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第一章
第12話 大暴れ
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『ハロー、ミーティ・アイが現状を説明するね。ミスターテラの妹のルナちゃんとお母様を、手早く救助する予定でした。作戦は隠密性高めで行きも帰りも静かめに……。しかし! 問題発生。北部支援者保護区域は非常にブラックな労働環境だったのです! 脱出したルナちゃんを旗印に、ほぼ囚人のような生活をしていた皆さんは、メイデイ、つまり待遇改善と自由を訴え暴動を起こしました。一方その頃、お母様と遭遇したミスターテラ。しかしここでも問題発生! お母様は国家サルドニクスによって洗脳されていたのです!』
「はい。もういいよミーティ・アイ。洗脳だろ? となれば背後に宇宙連盟政府が絡んでるなんて丸分かりさね」
ヘリオスはミーティ・アイの解説を聞きながら、通信から聞こえる狂乱的状況をうかがっていた。
「……ったく、したいことをしなさいとは言ったけど、初っぱな政府に反乱とはねぇ……」
通信機の向こうでは、銃声、悲鳴、崩落音。
メテオラの甲高い笑い声、のちにスバルの怒号。
アクション映画もびっくりの音声が一斉に飛び込んできていっそ愉快なほどであった。
ヘリオスは装着型通信機を一瞬外して眉間を揉んで、あーあ! と大きくため息をついた。
「こんなことになるなら、アタシもいけばよかった!」
ヘリオスは真っ赤な唇を楽しそうに歪めて、けらけらと大きな声で笑った。
△▼△▼△▼△▼△
一方、北部支援者保護区域では、テラたちの快進撃が続いていた。
ミーティアたちは今いる生活棟から、軍の指令部がある労働棟へ移動するのだ。
ミーティ・アイ曰く、最上階の四階層に特殊な電波を感知したらしい。
それがもしかしたら宇宙連盟政府の作った洗脳装置かもしれないとのことだった。
それをクラッキングすれば、母は元に戻るかもしれない、とも。
兵士たちは内地にいるためかテラと比べれば練度はさほどでもない。
冷静に撃退すればたいしたものではなかった。
テラは敵から奪った自動小銃を打ち続けている。
狙撃銃より小回りのきく武器がほしかったからちょうどよかった。
と思いながら冷静に敵を撃っていく。
スバルお手製の貫通型麻酔銃で兵士を鈍らせていく。
ここで人を殺しては、政府とあまり交渉が出来ないからだそうだ。
それ以外にも、スバルの持ち込んだ秘密兵器たちが役に立った。
そもそも光学迷彩装置は、まだ彼らが対応できる文明機器ではなかった。
次々に簡単なトラップにひっかかっては前線が崩れていく。
それ以外にも、弾丸を止めるくせに少しも傷つかない紙のような盾や、催涙弾を吸い込んで効果を消してしまう風船など、常識外のアイテムで、テラの知りうる作戦のほとんどを無効化されてしまっていた。
さすがにかわいそうな気もしてきたが、ルナも母もひどいめにあわされたのだ。
再度息を吸い込んでしたいことをしようと覚悟を決める。
「ほら、スバル! 次の風船寄越して!」
「人使いが荒いんだからもう!」
メテオラとスバルは催涙弾や銃弾の雨を秘密兵器などで回避して、相手に催涙弾をお返ししている。
ゴーグルとガスマスクを着けたスバルに対して、メテオラはたいした装備もなく前線に頭を出している。
正直テラはヒヤヒヤしていたが、スバルに肩を叩かれると彼女を指差し首を振った。
「メテオラはもう止まらない。こうなったら腹括った方がいいぞ」
実際その言葉通り、メテオラに負傷はなく、動けなくなった敵陣の山しか残っていなかった。
サルドニクス兵の拳銃を解体しながらメテオラは楽しそうに宣言する。
「ふふっこういうときはこういうんだよね。クリア!」
「アホ言ってないで縛るの手伝えよなー」
スバルは、風船だの紙の盾だのを出した肩かけ鞄から、やたらと長い紐をひっぱりだす。
三人によってサルドニクス兵はそれぞれ後ろ手に縛られていく。
「それにしても、兵士も多くなってきたね」
「もうすぐ労働棟四階層だ。万が一に備えて立てこもれるように出来ているはずだ。どうにかしないと」
縛りあげながらテラはどうしたものか思案する。
軍にいた頃は言われた敵だけ殺せばよかったから、このような状況はなかなかうまく頭が働かない。
もう狙撃のことだけ考えるわけにはいかないのだ。
と気づいて、胸の奥が少しざわざわした。
少しくすぐったかったが、嫌なざわつきではなかった。
△▼△▼△▼△▼△
一方、北部支援者保護区域を管理している軍は混乱状態にあった。
労働者の部屋は、いずれも厳重にロックしていたはずだが、いつの間にかすべて開け放たれ、そこに入っていた労働者は、生活棟の上層を乗っ取って待遇向上を訴えている。
労働者の解放と軍部の混乱をもたらした侵入者の存在は、軍の誰一人として気づかず、目と鼻の先まで迫っていた。
しかしここで打って出るわけにいかない。
ここはとある兵器を使って実験している最中だったのだ。
そう。――ひとを洗脳し都合のいい手駒として扱う装置だ。
どんな思想でもどんな肉体でも、その思考を一定の方向に向けてしまう洗脳装置を使っていたのだ。
ここでの試験運用が終わったら、敵兵士に使い裏切らせる手筈だった。
しかしそれも侵入者のせいで危うくなっている。
「いいか、絶対にこの扉を開けるな。この装置は最上級機密だ。壊されでもしたら我々の首が飛ぶどころじゃないぞ」
管理者はがなるがどうしたものでもない。
装置へ向かうための扉は厳重な鋼鉄の扉だったし、四階層は万が一のため籠城に適した建築になっている。
三部屋が電子的な鍵で仕切られ、傾斜をつけて並んだ構造であるため、毒ガスを流されても問題ない。
出向いた警備も、そこまでいい兵士ではないが、時間稼ぎにはなる。
上官は相変わらず、ここの重要性を訴えている。
確かにこちらも安全な内地に配属されるよう、方々手を尽くしたのだ。
軍にも侵入者にも殺されてやる道理はない。
「サルドニクスに栄光あれ!」
そう上官がそう宣言した途端、目の前の扉がこちらに向かって倒れた。
「宇宙海賊ミーティアだ、床に伏せろ!」
長い金髪の少女が、鉄製の扉を蹴破って侵入してきた。
「はい。もういいよミーティ・アイ。洗脳だろ? となれば背後に宇宙連盟政府が絡んでるなんて丸分かりさね」
ヘリオスはミーティ・アイの解説を聞きながら、通信から聞こえる狂乱的状況をうかがっていた。
「……ったく、したいことをしなさいとは言ったけど、初っぱな政府に反乱とはねぇ……」
通信機の向こうでは、銃声、悲鳴、崩落音。
メテオラの甲高い笑い声、のちにスバルの怒号。
アクション映画もびっくりの音声が一斉に飛び込んできていっそ愉快なほどであった。
ヘリオスは装着型通信機を一瞬外して眉間を揉んで、あーあ! と大きくため息をついた。
「こんなことになるなら、アタシもいけばよかった!」
ヘリオスは真っ赤な唇を楽しそうに歪めて、けらけらと大きな声で笑った。
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一方、北部支援者保護区域では、テラたちの快進撃が続いていた。
ミーティアたちは今いる生活棟から、軍の指令部がある労働棟へ移動するのだ。
ミーティ・アイ曰く、最上階の四階層に特殊な電波を感知したらしい。
それがもしかしたら宇宙連盟政府の作った洗脳装置かもしれないとのことだった。
それをクラッキングすれば、母は元に戻るかもしれない、とも。
兵士たちは内地にいるためかテラと比べれば練度はさほどでもない。
冷静に撃退すればたいしたものではなかった。
テラは敵から奪った自動小銃を打ち続けている。
狙撃銃より小回りのきく武器がほしかったからちょうどよかった。
と思いながら冷静に敵を撃っていく。
スバルお手製の貫通型麻酔銃で兵士を鈍らせていく。
ここで人を殺しては、政府とあまり交渉が出来ないからだそうだ。
それ以外にも、スバルの持ち込んだ秘密兵器たちが役に立った。
そもそも光学迷彩装置は、まだ彼らが対応できる文明機器ではなかった。
次々に簡単なトラップにひっかかっては前線が崩れていく。
それ以外にも、弾丸を止めるくせに少しも傷つかない紙のような盾や、催涙弾を吸い込んで効果を消してしまう風船など、常識外のアイテムで、テラの知りうる作戦のほとんどを無効化されてしまっていた。
さすがにかわいそうな気もしてきたが、ルナも母もひどいめにあわされたのだ。
再度息を吸い込んでしたいことをしようと覚悟を決める。
「ほら、スバル! 次の風船寄越して!」
「人使いが荒いんだからもう!」
メテオラとスバルは催涙弾や銃弾の雨を秘密兵器などで回避して、相手に催涙弾をお返ししている。
ゴーグルとガスマスクを着けたスバルに対して、メテオラはたいした装備もなく前線に頭を出している。
正直テラはヒヤヒヤしていたが、スバルに肩を叩かれると彼女を指差し首を振った。
「メテオラはもう止まらない。こうなったら腹括った方がいいぞ」
実際その言葉通り、メテオラに負傷はなく、動けなくなった敵陣の山しか残っていなかった。
サルドニクス兵の拳銃を解体しながらメテオラは楽しそうに宣言する。
「ふふっこういうときはこういうんだよね。クリア!」
「アホ言ってないで縛るの手伝えよなー」
スバルは、風船だの紙の盾だのを出した肩かけ鞄から、やたらと長い紐をひっぱりだす。
三人によってサルドニクス兵はそれぞれ後ろ手に縛られていく。
「それにしても、兵士も多くなってきたね」
「もうすぐ労働棟四階層だ。万が一に備えて立てこもれるように出来ているはずだ。どうにかしないと」
縛りあげながらテラはどうしたものか思案する。
軍にいた頃は言われた敵だけ殺せばよかったから、このような状況はなかなかうまく頭が働かない。
もう狙撃のことだけ考えるわけにはいかないのだ。
と気づいて、胸の奥が少しざわざわした。
少しくすぐったかったが、嫌なざわつきではなかった。
△▼△▼△▼△▼△
一方、北部支援者保護区域を管理している軍は混乱状態にあった。
労働者の部屋は、いずれも厳重にロックしていたはずだが、いつの間にかすべて開け放たれ、そこに入っていた労働者は、生活棟の上層を乗っ取って待遇向上を訴えている。
労働者の解放と軍部の混乱をもたらした侵入者の存在は、軍の誰一人として気づかず、目と鼻の先まで迫っていた。
しかしここで打って出るわけにいかない。
ここはとある兵器を使って実験している最中だったのだ。
そう。――ひとを洗脳し都合のいい手駒として扱う装置だ。
どんな思想でもどんな肉体でも、その思考を一定の方向に向けてしまう洗脳装置を使っていたのだ。
ここでの試験運用が終わったら、敵兵士に使い裏切らせる手筈だった。
しかしそれも侵入者のせいで危うくなっている。
「いいか、絶対にこの扉を開けるな。この装置は最上級機密だ。壊されでもしたら我々の首が飛ぶどころじゃないぞ」
管理者はがなるがどうしたものでもない。
装置へ向かうための扉は厳重な鋼鉄の扉だったし、四階層は万が一のため籠城に適した建築になっている。
三部屋が電子的な鍵で仕切られ、傾斜をつけて並んだ構造であるため、毒ガスを流されても問題ない。
出向いた警備も、そこまでいい兵士ではないが、時間稼ぎにはなる。
上官は相変わらず、ここの重要性を訴えている。
確かにこちらも安全な内地に配属されるよう、方々手を尽くしたのだ。
軍にも侵入者にも殺されてやる道理はない。
「サルドニクスに栄光あれ!」
そう上官がそう宣言した途端、目の前の扉がこちらに向かって倒れた。
「宇宙海賊ミーティアだ、床に伏せろ!」
長い金髪の少女が、鉄製の扉を蹴破って侵入してきた。
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