今度こそ絶対逃げ切ってやる〜今世は婚約破棄されなくても逃げますけどね〜

井藤 美樹

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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります

利害が一致しますよね



 学園長の指示が飛ぶのを見ながら、私は大人しく座っている。勝手に出て行くわけにもいかないしね。もし勝手に出て行けば、私の死亡フラグが強固されるかもしれないしね。出来れば、それは避けたいわ。

 それにしても、困ったちゃんが旅支度をしているだけで、ここまで警戒される程、ポーター公爵家は自分が想像している以上に黒いんだなぁと、改めて思った。当事者なのにね。どこか他人事のような感覚に近いかな。昔からそういうところがある。

 とはいえ、試験前なのに学園を休んで旅支度をしてるってのが、あまりにも不自然なんだけどね。だってこの学園、超実力主義で有名だよ。となれば、試験の結果が悪かったらどうなるか分かるよね。余程、自信があるなら話は別だけど。

 取り敢えずやるべきことがないので、退屈しのぎに考えてみることにした。

 まず、この時点で確認すべき点は四つね。

 本当に別荘に行くつもりなのか。

 それとも、別の場所に向かうつもりなのか。

 旅支度をしているから、何処にも行かない選択はまず考えにくいので除外。

 そして、この時期に何故行くのか。

 その目的は?

 そこまで整理して、ふと思う。

 目的ね……それは、

「…………案外、単純かもしれない」

「マリエール?」

 名前を呼ばれて顔を上げると、殿下が心配そうに私を見ていた。

「どうかしました?」

 反対に尋ね返してしまう。だって、私普通だよ。

「案外、単純かもしれないって、どういう意味かな?」

 学園長に訊かれた。表面上は、とてもにこやかなんだけど、纏ってる空気が刃物のようで目茶苦茶怖いんですけど。心臓が縮むわ。顔もひきつるよ。

 その時点で、またやっちゃったことに気付いた。

 マジか……考え込むと、つい口から出ちゃうんだよね。意図せすにね。直さなきゃいけないって分かってはいるんだけど、なかなか直らなくて。どうやったら直るんだろ。内面さらけ出すみたいで恥ずかしいよ。誰もいなかったら、絶対頭抱えてた。

「大したことではないですよ。ただ……目的が単純かもしれないって思っただけです」

 緊張しながらも平静を装い答える。

「目的が単純?」

 学園長は突っ込んで訊いてくる。

「ポーター様の目的は、殿下と休学中のオルガ義兄です。この前、そう叫んでいましたから、それは間違いないでしょう。

 そして、ポーター公爵の狙いは権力を持つこと。

 王家に食い込み、やがては自分が王の代わりになりたい。それが、ポーター公爵の野望でしょう。

 その足掛かりとして、殿下の妃の座を射止める必要があります。殿下ならどちらでもいい。病弱な殿下でも。しかし現実問題、それも難しい。陛下や王妃様に阻まれて近付けませんから。

 となると……自然と目的邪魔者が絞られますよね。

 ポーター様と公爵様、利害が見事に完全に一致してると思いませんか?」

「……つまり、ポーター公爵家の狙いは君だということかい」

 学園長が結論付ける。

「まぁ、自然とそうなりますよね。私がいなくなれば、以前筆頭だったポーター様がなる可能性は高いですね。今はかなり残念な方ですけど。教育をやり直せばどうにかなるかもしれません。今、十二歳ですし、ギリギリ間に合う年でしょう」

 残念な方って、かなりオブラートに包んだ言葉よね。さすがに困ったちゃんとは言えないわ。



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