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終章 選択
《皇帝・ルート2》34歳と皇帝の関係
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イスタリカ王国によるスタインベルグ王国急襲の報を受け、ナオは皇城に連れ戻される馬車の中にいた。日はすでに暮れていて、夜の闇が深まっている。
ナオの目の前には皇帝が座っている。
ナオは酔っ払っていた。
それもかなり。
空気のタイヤなどない馬車の揺れは、とてもとても激しい。
「うっ!きもちわる・・・!」
「ナオ!!?きっ貴様ぁぁ―――!」
そのあとの惨劇は語るに忍びない。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
青白い顔のまま、ロレンツェに宰相服を着せられたナオは皇宮殿の軍議の間に向かった。
心なしか、すっきりした表情をしている。
軍議の間に着くと、すでに帝議会の議員や軍人が揃っていて卓についている。
遅れて皇帝が入ってきた。
ナオに汚された服は着替えていて色違いの軍服に身を包んでいる。
「皆、揃っているな。
わかっていると思うが、スタインベルグ王国の王都ナーエが陥落したとの報が入った。
我がオルネア帝国を攻めたブラハ王子がすぐに向かって、現在交戦中らしいが、状況は良くないらしい。強行軍と連戦だ。無理もない。」
状況を説明した皇帝はさらに続ける。
「オルネア帝国にとっても、もしこのままスタインベルグ王国がイスタリカ王国の手に落ちれば、よからぬ事態となる。オルネア帝国が囲む包囲網ができてしまうということだ。
然るに、イスタリカ王国の最終目標はこのオルネア帝国にあると睨む。
我がオルネア帝国として、どうすればよいか着想を述べよ。」
『スタインベルグ王都陥落って・・・ブラハ殿は無事なの・・・?』
ようやく事態が飲み込めてくる。
軍議が進む中、ナオはようやく頭が回り始めてきた。
縁が切れてしまったとはいえ、情は当然のようにある。
心配で胸が締め付けられる。
「では、スタインベルグ王都でのイスタリカ王国軍とブラハ王子の軍の戦いが終結した後、時期を見計らってイスタリカ王国軍に強襲をかけるということで・・・。」
いつの間にか、軍議は結論まで近づいていた。
それもブラハの軍が負けることを前提で、そして見捨てるというやり方で。
『そんなことはだめ!』
心の中で叫び、ナオはまっすぐに皇帝を見た。
皇帝はナオの視線に気づく。貴様の言いたいことなどわかっているとばかりにフン、と鼻息を漏らす。
「皆の者。
浅ましく漁夫の利を得ようなどと、いつからそのような痴れ者になった?
そのようなことで国を得ては、誰がそんな国のために仕えるというのだ。
もっと大義を持て!義を尊ぶのだ!」
散々冷酷なことをしてきた陛下がそれをいうのか!と誰もがツッコミたかったが誰も言えるはずもない。
変わり始めた皇帝はこうまで変わったのだなとその場の皆は心に刻む。
「よい。余が行く。
国内のことは復権した宰相ナオに任せる!
今ここでスタインベルグ王国に恩を売っておけば、先の戦いの講和も有利となり、さらには協力の見返りも大きい。それはオルネア帝国に多大な利益をもたらすであろう!!
然らば!余はブラハ王子を助けに行くぞ!」
皇帝の決断の言葉に皆どよめく。
その場のナオと賢老フィリップだけが、皇帝ならそうするだろうと確信していた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
その日の夜、ナオと皇帝は白虎宮の皇帝の居室にいた。
姦通罪を赦されたナオだが、一緒にいろと言われて自室には戻れなかった。
そもそも焼け落ちてしまって、元の私室はないのだが。
二人は食事を終えた後、テラスでワインを傾けていた。
「やはり、酒はこういうものではないとな。」
皇帝はガラスの酒器に注がれたルビー色の赤い液体の香りを楽しんでいる。
よく熟した木苺や桑の実を思わせる香りにハーブやスパイス、すみれやバラの花の香り。さらには雨上がりの新緑に足を踏み入れたときに踏んだ下草から香る湿った土のような腐葉土の香りが混じり、複雑に広がる。
その成熟した最盛期を迎える香りと裏腹に、味わいはマッシュルームやトリュフのような古酒を思わせる奥行きとドライなニュアンスを感じさせる。最後には綺麗な酸と余韻が後を引く。
『例えるなら、フランスのブルゴーニュ地方の高級ワインかな。なんだか、昔同じ味のワインを飲んだような気がする。』
香りと味わいを楽しんでいるナオはふとそんなことを考える。もとの世界でのワインの知識だ。
「どうだ、ナオ?
これがよい酒というものだ。貴様もこのようなものを嗜め。」
「フフフ。陛下。これはきっと高価なものでしょう?私がこれを毎晩のように嗜んだら一年で国庫が破綻いたします。」
「・・・違いない。
ところでこのワインがどこのものかわかるか?」
突拍子もなく、皇帝はナオに尋ねた。この世界のワインのことなどナオにわかるわけがない。
しかし、知らないからこそ楽しいかもしれない。ナオは元の知識を頼りに想像してみる。
ワイン用の葡萄はしばしばそれが作られた土地の個性を反映するといわれる。
様々な土地を表現する千差万別の個性がワインの楽しみの一つだ。
「うーん・・・。
とても華やかな香り・・・ラズベリーやさくらんぼを思わせるフルーツのアロマ・・・。
この上品さは、独特の味わいを持つ地葡萄で作るコラシオ島やサヴァディン群島で作るワインにはないニュアンス・・・。
オルネア帝国本土のワインかな・・・?
そういえば、東に位置するワイン産地エラン村の味に似ている気がする。
だけど全体を心地よい酸味が支えてる・・・ということは葡萄が熟しすぎる暖かい東の土地ではない。酸味がぼけてしまう。
少し冷涼だけど、しっかりと葡萄が完熟するもっと北の土地・・・。」
真剣に考えるナオに驚く皇帝。ナオの推理は間違えてなどいなかったからだ。
「ナオよ・・・。貴様本当にすごいな、正解に近づいているぞ。」
「えっ?あってますか?
でもエランより以北は大穀倉地帯で、あまりワイン産地がない・・・。」
迷っていると、ふとワインオタクのブラハのうんちくを思い出した。
『オルネア帝国の北西に位置し本土から大河を渡ったところに、とても良いワインの銘醸地があるのです。』
初めて皇帝と、ちゃんとワインを共にしている時間。ナオは何気なく過ごしていた。
ナオは思った。もし皇帝が今日この瞬間を大切と思っていたとしたら、あの場所のワインを演出するかもしれない。
「このワインは・・・私の故国の・・・アルマニャック王国のワイン・・・。」
ナオはたどたどしく答えた。
それを聞いて皇帝は夜景が映る瞳をさらに輝かせて、うっすらと笑みを浮かべる。
「ナオ・・・正解だ・・・。」
グラスを持つ手ごと、皇帝はふいにナオを抱きしめた。
「十数年前、マルゴ王女から私の誕生日に贈られたアルマニャック王国のワイン。
私が生まれた年のワインだ・・・。」
「――――!」
言葉にならない声を発するナオに皇帝は続けた。
「あの時、私は言った。このワインが飲み頃を迎えるとき、一緒に開けようと・・・」
皇帝の感慨深い気持ちをナオは察する。
元の世界でも、いつの世でもワインは大切な瞬間や思い出をその液体の中に閉じ込めてくれる。
長い年月を刻み、成長し、やがて枯れてワインとしての輝きを無くしていく。
まさにワインは人の人生と感情をその液体に宿すものだ。
「陛下・・・。ぎりぎり?飲み頃に間に合いましたね。」
「うむ。この感動と官能は生涯忘れえぬ。貴様が茶化そうともな。」
「うっ・・・。」
感傷に浸る皇帝に、ナオは少しだけ照れくさくなって面白おかしく答えたが、この雰囲気から逃げることはできなかった。
観念したのか、感化されたのか、抱きしめられているナオは皇帝の腰に手をまわした。
「・・・私にも大切な思い出になっても構いません。」
少しだけナオは視線を外に投げて、照れながらツンデレのように呟いた。
「ははっ。ではそう願うとしよう。」
皇帝は子供だった頃のように、屈託のない笑顔で笑った。
身体を抱かれているナオからは皇帝の顔は見えないが、その笑顔が容易に想像できる。
つられてナオにも笑顔の花が咲いた。
『あっ・・・、思い出した・・・元の世界で飲んだこのワインと同じ味のワイン・・・。たしか、』
「そういえば、このワインには名前がなかったな。ナオよ、名前を付けてくれんか?」
「・・・レザムルーズ・・・。」
フランス語で“恋人たち”を意味する。思い出した記憶を口にした瞬間、この二人にとって大切なワインにその名を与えることになった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
翌日の朝、軍備を整え皇帝は出発した。
ナオは多少の不安もあったが、根拠もなく大丈夫だと思って見送った。
皇帝と二度と会えなくなるかもしれない。
そんな可能性があるとは、露ほども思わずに。
ナオの目の前には皇帝が座っている。
ナオは酔っ払っていた。
それもかなり。
空気のタイヤなどない馬車の揺れは、とてもとても激しい。
「うっ!きもちわる・・・!」
「ナオ!!?きっ貴様ぁぁ―――!」
そのあとの惨劇は語るに忍びない。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
青白い顔のまま、ロレンツェに宰相服を着せられたナオは皇宮殿の軍議の間に向かった。
心なしか、すっきりした表情をしている。
軍議の間に着くと、すでに帝議会の議員や軍人が揃っていて卓についている。
遅れて皇帝が入ってきた。
ナオに汚された服は着替えていて色違いの軍服に身を包んでいる。
「皆、揃っているな。
わかっていると思うが、スタインベルグ王国の王都ナーエが陥落したとの報が入った。
我がオルネア帝国を攻めたブラハ王子がすぐに向かって、現在交戦中らしいが、状況は良くないらしい。強行軍と連戦だ。無理もない。」
状況を説明した皇帝はさらに続ける。
「オルネア帝国にとっても、もしこのままスタインベルグ王国がイスタリカ王国の手に落ちれば、よからぬ事態となる。オルネア帝国が囲む包囲網ができてしまうということだ。
然るに、イスタリカ王国の最終目標はこのオルネア帝国にあると睨む。
我がオルネア帝国として、どうすればよいか着想を述べよ。」
『スタインベルグ王都陥落って・・・ブラハ殿は無事なの・・・?』
ようやく事態が飲み込めてくる。
軍議が進む中、ナオはようやく頭が回り始めてきた。
縁が切れてしまったとはいえ、情は当然のようにある。
心配で胸が締め付けられる。
「では、スタインベルグ王都でのイスタリカ王国軍とブラハ王子の軍の戦いが終結した後、時期を見計らってイスタリカ王国軍に強襲をかけるということで・・・。」
いつの間にか、軍議は結論まで近づいていた。
それもブラハの軍が負けることを前提で、そして見捨てるというやり方で。
『そんなことはだめ!』
心の中で叫び、ナオはまっすぐに皇帝を見た。
皇帝はナオの視線に気づく。貴様の言いたいことなどわかっているとばかりにフン、と鼻息を漏らす。
「皆の者。
浅ましく漁夫の利を得ようなどと、いつからそのような痴れ者になった?
そのようなことで国を得ては、誰がそんな国のために仕えるというのだ。
もっと大義を持て!義を尊ぶのだ!」
散々冷酷なことをしてきた陛下がそれをいうのか!と誰もがツッコミたかったが誰も言えるはずもない。
変わり始めた皇帝はこうまで変わったのだなとその場の皆は心に刻む。
「よい。余が行く。
国内のことは復権した宰相ナオに任せる!
今ここでスタインベルグ王国に恩を売っておけば、先の戦いの講和も有利となり、さらには協力の見返りも大きい。それはオルネア帝国に多大な利益をもたらすであろう!!
然らば!余はブラハ王子を助けに行くぞ!」
皇帝の決断の言葉に皆どよめく。
その場のナオと賢老フィリップだけが、皇帝ならそうするだろうと確信していた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
その日の夜、ナオと皇帝は白虎宮の皇帝の居室にいた。
姦通罪を赦されたナオだが、一緒にいろと言われて自室には戻れなかった。
そもそも焼け落ちてしまって、元の私室はないのだが。
二人は食事を終えた後、テラスでワインを傾けていた。
「やはり、酒はこういうものではないとな。」
皇帝はガラスの酒器に注がれたルビー色の赤い液体の香りを楽しんでいる。
よく熟した木苺や桑の実を思わせる香りにハーブやスパイス、すみれやバラの花の香り。さらには雨上がりの新緑に足を踏み入れたときに踏んだ下草から香る湿った土のような腐葉土の香りが混じり、複雑に広がる。
その成熟した最盛期を迎える香りと裏腹に、味わいはマッシュルームやトリュフのような古酒を思わせる奥行きとドライなニュアンスを感じさせる。最後には綺麗な酸と余韻が後を引く。
『例えるなら、フランスのブルゴーニュ地方の高級ワインかな。なんだか、昔同じ味のワインを飲んだような気がする。』
香りと味わいを楽しんでいるナオはふとそんなことを考える。もとの世界でのワインの知識だ。
「どうだ、ナオ?
これがよい酒というものだ。貴様もこのようなものを嗜め。」
「フフフ。陛下。これはきっと高価なものでしょう?私がこれを毎晩のように嗜んだら一年で国庫が破綻いたします。」
「・・・違いない。
ところでこのワインがどこのものかわかるか?」
突拍子もなく、皇帝はナオに尋ねた。この世界のワインのことなどナオにわかるわけがない。
しかし、知らないからこそ楽しいかもしれない。ナオは元の知識を頼りに想像してみる。
ワイン用の葡萄はしばしばそれが作られた土地の個性を反映するといわれる。
様々な土地を表現する千差万別の個性がワインの楽しみの一つだ。
「うーん・・・。
とても華やかな香り・・・ラズベリーやさくらんぼを思わせるフルーツのアロマ・・・。
この上品さは、独特の味わいを持つ地葡萄で作るコラシオ島やサヴァディン群島で作るワインにはないニュアンス・・・。
オルネア帝国本土のワインかな・・・?
そういえば、東に位置するワイン産地エラン村の味に似ている気がする。
だけど全体を心地よい酸味が支えてる・・・ということは葡萄が熟しすぎる暖かい東の土地ではない。酸味がぼけてしまう。
少し冷涼だけど、しっかりと葡萄が完熟するもっと北の土地・・・。」
真剣に考えるナオに驚く皇帝。ナオの推理は間違えてなどいなかったからだ。
「ナオよ・・・。貴様本当にすごいな、正解に近づいているぞ。」
「えっ?あってますか?
でもエランより以北は大穀倉地帯で、あまりワイン産地がない・・・。」
迷っていると、ふとワインオタクのブラハのうんちくを思い出した。
『オルネア帝国の北西に位置し本土から大河を渡ったところに、とても良いワインの銘醸地があるのです。』
初めて皇帝と、ちゃんとワインを共にしている時間。ナオは何気なく過ごしていた。
ナオは思った。もし皇帝が今日この瞬間を大切と思っていたとしたら、あの場所のワインを演出するかもしれない。
「このワインは・・・私の故国の・・・アルマニャック王国のワイン・・・。」
ナオはたどたどしく答えた。
それを聞いて皇帝は夜景が映る瞳をさらに輝かせて、うっすらと笑みを浮かべる。
「ナオ・・・正解だ・・・。」
グラスを持つ手ごと、皇帝はふいにナオを抱きしめた。
「十数年前、マルゴ王女から私の誕生日に贈られたアルマニャック王国のワイン。
私が生まれた年のワインだ・・・。」
「――――!」
言葉にならない声を発するナオに皇帝は続けた。
「あの時、私は言った。このワインが飲み頃を迎えるとき、一緒に開けようと・・・」
皇帝の感慨深い気持ちをナオは察する。
元の世界でも、いつの世でもワインは大切な瞬間や思い出をその液体の中に閉じ込めてくれる。
長い年月を刻み、成長し、やがて枯れてワインとしての輝きを無くしていく。
まさにワインは人の人生と感情をその液体に宿すものだ。
「陛下・・・。ぎりぎり?飲み頃に間に合いましたね。」
「うむ。この感動と官能は生涯忘れえぬ。貴様が茶化そうともな。」
「うっ・・・。」
感傷に浸る皇帝に、ナオは少しだけ照れくさくなって面白おかしく答えたが、この雰囲気から逃げることはできなかった。
観念したのか、感化されたのか、抱きしめられているナオは皇帝の腰に手をまわした。
「・・・私にも大切な思い出になっても構いません。」
少しだけナオは視線を外に投げて、照れながらツンデレのように呟いた。
「ははっ。ではそう願うとしよう。」
皇帝は子供だった頃のように、屈託のない笑顔で笑った。
身体を抱かれているナオからは皇帝の顔は見えないが、その笑顔が容易に想像できる。
つられてナオにも笑顔の花が咲いた。
『あっ・・・、思い出した・・・元の世界で飲んだこのワインと同じ味のワイン・・・。たしか、』
「そういえば、このワインには名前がなかったな。ナオよ、名前を付けてくれんか?」
「・・・レザムルーズ・・・。」
フランス語で“恋人たち”を意味する。思い出した記憶を口にした瞬間、この二人にとって大切なワインにその名を与えることになった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
翌日の朝、軍備を整え皇帝は出発した。
ナオは多少の不安もあったが、根拠もなく大丈夫だと思って見送った。
皇帝と二度と会えなくなるかもしれない。
そんな可能性があるとは、露ほども思わずに。
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