スパダリ社長の狼くん

soirée

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第二章

七話※R18

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槙野が瞬のシャツのボタンを外しながら、今にも涙をこぼしそうな瞼を指でなぞる。

「あなたが物分かりの良い方で助かりました。きっと本当に社長を好いていらっしゃるのでしょう。だからこそ賢明な判断ができる」

 暗示をかけるように刷り込む。忍を愛しているのならば、本当に好きだと言うのならば忍のために諦めろと。呪詛のように繰り返す。
 体を這う指に瞬が嫌悪感を示すのも一切顧みず、ただ刻み込むように不貞の証を散らしてゆく。忍がこれを見れば二人の間には決定的な亀裂が入るだろう。そこまでしてでも忍と瞬を引き離すことは槙野にとっては正義であり、忍への忠心なのだ。それが槙野の抱き続けた身勝手な嫉妬の顕れであると気づきながら、抵抗する瞬を組み敷く。その肌に残る火傷の跡を冷淡に眺めた。
「可哀想に。社長に同情されたんでしょうね。あの方は優しい人です。傷ついたあなたを放って置けなかった、ただそれだけなのに勘違いをしてしまったんですね」
首筋を舐め、噛み跡を残す。
堪えきれずに涙を溢した瞬の耳に囁き続けながら、指を差し込み、ぐりっと前立腺を抉る。嫌がる瞬を押さえつけながら無理やり快楽を叩き込む。
「なるほど、男性を受け入れるのは慣れているようだ。社長だけじゃなかったんじゃないですか? 本気で社長でなければ嫌だというのならなぜこんなに濡れているんですか?」
反対の手で蜜を垂らす先端を擦り上げる。
「んぅぅっ、ち、ちがっ……あぁっ……んんぅぅ……っ」
槙野の思うがままに反応するなど嫌なのに、瞬の体は既に慣らされすぎていて、浅ましいほどに快楽に溺れていく。自己嫌悪の裏側から所詮俺はこんな生き物だと自分自身を軽蔑する瞬が顔を出す。忍に相応しくないのだ。槙野の言う通り……。
ローションもないまま貫かれ、痛みで顔が歪む。遠慮も容赦もない、そこにあるのは身の程を弁えろと言う槙野の一方的な「躾」だ。
「充分でしょう? もう。たくさんのものをいただいたのでしょう? あなたにできる恩返しは分かりますね? あの方には後継者が必要なんです。男性のあなたができることなど何もない」
強く前立腺を抉る。瞬が嬌声とも嗚咽ともつかぬ声を上げて身を捩るのを抑え込んで、何度も良いところを突き上げる。
怯えた顔で泣きながら肌を染める瞬を容赦なく追い詰める。
「求めるのならいくらでも可愛がって差し上げます。だから──」
「嫌……だっ……やめろっ……」
「もう限界のようですね。私のものでイけるのであれば、社長である必要はないと言うことです。それが事実です」
「あぅ……っ、や、だ……やめっ……」
とどめを刺すように最奥をつく。瞬の体が痙攣する。止めようもなく果ててしまった己に瞬がいよいよ泣きじゃくり始めるのを見下ろし、さっさと身を離す。
「よかったじゃないですか。あなたは社長がいなくても生きていける。服を着たらマンションまでお送りします。よく話し合ってください」
「もう……帰れない……こんなことしてあいつに会えるわけがないっ……」
涙混じりのその言葉に槙野の顔に満足そうな残忍な色が浮かぶ。
それはダメだ。瞬からはっきりと忍を拒んでもらわなくては忍に未練が残る。最後の役目を果たさせなくてはならない。
「あなたがきちんとあなたの口から言えば良いんです。社長のことは好きでもなんでもないと。それくらい言えるでしょう。あの方のために。あなたにできることはもうそれだけです」
 目を見開く瞬の腕を掴んで引きずりあげる。剥いだ服を押し付け、着替えるように促す。槙野自身はネクタイさえ外していない。

 のろのろと着替えた瞬を車に乗せ、絶望に言葉もなく涙さえ流せなくなったその姿をルームミラーで一瞥する。分かりやすく服を着ても隠せないところに刻んでやった不貞の証がいくつも首筋に散っている。
(社長……目を覚ましてください。こんな哀れで幼稚な人間はあなたには釣り合わない)
 エントランスに横付けされた車から降りた瞬が、いつまでも歩き出さないのを苛立たしく睨みつける。
最後通牒のように言い渡す。忍ほどではなくとも、Domとしての槙野が放つGlareに瞬は逆らえない。
「分かっていますね?」
かすかに頷いた瞬が重い足取りで自動ドアの向こうに消えてゆくのを見届け、何事もなかったように槙野はその場を後にした。

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