異世界で大切なモノを見つけました【完結】

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やっと青の国へ帰ってきた

多々問題は起こったが、無事到着できてよかった

同僚や国民に迎え入れられ皆が声をかけてくれる

連れているソウやカインの事が気になっているのだろうが、その事には皆触れてこない

チラチラ見たりもしない



モアが突然カインを抱っこしたせいで、さすがの国民も目を輝かせて見つめ始めた


そりゃそうだよな

ソウも言っていたけど、この2人綺麗すぎて目が離せなくなるんだ

しかも、森を歩いてる時に聞いた話だがカインの前世の姿は今と瓜二つらしく、前世は瞳が黒色なだけなんだとか

ソウがカインに前世で交際を申し込まれる事が多かったのかと聞いたが、人間嫌いだった為恋愛はした事が無いと答えた


その答えにホッと胸をなでおろした

もし何人か交際した等と返答されたら、モアが暴走して国につくまでにカインを襲ってしまうところだった

番は番命な所があるから、前世と分かっていてもヤキモチを妬いてしまう

まだ番って無いモアからしたら今すぐ自分だけの者にして匂いをこれでもかというほど付けたくなるだろう


それが運命の番の習性である







馬で駆けて数時間後、城へ着いた


ソウは馬に乗っている間ずっと私の尻尾を触り続けていた


休憩せずに走り通しだった為、ソウはお尻と腰が痛いようでカインに治療してもらっていた



城の騎士に馬を預けていると父と宰相が出てきた




「ラウ!戻ったか!!」


両手を広げて父が待ち受ける


「只今戻りました、父上。」


軽くハグをする


「父上、紹介します。こちらが召喚されたソウ=モチヅキ、私の運命の番です。手紙で書いたように既に番いました。ソウ、この人が私の父でありこの国の王、ダイアン=ラグ=フェイザーだよ。」


「初めまして賢者様。遠い所よくお越しくださいました。」


頭を下げる国王に、固まるソウの背中をカインが軽く叩く


2人はチラチラと目で会話してからソウが口を開いた


「お顔をお上げください。お出迎えありがとうございます。私はソウ=モチヅキです。
召喚された時、国王様があの場にいらっしゃったと白の国の宰相から聞いております。
私が連れ去られた時もすぐ追い掛けようとしてくださったとも。
重ねてお礼申し上げます。」


ペコっと頭を下げるソウに満足気に頷くカイン


なるほど、この挨拶はカインの手ほどきがあったのか

私に挨拶した時と全く違って驚いた


「いいえ、お助けできず申し訳ございませんでした。さぞかし不安になられたでしょう。」


「不安にはなりましたが、カインが来てくれて私を救ってくれました。」


ソウがカインを振り返る


「父上、こちらは白の国のメトラス公爵家の次男のユーリ=カイン=メトラス。モアの運命の番です。」


「なんと!!それは真か!!」


周囲にいた者もざわつきだす


「ラグ王、迎えに行った先で番だとわかりましたがまだ番っておりません。公表は番ってからお願いしますね。母上には既に報告しております。」



「そうかそうか!!暗い報告ばかりで世界が不安に包まれていたが、こんな喜ばしい報告ができるとは!!

カイン殿もよくお越しくださった。賢者様の護衛、ご苦労であったな。ここでゆっくりとモア王子と番ってくだされ。」


ニコニコ顔の父に、カインは顔を真っ赤にさせて「ぁ…ありがとうございます………」と小さく答えた


上機嫌な父に連れられ応接室へ向かった






侍女が人数分のお茶を用意し部屋を出たのを見届けてから本題に入った


「それで、白の国の現状は?」

私の問に答えたのは宰相だった


「現在、王と第2王子は毎日取り調べを受けております。
王派の貴族も捕まりました。
王の指示に従った者は報酬に金銭を受け取っておりました。王は税金を横流しし、私腹を肥やしていたようです。
そして……第2王子の事ですが…………」


宰相はとても言いにくそうな顔で言葉を詰まらせる


「………王妃の子では無かった事ですか?」


モアがそう口にした


「え?王妃の子じゃない?」


ソウが驚いている


「……はい。女王様から『第2王子は私が産んだ子ではない。王がどこかの者に産ませた子だ』と…。」


宰相がそう答えた


「………なぜ今までその事を口になさらなかった?」


「…白の王がもう1人子供を作ろうと言った時には、女王様は既に運命の番と出会っておりました。
それだけでは無く、当時モア王子に幾度と魔力暴走が起こっておりどうにか出来ないかと国を挙げて模索しておりました。
女王様は白の王にかまっている程暇ではありませんでした。
問題しか起こさない白の王の尻拭いをし、政を行い、母として子を助けようとしておりました。
1年が過ぎた頃、白の王がどこからか赤子を連れてきて『私の子だ。第2王子とする。第1王子が死ぬ時に跡取りが居らぬと国民も不安がる。妃は国民の気持ちを省みず子を作ろうとはしなかった。意見は聞かん。既に国民には周知した』と。
赤子を連れてくる際市井に寄りお披露目してきたと言われたそうです。」



「マジでクソ野郎だな…」


ボソッとソウが呟いた


「なるほど。国民を混乱させない様に黙っていたということか。」


「はい。」



「ですので、第2王子の産みの親を現在捜索しているようですが、見つけるのは至難の業かと。」


「そうだろうな。母親だと名乗り出た所で真実か調べる方法はない。」


深い為息を吐くモアに、またもやソウとカインが目で会話をしている



「申し訳ございません、執務が残っておりまして私はこれで失礼いたします。」


宰相が立ち上がり一礼して部屋を出ていった



それを見送ったあと、頷きあったソウとカインは立ち上がった


「ラグ国王、今からお話する事はまだ他の者には秘密にして頂きたいのですが、お約束していただけますか?」


突然そう切り出したソウに、父上は数度瞬きをしてからゆっくりと頷いた


「レイド、モアさん。カインの事話すから。」


「は!?」

「何で!?」


何故話す必要がある!?
カインの事が知られれば、カインを利用しようとする奴らが出てくる可能性がある

それはカインもわかっていたから今まで黙っていたし、モアとは番えないと拒否したんじゃないのか!?


モアも同じ事を考えたようで「駄目だ!」と反対している


「オルガ聞いて。爽1人では知識があっても詳細まで知らないから実現できないんだ。僕が補助する事で実現可能になる。でも補助するなら僕の正体を話さなければ、どの国も僕に不信感を持ってしまう。
そうなれば出来る事もできなくなる。」


カインの言う事は理解できる


異世界の知識を使う時に、カインが補足すれば皆カインが何者か知りたがるだろう

ただの公爵家の息子が何故異世界の知識を持っているのかと…


「……今はラグ国王だけか?」


モアは人の心を見透かす様な目で2人を見る


2人はそんな目を向けられても毅然とした態度で頷いた


「………分かった。でも条件が2つある。1つは、ユーリが俺の番になってから、ラグ国王以外には正体を明かす事。
もう1つは、『沈黙の口』だ。」


沈黙の口だと!?


「モア!!」

私が睨むと、モアは真剣な目で私を見る

「ラグ国王を信用していない訳ではない。だが、何が起こるか分からない。俺は番が…ユーリが少しでも危険に晒される可能性を潰したい。」


「かまわぬよ」


私とモアのピリピリした空気を切ったのは父上だった



「父上!!」


「モア王子がそこまで言う程の事なのだろう。私はどんな事があろうと秘密は守る。命に替えてもだ。」


父上の有無を言わせないその目に口を閉ざす事しかできなかった


「…沈黙の口って?」


ソウがカインに質問する


「……もし秘密を話したら、その者の命を奪う呪い魔法だ。今回は僕とオルガが番うまでに国王が他の人に話せば国王は死ぬ。」


そう、この魔法は命をかけて秘密を守るという誓いであり呪いだ


「ふーん。じゃあ話が終わったらカインとモアさんはすぐに番えよ。俺達でさえ数日籠もったんだ、俺達より相性の良い番なら1週間以上かかるんじゃねーの?その後すぐ白の国に戻るんだろ?」


何でもない事のように言うソウに、私も父上もモアも唖然とする


「まぁ、そうだね。向こうに戻ったら国の立て直しも必要になるし、色々片付けないとね。」


カインもそのつもりだったようで、頷いている


「だからさ、その魔法を使ってもラグ国王が死ぬ事はないよ。向こうに戻れば話す事になるんだし。レイドがお父さんを心配する気持ちも、モアさんがカインを心配する気持ちもわかるけどさ。
そんな事で喧嘩しちゃ駄目だぞ?」


ニコッと笑うソウに毒気を抜かれ、力の入っていた体から力が抜けた


「ではラグ国王。僕の手に、手を重ねてください。」


カインはそう言って手を差し出す

父上はその手に手を重ねた


淡い光が重なった手から父上の心臓へ伸び、心臓へ吸い込まれて行った


「………無詠唱?」


父上が目を見開きカインを見る


「ラグ国王、僕の前世の名前はオトヤ=アラタ。ソウと同じ異世界の同じ国で育ち23歳で死にました。
僕はこの世界に生まれ変わり、10歳の時に前世の記憶を思い出しました。」


穏やかな顔で説明するカインに、父上は驚きすぎて腰を抜かしその場に座り込んでしまった


「そ……そんな事が……た………大変だ!………では……賢者様と同じように知識があり、魔法が使える……と言う事か……?」


「俺以上ですよ。カインは俺より知識もあるし、魔法の使い方がうまいんです。」


「なんと!!………なるほど………モア王子が沈黙の口を条件に出す訳だ………そんな重大な秘密…………」


父上は顔を青くさせている


「あー……まずは座りましょうか。」


カインに支えられて父上がソファに座る


「で、話は戻りますが親子関係を確かめる方法があるんですよ。」


「俺達の世界では、『遺伝子』って言うものが発見されてたんだ。『遺伝子』っていうのは、その人を構成するもので………なんて説明したらいいんだ?」


ソウがカインに尋ねる


「んーっと、簡単に言うと『遺伝子』っていうのは情報や記憶が書き込まれたものなんです。
例えば親子って顔が似ますよね?
あれば親の『遺伝子のDNA』が子供に複製され受け継がれ、受け継がれた物が表面化する事で起こります。
『DNA』って言って、それを調べることによって親子関係かどうかわかります。」


「そのDNAは親から子に受け継がれるってことか?」


モアが質問する


「うん。DNAは親から半分ずつ受け継ぐから、DNAを調べれば親子関係がわかる。」


「どうやって調べる?」


「異世界では魔法がなかったから、専門の道具を使って調べてたんだけど……」


「大丈夫。」


カインが手をかざすと綿の棒が2本現れた


「まずは実際やってみましょう。ラグ国王とラウはこの綿の棒で頬の内側を擦ってください。」


カインに指示されその通りにする


「僕が前世働いていた所は、親子鑑定を行う所でね。僕は親子鑑定を行う道具の管理を任されてたんだ。
学生時代から少しお仕事させてもらっててね。だからこの道具を細部まで復元させ使う事ができる。
鑑定の仕方も全て勉強したから。」



「それ、普通大学で学ぶやつじゃねぇ?」


「まぁね。科捜研に興味があって化学や物理を独学で勉強してたんだ。そしたら先生がバイト先を紹介してくれてさ。そこにそのまま就職したんだ。」


カインは渡した綿棒で何か作業し、道具を弄りながらソウと話している


また聞き慣れない言葉が沢山出てきて、私と父上とモアは2人の会話を大人しく聞いておくしかない


「カインって頭良いよな。何で大学行かなかったんだ?」


「人嫌いだったから。受験前に、高校卒業したらここで働かないかって誘われてたし。」


「でも科捜研に興味あったんだろ?」


「興味があっただけで、なりたかった訳じゃないからね。」


「知識だけ欲しかった的な?」


「うん。知識を得たら興味なくなるんだ。さ、あとはこの機械だけ時間を進める。」


道具に数分手をかざしていたカインは、ソウに紙を持ってくるように言う


左右の手を紙の上へ乗せると紙が光る



「できたー。」


「今の何?」


「データーを紙に写した。僕がパソコンとプリンターの役割をする事で可能。流石にパソコンやプリンターは創り出せないから。」


「細部まで知ってたらできるんだ?」

「うん、頭の中で組み立てて実体化するだけだから。」

「マジで天才だな。」



2人は笑い合っているが、私達にはその会話さえ何の話をしているのか理解できない………




「はい、じゃあ説明します。これがさっき言ってたDNAを可視化させた物です。
DNAは綿の棒で口の中を擦ってもらったら取れるんですよ。
それをこの道具で分析して、その結果がこれです。
こっちがラウのでこっちがラグ国王の物」


2枚の紙を見せられる


「この部分とこの部分、同じ形なのはわかる?」


「ああ。あと……ここも同じだな」


モアが指を差す所を見ると確かにに同じだ


「そう。これはラウがラグ国王から受け継いだDNA。だからラグ国王がラウの父親である事を証明しているんだ。もし父親じゃなかったら同じものは表れない。」


「なるほどな。異世界には凄い技術があるんだな。」


「…必要だから技術が生まれるんだ。本当ならこんな技術要らないんだよ。
この技術が使われるのは、犯罪が起こった時や親子関係を確認する必要がある時。
犯罪が起こらなければ、恋人や家族を裏切らなければ親子関係なんて調べなくて良いんだ。」


悲しげな顔をするカインをモアが抱きしめる


「カインの言うとおりだよ。俺達の世界は、番って言うのが居ないから誰とでも付き合う事ができるし、結婚も離婚も本人達の自由にできる。
だから無責任な奴も沢山いる。相手を騙して子供を産む女も居れば、浮気して他の女と子供を作る奴も居る。
生涯たった一人を愛しぬく奴なんて滅多に居ないんだ。」


誰かを思い出しているのか、憎しみが宿る目をしたソウ


「…ソウ?」


「………俺の父親、浮気しててさ。母さんからそれを聞かされたのが召喚される前日だったんだ。
母さんは、父さんが他の女を孕ませたって泣いて電話してきた。
もう離婚するって。
次の日また電話がかかってきてさぁ………」


どんどんソウの匂いが悲しみと憎しみの匂いに変わっていく


「兄ちゃんが………同僚を殺したって……職場で同僚を殺して…そのまま逃げたって連絡が来たんだ……
俺はすぐに実家に向かった。
ちょうどその時だよ、この世界に召喚されたのは……」


自嘲するソウを見ていられなくてキツく抱きしめる


「俺………正直…この世界に召喚されて、不安だったけど…安心もした………犯罪者の家族だって………後ろ指差されなくて済むって………父さんと母さんの…争う姿、み…見なくて…済むって……」



腕の中で泣き出したソウを抱き上げソファへ座り直す


「……だからか。不安がってても帰りたそうな素振りをしていなかったのは。」


カインは気づいていたのか…


「うん…元々俺、兄弟の真ん中に生まれたからか、あんまり親が構ってくれなくて……一緒に過ごした記憶も殆ど無いんだ………物心ついた頃には下に弟と妹がいて、面倒見なきゃいけなくて………兄ちゃんや姉ちゃんは婆ちゃんや両親に可愛がってもらってて一緒に遊んだりする事も無かった。
俺達下の子は誰も面倒なんて見てくれなくて……
だから………俺………もう弟達の面倒も見なくて済むんだって………ひどい兄貴だろ………」


「…そんな事ねぇよ。子供は子供なんだ、大人が子供の面倒を見るんだよ。面倒を見きれないなら生むべきじゃないんだ。
お前は何も悪くない。」


カインはそう言うと、モアから離れソウの側に来た


「よく頑張ったな。偉かったぞ。」


ヨシヨシとソウの頭を撫でるカインに、ソウはもっと泣き出した


父上が気を利かせて、部屋をすぐに準備してくれて今日はもう休むようにと言った


食事も部屋へ運んでくれるらしい


モアとカインはそのまま番うだろうから1週間程は部屋から出てこないだろう



泣き疲れて眠ったソウを抱き上げ私達は自室へと戻った






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