言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

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成り立てほやほや王女殿下の初外交

17 せいぜい今の時間を楽しみなさい



 地図上から一つの国が消えても、特に何も変わらない今日このごろ。

 至って、ベルケイド王国は平和です。

 魔物の繁殖期はまだまだ先だしね。天候も安定してるし。

 なので、今日もイシリス様は本来の姿で日向ぼっこ中。私は薬草園の手入れをしてから、イシリス様の隣に腰を下ろす。ちゃんと、手と顔を洗ってから。

 毛がキラキラと光ってて、背中に顔を埋めると、日向の良い匂いがして最高なの。本当は、お腹の毛が一番フワフワしてるから、お腹に顔を埋めたいけど……それをすると、またイシリス様にお仕置きされちゃう。今度は最後までされそうだから、背中で我慢。一応、結婚するまでは清き体のままじゃないとね。お父様もお兄様も泣くわ。

 でもその前に、勉強しないとね。色々と。女性だけで。

 そうそう、あれからエンドキサン王国は静かよ。王太子殿下が突撃してから、こっちに理不尽なことを言ってこないしね。言ってきても、完無視するけど。当たり前じゃない。

 暗部たちの報告では、第一王女たちは相変わらず好き勝手しているみたいよ。お茶会も豪遊も派手にやってるって。一応、領地に引っ込んでいた取り巻きたちも、近いうちに王都に戻るようだと書いてあったわ。当然、リアスに手を上げた奴らもね。

 マジで締めたろか。

 それとも、魔物の巣に放り込んでやろうか。ナイフで軽く傷を付けてから。

 奴ら、とことん、我が王国を舐めてるよね~。ほんと、腹が立つわ。私に直接危害を加えなければ、イシリス様が何もしないとたかをくくっているのが、ありありと見えるから余計にね。

 でも、それが許されるのは後少し。

 奴らは全く気付いていない。

 水面下で、王太子殿下と先代国王が動いていることに。

 大国になり過ぎて、平和が長過ぎたせいか、危険を察知する能力が完全に退化してるからね。普通、王族はその手の能力が秀でてるはずなんだけど。ていうか、秀でてないといけないでしょ。そういえば、滅んだあの王国の屑たちもなかったわね。馬鹿と屑の共通点発見。

 そもそも、なんで先代国王と王太子殿下が動かないと思っているのか、私には全くわかんないけどね。

 あの王太子殿下、なかなかの切れ者みたいだし、それに常識人。危機を察知する能力も高そう。彼の後ろ盾である先代国王は、まだまだしっかりしているし、影響力も劣ってはいない。なら当然、先代国王が腰を上げれば、彼に忠誠を誓う者も腰を上げるよね。

 となれば、馬鹿たちの行く末は簡単に想像できる。

 せいぜい今の時間を楽しみなさい。
 
 もしベルケイド王国に逃げてきたら、丁寧にお相手してあげるわ。家族全員でね。

 
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