異世界で大切なモノを見つけました【完結】

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白の国から各国へ、急遽賢者を召喚するので集まって欲しいと伝令が来たのは1週間前の事だった

青の国では元々第2王子の参加が決まっていた為問題は無かったが、赤の国と緑の国ではまだ選定中だった為大いに慌てた

候補に上がっていた者は重要な仕事に就いており簡単に抜けれるものでは無いからだ

青の国と赤の国、緑の国で協議した結果、黒の王が復活するとされる期限まで後1年ある
慌てて賢者を召喚する必要はないとの結論に至り、断った

しかし、白の王は要望に応じなければ、神殿に保管している異世界人に関する資料を全て抹消すると各国を脅した


神が降臨する神殿は白の国の神殿のみで、異世界人を召喚できる力を授かったのも勇者が築いた白の国であった

その為白の国の神殿に異世界人の資料は保管されていた


もし資料がなくなれば、突然召喚された異世界人の憂いを晴らし、賢者として世界を救う手伝いを拒まれる可能性が出てくる


3カ国は仕方なく白の国へ連れていける者を転移魔法で同行させた

しかし、白の国に着くと待ち受けていたのは国王と第2王子、神官長のみであった


止める暇もなく儀式を始められ、直ぐに異世界人は召喚された

儀式はとても簡単で、必要なメンバーが居れば数秒で召喚できてしまうのだ


異世界人が目を覚ましていない隙に、各国の王達は白の国の王へ詰め寄った


各国を脅し無理矢理来させた揚げ句、移転魔法で到着して直ぐに儀式を始めるとは何を考えているのかと


王妃や宰相は今回の事に同意しているのかと激怒した


白の国の王は「白の国の王は我である。王妃や宰相の
同意は必要ない!」と言い返した


神官長が「お静かに!」と声を荒らげ、異世界人が目覚めた事を皆が理解した


各国の王はまず挨拶をする必要があることを知っていた

いくら白の国の王を問い詰めたくても、今は異世界人が優先であるというのが共通の認識で、神官長が異世界人と話し終えるのを静かに待っていた

だが、ここでも3カ国の王と同行したメンバーは驚く事となる

突如、神官長が賢者を神殿の外へと連れ出したのだ


追いかけようとした王達は白の国の王と王子に邪魔をされた


どんな理由であれ、他国の神殿で騒ぎを起こせば大きな問題となる事から、王達は手を出すことが出来なかった


その後、近衛騎士から事情を聞いた宰相が飛んできて、先ずは各国の王達を王妃の元へ案内した


突然各国の王が神殿に現れたとしか事情を知らない王妃と宰相は直ぐに王達と面談し詳しい話を聞く必要があったのだ


事情を聞いた王妃は怒りを顕にし、王妃だけに忠実な密偵に王が現在何をしているかを調べさせた


すると異世界人を部屋へ閉じ込め、王と第2王子は第2王子の婚約者を呼び出し、異世界人の世話を押し付けていたと報告が上がった


王妃と宰相は直ぐにメラトス公爵家の当主を移転魔法で呼び出した

当主に全てを話し、王妃は王と第2王子の王位剥奪へ動くことを宣言した


そして今回、もし黒の王が復活しても倒す事は不可能だとの見解が各国の総意であった


例え異世界人が賢者として遺憾なく力を発揮してくれようとも、赤の国の魔術師も緑の国の治癒師も、黒の王を倒す力量を持ち合わせていないのだ


本人達もそれを理解しているが、異世界人の資料がどれ程大切な物か理解しているので今回、自国の王と共に白の国へ来たのだ


こうなったのは全て白の国の王と第2王子のせいではあるが、異世界人には全く関係のない事である

白の国の王が異世界人に何をしでかすかわからない為、早急に異世界人を保護する必要があった


メラトス公爵家当主は異世界人を逃がす役割は息子のカインが適任と判断し、そのサポートを自身の弟である宰相のアレンを指名した

受け入れ先は、白の国の第1王子の居る青の国にしたのにも理由があった

青の国から王と共に来たのは、黒の王討伐メンバーに決まっていた第2王子だったからだ

青の国の第2王子は白の国の第1王子と親友でもあり、本来なら一緒に黒の王の討伐へ行くはずだったのだ

黒の王が復活すればどれ程の被害が生まれるかわからないが、異世界人を逃がすには勇者と騎士が揃っている場所が一番安全だと判断された


白の国では、第1王子派の貴族と国民を守るべく王都にいる貴族は直ぐに領地へ戻り国民を受け入れる準備を始めるよう通達を出すことにした

何故国民を王都から避難させるかと言うと、黒の王は今まで全て白の国の王都で復活しているからだ


今回も復活するならば白の国の王都だろうと予測される


他の3カ国も国民を守るべく、3カ国で協力し騎士、魔術師、治癒師を均等に各国へ配置するべく、自国に残すもの、他国へ向かわせる者の選別を急ぐこととなった


こうなってしまえば、国や国境など関係なく、皆で黒の王に立ち向かうしかないのだ


会議が終わり、青の国の第2王子だけを残し他国の王達とメラトス公爵当主は移転魔法で戻った


青の国の第2王子は今後の事を考え、宰相の家へ匿われ城に居る時は王妃の側にいることとなった



そしてその日の夜、宰相は異世界人と面会することになった


異世界人、ソウと甥のカインから王と第2王子がしでかした事を聞き、頭を抱えたくなった


ソウに味方認定された宰相は今後王妃達と異世界人を繋ぐ大事なパイプ役となるのであった





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