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The war without ends
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それはいつもと変わらない日常で起こった。いつもと変わらず遅刻ギリギリに家を出て、いつものように地下鉄の改札をくぐり、電車を待っていたときの事だった。突然携帯からけたたましいサイレンの様な異音が鳴り響く。
『緊急地震速報』『緊急地震』『避難してくだ』『強い』『さい』『速報です』『地震です避難』『急地震速』『緊急地震速報です』『震です』『してください』『を伴います』『皆様にお断りします。只今、電車の路面に地揺れが発生しています。電車到着まで暫くお待ちください』
突然の事態に困惑するも近くの長椅子にしがみつく。耳障りな音が鳴り響くなか周りの反応は慌てることなく身を守っており、流石日本人だと感心する。と、その時起こった………………
ドンッ!
建物自体に衝撃が響き渡る。かつて感じたことのない衝撃だった。それで終わるのならばよかったがとても激しく体が浮き上がるような、いや実際に体が浮き上がる程の揺れが襲う。
ガラスの割れる音や何かが倒れる音が鳴り響く。その度に悲鳴が上がり、子供が泣き叫ぶ。だが次第にその声の数が聞こえなくなっていく。長く永遠に思えるほど揺れは続いた。
ようやく揺れが収まりパニック状態になっていた頭が回転し始め、周りの景色を見ることが出来た。
「真っ暗だ…………何も見えない」
携帯の照明で回りを照らす。自分と後数メートルという距離にコンクリートの塊が落ちていた。どうやら壁から剥がれ落ちたようだ。他にも頭上から落ちてきただろう鉄骨やコンクリート片が足場を覆うように転がっている。地下鉄の壁一面には罅が入っており所々から土の部分が見える。
「ひでぇ」
あまりの悲惨さに背中に冷たい汗が流れる。
「誰か、誰かいませんか」
周囲には沢山の人が居たはずだ。しかし、人の気配が無く自分の息づかいだけが響く。
ヌチャリ
唐突に足下から不快な音が鳴る。足下を照らすと赤い液体の水溜まりがあった。その発生源へと明かりを辿らせると、そこには巨大なコンクリートの塊に押しつぶされた人間の足と手先、そして……
(これは、なんだ……………………脳みそ?)
「う″っ、おえ″え″え″え″」
あまりのグロテスクさと、濃い血生臭さに堪らず胃の内容物を全てはき出す。
「はぁはぁはぁ。う″っおぇ″え″え″」
何度吐いても吐き気は収まらない。脳裏に焼き付いた光景と血の臭いが更に追い打ちをかけてくる。
(ここから早く出たい…もう嫌だ、みんな死んでる…………)
頭上にぶら下がった標識を確認し、一番近い出口を目指すことにする。
時にはほんの小さな隙間をくぐり抜け、時には崩落により命の危機に晒されながら少しずつ歩みを進める。
∞
体感で3時間ほどだろうか、体中が擦り傷だらけになった頃に出口の階段まで辿り着いた。
(階段を上り終えたらやっと、外に出られる!)
足元に気をつけ階段を上っていく。そして、視界が開けた先には………………
「何だ……これ」
想像してた。してたけど酷かった。あまりにも日常と違いすぎた為に茫然とする。
遠くでは爆炎が上がり、空が煙りで暗い。空高くに鳥にしては大きな何かが飛翔しているが気のせいだろう。
何より地割れが酷かった。至る所で地面の隆起が起こっており、地面の上に造られた建造物が崩壊していた。つまり、瓦礫の山が有るだけで何もない。何も……無い。小さな頃に見た戦後の街並みに似た光景が、唯唯果てしなく続いていた。
(どうすれば、俺はこれからどうすればいい…)
出てきた答えは簡単だった。
「避難、しよう」
『緊急地震速報』『緊急地震』『避難してくだ』『強い』『さい』『速報です』『地震です避難』『急地震速』『緊急地震速報です』『震です』『してください』『を伴います』『皆様にお断りします。只今、電車の路面に地揺れが発生しています。電車到着まで暫くお待ちください』
突然の事態に困惑するも近くの長椅子にしがみつく。耳障りな音が鳴り響くなか周りの反応は慌てることなく身を守っており、流石日本人だと感心する。と、その時起こった………………
ドンッ!
建物自体に衝撃が響き渡る。かつて感じたことのない衝撃だった。それで終わるのならばよかったがとても激しく体が浮き上がるような、いや実際に体が浮き上がる程の揺れが襲う。
ガラスの割れる音や何かが倒れる音が鳴り響く。その度に悲鳴が上がり、子供が泣き叫ぶ。だが次第にその声の数が聞こえなくなっていく。長く永遠に思えるほど揺れは続いた。
ようやく揺れが収まりパニック状態になっていた頭が回転し始め、周りの景色を見ることが出来た。
「真っ暗だ…………何も見えない」
携帯の照明で回りを照らす。自分と後数メートルという距離にコンクリートの塊が落ちていた。どうやら壁から剥がれ落ちたようだ。他にも頭上から落ちてきただろう鉄骨やコンクリート片が足場を覆うように転がっている。地下鉄の壁一面には罅が入っており所々から土の部分が見える。
「ひでぇ」
あまりの悲惨さに背中に冷たい汗が流れる。
「誰か、誰かいませんか」
周囲には沢山の人が居たはずだ。しかし、人の気配が無く自分の息づかいだけが響く。
ヌチャリ
唐突に足下から不快な音が鳴る。足下を照らすと赤い液体の水溜まりがあった。その発生源へと明かりを辿らせると、そこには巨大なコンクリートの塊に押しつぶされた人間の足と手先、そして……
(これは、なんだ……………………脳みそ?)
「う″っ、おえ″え″え″え″」
あまりのグロテスクさと、濃い血生臭さに堪らず胃の内容物を全てはき出す。
「はぁはぁはぁ。う″っおぇ″え″え″」
何度吐いても吐き気は収まらない。脳裏に焼き付いた光景と血の臭いが更に追い打ちをかけてくる。
(ここから早く出たい…もう嫌だ、みんな死んでる…………)
頭上にぶら下がった標識を確認し、一番近い出口を目指すことにする。
時にはほんの小さな隙間をくぐり抜け、時には崩落により命の危機に晒されながら少しずつ歩みを進める。
∞
体感で3時間ほどだろうか、体中が擦り傷だらけになった頃に出口の階段まで辿り着いた。
(階段を上り終えたらやっと、外に出られる!)
足元に気をつけ階段を上っていく。そして、視界が開けた先には………………
「何だ……これ」
想像してた。してたけど酷かった。あまりにも日常と違いすぎた為に茫然とする。
遠くでは爆炎が上がり、空が煙りで暗い。空高くに鳥にしては大きな何かが飛翔しているが気のせいだろう。
何より地割れが酷かった。至る所で地面の隆起が起こっており、地面の上に造られた建造物が崩壊していた。つまり、瓦礫の山が有るだけで何もない。何も……無い。小さな頃に見た戦後の街並みに似た光景が、唯唯果てしなく続いていた。
(どうすれば、俺はこれからどうすればいい…)
出てきた答えは簡単だった。
「避難、しよう」
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