待て!勝手に決めんな!おーい!」
船の甲板でナオはニヤニヤしていた。
『そう、なければ作ってしまえばいい!』
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
十日間、ナオたちはコラシオの豪族筆頭ウーゾの屋敷に滞在し、その間にナオはコラシオ島内でいろいろと動き回っていた。
そしてあっという間に十日が過ぎ、また以前の交渉の浜辺で対峙した。
「さあ、ジャド殿。
あなたに手土産をもって参りましたよ。」
ナオは手に黒い布の掛ったものを持っていた。
「ああ?それが人の代わりというのかよ?」
「はい。」
ナオは布を取る。
その中身はコルク栓を針金で止めた瓶、コラシオ産ワインであった。
「ワイン?」
ジャドもそうだったが、その場にいた百名近くの人間も驚く。
「ロレンツェ。剣を貸して。」
不思議がりながら、ロレンツェは剣を抜いて柄をナオに渡した。
ロレンツェの剣は細身で緩やかな曲線を持つ片刃剣、サーベルだ。
「それでは!海の女神に捧げるワイン!とくとご覧あれ!」
発声と共にナオはワインを斜め上向きに持ち上げ、サーベルを瓶横に当て、滑らせてワインの口まで走らせる。
ポオオオオン!
サーベルがワインの瓶口に当たった瞬間に瓶口が弾け飛んだ。
その後からワインの液体が勢いよく吹く出してきて止まらない。
「な!なんだこれは!!!」
それを目撃した全員は腰を抜かすほど驚いた。
それもそのはず、この世界のワインはスパークリングワインはなく、全て未発砲ワインのみ、白ワインと赤ワインしか存在していなかったのだ。
さらには火薬というものもない。大きな音を立てて爆発するというものがないのだ。
ナオは大きな声を上げて笑う。笑い終わった後、それはもうしたり顔だった。
「これはいったい?どんな魔法なんですか・・・?」
ブラハは驚き、ナオに尋ねる。
「ふっふっふっふ。さすがにワイン好きのブラハ殿も知りませんでしたね。
これこそが私が愛してやまない至上のワイン!
シャンパンなのです!」
そう言いながらロレンツェに用意させたワイングラスに、弾け飛んで少し短くなった瓶からワインを注ぐ。それをサヴァディンのジャド、コラシオのウーゾ、ブラハの手渡す。
ワイングラスの底から液中をたくさんの小さな気泡が立ち上がり、シュワシュワと音を立てて弾け飛ぶ。
この十日間でナオはコラシオ産ワインでこの発泡性ワインを作っていた。
もとの世界でナオは趣味もなかったが、30歳も過ぎた頃何か楽しみをと思ってワインスクールに通ったのだ。酒好きのナオにはぴったりのカルチャースクール。
そこでワインの成り立ちや製造方法などの知識を学んでいたのだ。
『出来上がっている白ワインに、コラシオ島のワイナリーからいただいた天然酵母をお湯等で培養して砂糖と一緒に瓶に加えて二次発酵。うまく発酵すれば炭酸ガスを作ってくれる。・・・・発酵期間が短くて心配だったけど大成功よ!!!』
ナオは心の中で大きくガッツポーズ。
何よりこの世界に発泡性ワインがなくて、がっかりしていたことは伏せておく。
「いかがですか?ジャド殿?
人を切るより大きな、しかも輝くしぶきを上げれたと思いませんか?きっと海の女神も喜んでいただけるはず。
こちらの条件をすべて飲んでいただけるのなら、このワインの製法を伝授しましょう。
寡占で構いませんので、島の発展のために商売するにも好きに使ってください。」
ナオは自身満々ににっこりと微笑む。すでに勝利は目前と思っている。
その隣でウーゾは商売人として、この発泡性ワインの技術が他に渡ってしまうことに不快な顔を隠しきれなかった。
グラスを手に持ったまま固まっていたが、落ち着いてきたジャドは口を開いた。
「分かった。そちらの条件を飲もう。
コラシオの奴隷は解放する。賠償もする。首切りの祝儀も取り止める。
このワインはサヴァディン群島の発展に余りある価値だ。」
「ええ!さすがに賢いお方です。すぐにこれの価値を理解してますね。それでは!・・・」
ナオは感嘆の声を上げる。しかし、それをジャドは遮る。
「だが、もう一つ条件がある。
我々は海の女神に最後の首切りの祝儀を行う。その為に・・・」
「・・・タリス島の海賊頭の娘、タリスの狂気を渡せ。」
ウーゾが切り出した。
「嘆願書でお伝えした通り、先月コラシオの由緒正しき名家の商船がサヴァディン群島の海賊に襲われました。
運悪く、その名家の一族もほとんど乗っていたのです。
当然その商船はかなり武装し、護衛も大勢いましたが、結局拿捕されてしまった。
なぜなら南の大国イスタリカ王国が手を貸していたのです。
その後我々の調べで裏付けも取れております。」
「ではやはりイスタリカ王国はコラシオ島とサヴァディン群島で戦争起こさせたいと?」
「はい。そう考えるのが一番自然かと。
コラシオ側は捕虜返還と賠償金を払えば手を打つとしているがサヴァディン側は全く交渉する気がないようですじゃ。
しかし、このまま戦争をしても何も益がございません。」
「それで我がオルネア帝国に助力を求めた訳ですね。」
「はい。スタインベルグ王国のブラハ様にもご助力いただければと思っております。」
「わかりました。この内海が荒れるのはオルネア帝国にとってもよくない事態。
一緒に交渉の場に臨みましょう。」
数日後、状況を把握したナオたちはサヴァディン群島の一つに上陸し、交渉の場に赴いていた。
交渉の場といっても特別な所で行うわけではなく、現在二つの勢力が対峙しているのは砂浜。
ナオたちコラシオ側は五〇人ほど上陸し、サヴァディン側は三〇名程で向き合っている。
一声あればその場での戦闘も避けられない。
「サヴァディン殿。私はオルネア帝国宰相ナオ・クレルモン=フェラン。
こちらはスタインベルグ王国王子ブラハ・スタインベルグ殿。」
「よろしく。サヴァディン群島を取りまとめる島頭のジャドだ。
ついにオルネア帝国とスタインベルグ王国が出張ってきたわけだ。」
「はい。両島は我々の盟友。穏便に済ますべく、参りました。」
「ふん。何が盟友だ。武力を笠に言いたい放題言ってるだけじゃねえか。」
サヴァディンの島頭ジャドは本人を目の前に悪態をつく。
このことの意味がわからないほど馬鹿な男には見えない。
「無礼な発言は今は不問にします。
それよりも本題です。捕まえた捕虜の解放とその賠償金を払う気がないのですか?」
「ないねえ。俺たちサバディンの人間は海賊業と漁業を生業にしている。
それを他国に咎められる筋合いはねえ。」
「そこまで強気な発言はイスタリカ王国の支援があればでしょう?」
「ははっ。当然ばれちまってるか。その通り。
俺たちサヴァディンとイスタリカは手を組んだんだ。
もうオルネア帝国に媚びを売る必要はねえ。今の俺たちにしたら、オルネアの海軍は大したことねえしな。」
「大したことはないですか・・・時にあなたはタリス島の海賊を知っていますか?」
「ああん?そりゃ知ってるよ。俺たちの宿敵みたいなもんだからな。」
「まだ先日のことなので知らないでしょうが、私たちには切れるカードが増えています。」
「どういう意味だ?」
ジャドは不思議に思ってふいにナオから目を離す。
その時にナオの後ろに控えた兵士の中に一人の女性がいるのに気づく。
胸辺りから右腕にかけてタトゥーが入っていて、意匠も海賊。タリス島の海賊頭の娘レルミタだ。
「あいつは!!!あいつはタリスの狂気!!」
「あらっ。もう気づいてしまったのですね。
そう。我々オルネア帝国とタリス島の海賊は盟約を結びました。
既にタリス島の海賊は海賊ではなく、オルネア帝国を守る盾となりました。」
『腕っぷしが強いからって、どんだけ恐れられてるのよ・・・』
冷静に話しながら、ナオは海賊の娘レルミタの二つ名に心の中で驚く。
「まじか・・・こりゃあやべえな。」
「そろそろ海賊業は廃業してはいかがですか?
それと野蛮な首切りの儀式も」
ジャドは少し沈黙していたが、ナオの言葉にいら立つ。
「俺たちにとって首切りの祝儀はこの海の女神に捧げる信仰の証!
あのしぶきが上がるのを女神が喜ぶのさ!てめえらに俺たちの信仰に文句はいわせねえ!」
ナオは少し考えてから口を開いた。
「では人のしぶきではなくてもいいのではないですか?海の女神が喜びそうなものであれば?」
「はあ!?何言ってんだ!そんなもんあるわけねえだろ!」
「分かりました。では人の代わりを持って来ればその首切りの祝儀をやめてくれるのですね。
交渉成立です。十日後にまた来ます。」
ナオは踵を返し、全軍に撤収を命じる。
「ちょ、ちょっと待て!勝手に決めんな!おーい!」
船の甲板でナオはニヤニヤしていた。
『そう、なければ作ってしまえばいい!』
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
十日間、ナオたちはコラシオの豪族筆頭ウーゾの屋敷に滞在し、その間にナオはコラシオ島内でいろいろと動き回っていた。
そしてあっという間に十日が過ぎ、また以前の交渉の浜辺で対峙した。
「さあ、ジャド殿。
あなたに手土産をもって参りましたよ。」
ナオは手に黒い布の掛ったものを持っていた。
「ああ?それが人の代わりというのかよ?」
「はい。」
ナオは布を取る。
その中身はコルク栓を針金で止めた瓶、コラシオ産ワインであった。
「ワイン?」
ジャドもそうだったが、その場にいた百名近くの人間も驚く。
「ロレンツェ。剣を貸して。」
不思議がりながら、ロレンツェは剣を抜いて柄をナオに渡した。
ロレンツェの剣は細身で緩やかな曲線を持つ片刃剣、サーベルだ。
「それでは!海の女神に捧げるワイン!とくとご覧あれ!」
発声と共にナオはワインを斜め上向きに持ち上げ、サーベルを瓶横に当て、滑らせてワインの口まで走らせる。
ポオオオオン!
サーベルがワインの瓶口に当たった瞬間に瓶口が弾け飛んだ。
その後からワインの液体が勢いよく吹く出してきて止まらない。
「な!なんだこれは!!!」
それを目撃した全員は腰を抜かすほど驚いた。
それもそのはず、この世界のワインはスパークリングワインはなく、全て未発砲ワインのみ、白ワインと赤ワインしか存在していなかったのだ。
さらには火薬というものもない。大きな音を立てて爆発するというものがないのだ。
ナオは大きな声を上げて笑う。笑い終わった後、それはもうしたり顔だった。
「これはいったい?どんな魔法なんですか・・・?」
ブラハは驚き、ナオに尋ねる。
「ふっふっふっふ。さすがにワイン好きのブラハ殿も知りませんでしたね。
これこそが私が愛してやまない至上のワイン!
シャンパンなのです!」
そう言いながらロレンツェに用意させたワイングラスに、弾け飛んで少し短くなった瓶からワインを注ぐ。それをサヴァディンのジャド、コラシオのウーゾ、ブラハの手渡す。
ワイングラスの底から液中をたくさんの小さな気泡が立ち上がり、シュワシュワと音を立てて弾け飛ぶ。
この十日間でナオはコラシオ産ワインでこの発泡性ワインを作っていた。
もとの世界でナオは趣味もなかったが、30歳も過ぎた頃何か楽しみをと思ってワインスクールに通ったのだ。酒好きのナオにはぴったりのカルチャースクール。
そこでワインの成り立ちや製造方法などの知識を学んでいたのだ。
『出来上がっている白ワインに、コラシオ島のワイナリーからいただいた天然酵母をお湯等で培養して砂糖と一緒に瓶に加えて二次発酵。うまく発酵すれば炭酸ガスを作ってくれる。・・・・発酵期間が短くて心配だったけど大成功よ!!!』
ナオは心の中で大きくガッツポーズ。
何よりこの世界に発泡性ワインがなくて、がっかりしていたことは伏せておく。
「いかがですか?ジャド殿?
人を切るより大きな、しかも輝くしぶきを上げれたと思いませんか?きっと海の女神も喜んでいただけるはず。
こちらの条件をすべて飲んでいただけるのなら、このワインの製法を伝授しましょう。
寡占で構いませんので、島の発展のために商売するにも好きに使ってください。」
ナオは自身満々ににっこりと微笑む。すでに勝利は目前と思っている。
その隣でウーゾは商売人として、この発泡性ワインの技術が他に渡ってしまうことに不快な顔を隠しきれなかった。
グラスを手に持ったまま固まっていたが、落ち着いてきたジャドは口を開いた。
「分かった。そちらの条件を飲もう。
コラシオの奴隷は解放する。賠償もする。首切りの祝儀も取り止める。
このワインはサヴァディン群島の発展に余りある価値だ。」
「ええ!さすがに賢いお方です。すぐにこれの価値を理解してますね。それでは!・・・」
ナオは感嘆の声を上げる。しかし、それをジャドは遮る。
「だが、もう一つ条件がある。
我々は海の女神に最後の首切りの祝儀を行う。その為に・・・」
「・・・タリス島の海賊頭の娘、タリスの狂気を渡せ。」
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