悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る

桜城 寧

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第1部

4 忠犬

この学園で、俺は生徒会会計になった。

別になりたくてなったわけじゃない。
本音を言えば、目立つ役職なんて避けたかった。

でもこの学園、生徒会も風紀委員も生徒の人気投票で決まる。
顔とノリと、それっぽい振る舞いが評価される世界だ。

結果――
ピンク髪で、軽薄で、誰にでも笑顔を振りまく俺は、
一年生にして生徒会入りを果たした。

……皮肉な話だ。

同じく一年で、圧倒的な人気を博して生徒会長に選ばれた人物がいる。
レイン王子。

金髪に整った顔立ち、立っているだけで人を惹きつけるカリスマ。
そりゃあ、票も集まる。

「かいちょ~、おはよ~!
 今日もイッケメ~ン!」

いつもの調子で声をかけると、
レインはちらりとこちらを見て、露骨に面倒そうな顔をした。

「……おい。ジュース、買ってこい」

「はいはーい!」

俺は即答し、軽い足取りでその場を離れる。

そう、俺は会長専用の忠犬だ。

……いや、誤解しないでほしい。
最初から忠犬だったわけじゃない。

初対面のとき、
相手が王族だなんて知らずに、

「きみ、かっこいいね~!」

なんて、ため口で声をかけてしまったのがすべての始まりだ。

その瞬間、
レインは俺を射抜くような目で見た。

……あれは怖かった。
本気で「終わった」と思った。

だってしょうがないだろ。
孤児だった俺に、王族の顔なんて分かるわけない。

——まあ、それだけが理由じゃない。

この世界が、
BL恋愛ゲームの世界だってことも、大きく関係してる。

平民の男の子が主人公で、
貴族の美形たちと恋に落ちていくゲーム。

そして――
悪役は、俺。

誰からも愛されなかった悪役会計カイルは、
誰からも愛される主人公に嫉妬して、
いじめて、歪んで、
最後には悪の組織のボスになって。

断罪されて、処刑される。

……最悪だろ?

その未来を思い出した俺は決めた。
絶対に、そのルートには行かない。

だから選んだのが、この戦略。

攻略対象の中で、
一番権力があるのは――生徒会長、レイン王子。

断罪の場に立たされたとき、
「こいつは悪くない」って言ってもらえたら、
それだけで生存率は跳ね上がるだろう。

そんな打算のもと、
俺は入学してからずっと会長につきまとっている。

若干……
いや、かなり鬱陶しがられている気はする。

でもいい。

忠犬よろしく、
雑用も、パシリも、なんでもやる。

処刑されるくらいなら、
嫌われる方がずっとマシだ。

「……よし、ジュース買ってこよ」

そう呟いて、俺は購買へ向かった。

——この学園で生き残るために、
俺は今日も、笑顔の仮面を被る。

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