言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

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神罰が一回だけとは限らない

01 お父様に呼ばれました



 ベルケイド王国に戻って来て五日後、私はお父様に執務室に来るよう呼ばれた。

「生きる屍の件でしょうか?」

 休憩を取り止め、立ち上がった私にリアス様が訊いてくる。

「きちんと報告したはずですが……とりあえず、呼ばれたのなら、行くしかありませんわね」

 渋々のように見えるけど、実はそうじゃない。マジで痛いのよ。少し体を動かしたら、ピシッと痛みが走る。マジ、筋肉痛。リアス様、遅れを取り戻そうと詰め込んだから。

「わかりました。行ってらっしゃいませ」

 リアス様に見送られ、私は自室を出た。

「全く……そこまで、あの女に気を使わなくてもいいだろ」

 そう文句を言いながら、イシリス様は私を抱き上げる。そのまま廊下を進む。

「私のために一生懸命なリアス様を、悲しませたくはありませんわ」

 この前、筋肉痛で動けなくなった時、イシリス様に運ばれた私を見て、リアス様、自分を責めてたからね。あまり表情が変わらないリアス様だけど、一緒にいたらなんとなくだけど、わかるようになってきたの。それが正解かはわかんないけど。

「本当に、ミネリアは優しいな」

「だから、そう思うのはイシリス様だけですよ」

 私はイシリス様の首に手を回すと、耳元で囁いた。

「コラッ!! 煽るな!!」

 怒られちゃった。でも、本当は怒ってないでしょ。尻尾と耳は嘘吐けないものね。尻尾、左右に勢いよく振れてるもの。

「煽ってませんよ」

 だから、クスクスと笑いながら答える。

「チッ!! 結婚したら覚えてろよ」

「はい、イシリス様」

 微笑んでる私に、イシリス様は小さな声でボヤいた。「本当にわかってるのか」ってね。

 ちゃんとわかってる。私もその時を楽しみにしてるんだから。だって、イシリス様を独り占めにできるんだよ。モテ過ぎる婚約者を持つと色々大変なんだからね。聖獣様の番でもね。

 そんなことを考えてると、イシリス様の首が真っ赤になった。尻尾の振りもさらに激しくなってる。正直だよね。

 でもね、それが嬉しくて、私も顔が赤くなってるのは内緒。

 イシリス様と一緒に執務室に入室すると、遠征から戻って来ていたお兄様がいた。

「休暇中のラリーお兄様も呼ばれましたの?」

 巷では強面と言われてるけど、家族に向ける笑みはとっても優しいの。騎士団にも信頼されてて、とっても強いのよ。

「ああ。ミネリアも元気そうでよかった。あまり、無茶をするなよ」

「わかってますわ」

 昔はよく頭を撫でてくれたけど、イシリス様の番になってからは、あまり撫でてくれなくなった。イシリス様が嫌がるから。しょうがないけど、ちょっと寂しい。

「お転婆な妹で、聖獣様も大変でしょう。でも、幸せそうでよかった」

「安心しろ、ラリアス。ミネリアの幸せには、お前たちも必要だ。特別に触れることを許そう」

「ありがとうございます、聖獣様」

 ラリーお兄様が頭を垂れる。そして、私の頭を撫でてくれた。

 ありがとうございます、イシリス様。大好き。

「……それで、なぜ、俺たちを呼び出したんだ?」

 照れてるのか、いつも以上に無愛想な顔でイシリス様が尋ねる。

「実は、皆がいない時にこれが届いた」

 そう言うと、険しい顔をしたお父様は机の上に書簡を置いた。

 書簡には、よく知っている王印が押されてあった。

 読まなくても、何が書いてるかわかるわ!!

「はぁ!? なに考えてるの!? よく、送ってこれたわね」

「まぁ、あいつらに恥の概念はないんだろ。それで、陛下、どうしますか?」

 口が悪くなる私に続いて、ラリーお兄様が答える。

「決まってるだろ。無視だ無視。でもな、あまりにも面白いことを言ってきたから、お前たちを呼んだんだ」

 そう笑いながら答えたお父様の顔は、家族以外には見せれないほど悪役の顔をしていた。

 へぇ~なんて言ってきたのかな? とっても興味があるわ。



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