言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

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神罰が一回だけとは限らない

02 屑はどこまでいっても屑だわ



「まぁ、読んでみろ」

 ラスボス級の悪顔で、お父様は王国から来た書簡を私たちに手渡す。

「……たぶん書かれてるのは、救済依頼ですよね。色々言い訳はしてそうな気がするけど」

 ポツリと私は呟く。

「まぁ、その言い訳が愉快なんだろ」

 ラリーお兄様が答える。

 そんなことを言いながら、ラリーお兄様は書簡をひろげた。

 ………………はぁ!?

 …………なにこれ?

 ……気は確か?

「これ、破ってもいいよね」

「いや、ここまでおかしいと、かえって冷凍保存して飾っときたいな」

 ハッハとラリーお兄様は笑う。だが、その目は全く笑ってはいない。室内の温度が確実に五度は低くなったわ。でも、左半分は温かい。イシリス様の怒気のおかげで。

「潰す。今すぐ潰す。徹底的に潰す」

 ブツブツと呟くイシリス様。私はその腕を掴み止めた。

「イシリス様!! それ、悪役の台詞ですからね!! それに、感情にかられて簡単に潰したら面白くないじゃないですか!!」

 そんな楽な終わり方、させてたまるものか!!

「そうだな、簡単に潰れたら面白くないよな」

 お父様がのんびりとした口調で応戦してくれた。負けず劣らず、怒気を撒き散らしてるけど。

「まさか、我がベルケイド王国を、戦犯及びダラキューロ元公爵とリアス嬢の誘拐犯として、損害賠償を請求してくるとは。ハッハ、おかしくて腹がよじれそうだ」

 そう言ってるけど、全然笑ってないよね、ラリーお兄様。まぁ要約すればそうだけど……ここはキチンと訂正しないと。

「違いますよ、ラリーお兄様。正確に言えば、聖獣様の力を我が物とし、王国を混乱に導いた責任として、今すぐ自分たちを保護し、住むべきところと地位、賠償金を払え。そして、我が民を婚約者を誘拐したことによる慰謝料を追加で払え、と言ってきているのです。のまなければ、これと同じ書簡を周辺諸国に送ると脅している……つもりですわ。ほんと、屑はどこまでいっても屑ですね」

 頭がお花畑だと思ってたけど、蛆わいてます?

「奴らの思考回路は全く理解できんが、これ、放置でいいだろ」

 吐き捨てる私に、お父様が告げた。

「放置!? 甘過ぎますわ!! 陛下!! そもそも、自分からあんな公の場で婚約破棄をしといて、リアス様を自分の婚約者って。自分勝手にもほどがある!! 下半身節操なしの屑。脳みそが下半身に付いてるのね!! マジ、潰してやろうか、自慢の下半身」

「……ミネリア、淑女が下半身を連呼するな。気持ちはわかるが」

 お父様はニヤニヤ笑っているのに、ラリーお兄様が窘めてくる。

「ラリーお兄様は知らないのです!! 王国の屑たちは皆下半身と股がゆるい奴らばかりなんだから!!」

 私はラリーお兄様に向き直り言い放った。

「股って……」

「胸元と背中が大きく開いたドレスで、私のイシリス様に迫ったのよ!! 娼婦か!!」

 あ~思い出しても腹が立つ!! 

「それ……」

「なんですか!? ラリーお兄様」

 ジロリとラリーお兄様を睨み付ける。

「いや、なんでもない。で、ただ放置するのは面白くありませんよね、陛下」

「そうだな。だから、これを復書して周辺諸国に送ろうと思う。最速で」

 相変わらず、ラスボス感丸出しでお父様は言った。

「ああ、それがいいですね」

 ラリーお兄様が賛同する。もちろん、私もそれには賛成。だけど、納得できない。

「安心しろ、ミネリア。下半身を使えなくしてやろう。腐らすのが一番か……さぞかし痛いだろうな。うん、それがいいな。アイツらの子種など害悪しかないだろ。もちろん、女の方もな」

 私を抱き寄せ、イシリス様はとびきりの笑顔で言った。

 ラリーお兄様とお父様の顔が引きつってるのに気付かず、私は「良い案ですわ」と答えたの。だって、そうでしょ。


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