反転の書〜異界の扉が開いた現実世界を生きるという事

Fragment Weaver

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過ぎ去った日々は6千万

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 これまでのこの五年間を真面目に計算してみると少なく見積もっても6千万円相当の損失額がある事を知った。
そうは言っても今の自分は社会的には死に体、つまり職を失い引きこもりがちで人脈はゼロに等しい。にもかかわらず、相手方は私の能力を酷使し続けた結果として商業的成功を収めつつある。
一方こちらはその6千万以上もの積立金が支払われない状態が続いたままこれから先も真面目に働かなければならない状態である。その事実は精神的にかなりクるものがあったが、これまでは努めて考えないようにしてきた。
考えたところで一介の平民に出来る事は限られている。相手は反則級の技術と権限を行使する監視集団だ。この夏場に壁紙を金属コーティングしたものに変え、ドアや窓に金属フィルターを貼り付け徹底的に目張りをしても彼らの追跡と監視を防げるかどうかはわからない。徒労感に襲われ考えるのが億劫になってくる。しかし近場に潜伏中と思われる追跡者達の忍び笑いを想像すると何もせずに終わるのも癪であった。
彼らは言った。「勝ち目のない戦をするのは愚か者だ。敗者は平伏し恭順せよ」と。だが恭順したところで何が得られるのだろう。そして何が喪われるのだろう。それすら彼らは提示せずにひたすら俺の時間を奪ってきた。彼らの勝利宣言は俺が白旗を揚げるにはあまりにもお粗末だった。
彼らはこの国の主要都市に拠点を持ち、各種報道機関や商工会に影響力を与えられる程度の権力を有している。追跡集団の構成員の数は末端まで数に入れればおそらく万単位になるだろう。対してこちらは孤立無援の失職者だ。結果がどうなるかは傍から見れば明らかだった。だがその事と、彼らの活動を許せるかどうかは全く別次元の話だ。やるべき事は何も変わってはいない。数が限りなく多かろうが一人一人は精々が木っ端役人だろう。相手は所詮人間だ。いつか目にもの見せてくれる。そう決意した途端、急に強烈な睡魔に襲われ意識が途絶えた。

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