稀血の令嬢は普通に生きたい 〜王子からの溺愛と執着は日常ですか?〜

ひまわり

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第2章

22.魔術訓練②

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穿うがて。」
「砕け。」

光魔法による光の矢、火魔法による爆発炎が魔獣に当たり、魔獣が倒れる。


この世界において、魔法は普段の生活に活用するくらいに留まり、戦士や騎士でもない限りは強い力で使う機会は殆どない。

魔獣を倒すために魔力を使うのは、ミラにとっては初めての経験であり、新鮮だった。

(日頃の鬱憤を晴らすのに良いかも…)

そんなことを思いながら、配られた地図の魔獣の出やすいエリアに足を進め、次々と倒していく。

当初の計画通りにミラとジーク・ハルトの2人がほぼ魔獣を倒し、残りのメンバーも不自然ではない程度に魔力を使ってもらっていた。



『ー午前の部、終了です。生徒は入り口まで戻り、午前の成績を報告してください。』

アナウンスが一斉にかかる。

入り口に戻ると、集まっている生徒達の姿が見えた。中には怪我をしている人も見え、少し身が引き締まる。


午前の部が終わり、正確な数は覚えていないが確実に課題は終えている。
魔力の強さもあるだろうが、慌てないでその場を立ち回れることによる攻撃の的確さ、チームメイトにより足場の良い道を通れたおかげで体力も比較的温存できたことも大きい。

「ミラ嬢、ありがとう。ここまで順調だとは思わなかったよ。」

「こちらこそです。ジーク様の指揮が的確でした。」

「割と良いチーム力みたいだ。とりあえず僕らは午前で18、課題はクリアだ。」

「良かったです。午後はリネット様となるべく安全なエリアに居ようかなと思います。」

山道で体力は消耗しているだろうし、いくら足場の良い道を選んでも今日の服装はあまりにも似つかない。

「ありがとう。僕は個人スコアを上げるために午後も狩りたいんだけど、別れて大丈夫だろうか。」

「大丈夫ですよ。」

元よりそのつもりだった。ただ、チーム戦であるため単独行動は良くない。後から他のメンバーにも相談して二手に分かれることが良いだろう。


先生に成績を報告した後、お昼休みに入る。

「ミラ、お疲れ様~!」

「ユノ、お疲れ様。午前はどうだった?」

「それがさぁ、チームの人達が仲悪くて…因縁があるみたいな…」

「それはどうしようもないから不運だね…」

「でしょ…。でも私以外魔力ランク3だからチーム全体としては強いの。」

「確かに、課題はクリアした?」

「まだだよー!午後でなんとかなるんじゃないかな。ミラは?」

ユノに午前の状況を話し、自分のチーム編成は運が良く、順調であることを実感した。午後はリネット様と一緒にいるというので心配をされたが、午前もちゃんと取り組んでいたし、案外仲良く慣れそうな気もしていた。

表向き気が強そうに見えるだけだと思う…たぶん。

「なんか別の意味で心配。ミラのその耳も絶対気付いてるでしょ。逆に何もしないの怖い。」

確かに、耳のピアスは気付かれているんだろうか。それだと快く思っていないはずたが、そんな素振りも無かった。

「気にしていないんじゃないかな。」

「それは無いでしょ。でも分別はあるのかもね。」

これを誰かが聞いていたら自分達の立場が危うくなりそうだ、と思い話を切り上げる。

正直、ピアスを貰ってから、鏡に映る自分を見る度に嬉しさを感じていた。
周りにどう思われようと、今の関係性に名前が付けられなくても、2人が同じピアスをつけている状態自体がこの関係性を表しているように思う。


「午後も、頑張ろうね。」

「そうだね、頑張ろう!」


休憩時間の終わりを告げるアナウンスがかかる。
2人はそれぞれチームの元へと別れた。


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