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日本でいうと季節は秋

晴天の中、ついにこの日を迎える事となった

オルガの即位式と子供達のお披露目


おめでたい事が2つもあると言う事で、城下町だけでなく少し離れた領地でさえお祭りが開かれている

各国からもお祝いが沢山届き、離宮1つが祝いの品で埋まるという前代未聞の事まで起こっている

オルガの人気はこの国だけではなく、他国にも及ぶため各国の貴族からも送られてきているのだ

僕が2人を出産した時もお祝いの品が凄かったが、その倍はありそうだ



今日は各国から重鎮が大勢来る


僕達は一応主役となるので来賓の人に後程挨拶だけしてあとは大臣達が対応してくれる

この日を狙って刺客を送り込む者もいるので厳重な警戒態勢が敷かれている


あまりの来賓の人数に、警備が追いつかず青の国からラウが厳選した騎士達を借りる事にもなっている


「準備はできた?」

子供達の様子を見に来たら天使が2人いた


アイネは漆黒のストレートの髪をハーフアップにして生花を飾り、真っ白なフワフワなAラインドレスを着ている

フリルも沢山使われていて腰のあたりには頭につけている生花とお揃いの生花でフリルを纏めている

オルガ譲りの赤い目に合わせてアクセサリーも赤い物で揃えた


あー…本当に可愛いなぁ…黒い尻尾に赤いリボンと鈴をつけてるんだけど(本人の希望)それがまた可愛すぎる

歩くたびリンリンなってんの!

アイネを準備してくれた皆もアイネの可愛さにメロメロだ



レインは、黒い3ピースのタキシードを着てる


3ピースのタキシードはこの世界に無くて、僕とソウの提案だ


レインは服に無頓着で、何でも良いって言うもんだから僕とソウがハリキッてしまったわけなんだけども…


3ピースメッチャ似合う!!

海外の子供モデル顔負けだよー!!
髪はオールバックにして、紫のピアスを片耳だけつけてる
スーツは黒地に黒に近い灰色のストライプ線が入っていて光の加減で柄が浮き出る


カッコ可愛いその姿についギューッと抱きしめてしまった


二人が並んだ姿を、ソウが作り出したカメラで何枚も撮りまくる


ソウは録画を開始していて、子供2人から呆れられた


「準備できたのか?」


扉が開いたと思ったら、オルガとラウとカナメが入ってきた


カナメはソウとラウの子供で今年4歳になる


黒髪にエメラルドグリーンの瞳で、ラウ似の為既に顔が完成している

ラウと同じ黒い狼らしく、フワフワな短い尻尾がフリフリしていてギャップ萌えする


「オルガ!ラウ!!見て!!可愛すぎて天使すぎるんだけど!!」

「これはもうアイドルでしょう!グッズとか作っちゃう!?バカ売れ間違いなしだよ!」

「カナメと3人でグループ作っちゃう?絶対やばいよな!!」


僕とソウが興奮してそう言えば2人は呆れた顔をする



「また異世界の言葉で話しだしたな…」


「興奮するといつもこうだからな……」


「アイドルって何だろな?」


「グッズとかな??こんなのを大臣に聞かれたらまーた質問攻めに合うぞ?」


オルガとラウに口々にそう言われる


「大臣はヤバイな…」

ソウが物凄く嫌そうな顔をする

それもそうだ、異世界の仕事や内容、文化や道具をまるで事情聴取を受けるが如く聞かれ続けたんだから


そして結局道具を作らされているソウからすればこれ以上は絶対嫌なんだろう

ただの大学生だったソウが知ってる知識なんて研究者じゃあるまいし、そんなにないのに「俺日本にいた時より頭良くなってる、絶対。」と言うくらい頭をフル回転させ道具を作っている


「ほら、少しお腹に何か入れないと式典を乗り切れないぞ。食堂に行こう」


今日は先に子供達のお披露目があって、その後即位式だから子供達は即位式の時に別室で休憩を取らせる予定だ

本当は即位式に子供達も出席するべきだが、今回はあまりにも他国からの来賓が多い上に警護の人数が足りない

そんな中、子供達を同席させるより僕とオルガの結界の中で専属騎士達と一緒に居てもらったほうが安心なんだ


子供達は長い式典を大人しく座ってられないから…



食堂で手早く軽食をとり、僕とオルガが着替えに向かう


子供達は叔父上と最終段取りの確認の為に先に式典会場へ行っている

護衛には専属騎士達とソウ達が付き添ってくれているので安心だ


侍女達に着替えを手伝ってもらい、髪をセットしてもらう


今日僕が着るのは、ちょっと女性っぽいデザインだ


首元にフリルがあしらわれたシャツにジャケットだけど、腰元で絞られていて前側はベストの様な形になっているが、背後は足首まで長くなっていて裾がフリルになっている

某歌劇団のような衣装となっていてなんだか恥ずかしい

真っ白な生地で作られていて、襟元や腰元、裾のところに赤い宝石が散りばめられている

この衣装は、僕がオルガの番って事を表している

その為オルガの色だけを身につけるのだ


オルガも僕の番って事を表すために、漆黒の生地で衣装が作られている


軍服の様なスタイルで、胸元に勲章が幾つもついていた


この国の物だけじゃなく、他国からの賞された物もあった


そしてその上から濃い紫のマントを羽織る

マントの背の部分には白銀の糸でこの国の象徴がデザインされている


この国の象徴は白いライオンと勇者の剣だ


この国を創った勇者そのモノが象徴となっている




「オルガ、準備できた?」


自分の準備が終わり、オルガの元へ行くと丁度マントを執事に整えて貰っているところだった


「ユーリ……凄く綺麗だ…」


オルガは満足気に微笑んだ


「オルガの方こそ……カッコ良すぎる………」


だって髪の毛をオールバックにしてて、綺麗な赤い瞳が惜しげもなくさらされている


彫りが深い顔立ちだけど、色が白いから派手ではない

まるで作り物のような完璧な姿にきっと皆釘付けになるだろう


僕の髪型は珍しくウェーブにしセンター分け

コメ髪の所を少し編んであって髪飾りをつけられた


かっこいい系ではなく確実に可愛い系の格好だ


「さぁ、お二人共並んでください。賢者様から写真を撮るようにいい使っておりますので。」


執事長が、ソウが持っていたカメラを構えている


アイツいつのまに執事長に頼んでたんだ?


言われるがまま隣に立ち写真を撮ってもらう

その後も写真撮影は続けられた

言われた通りのポーズで何枚も撮影し、式典前から疲れてしまった





子供達と合流して、皆にも結界を張る

僕は普通の結界だけどオルガ、僕の結界の上からかけたのは攻撃を相手に跳ね返す呪い付きの結界だ


…異世界人でもないのにどうやってそんな魔法を使ってるんだろう?


ソウとラウとカナメは青の国の代表できているのでここでお別れだ


式典が終われば今日は家に泊まることになっているので、夜通しお喋りすることにしている




「ではそろそろ式典が始まります。」



叔父上の言葉の後に式典が始まる笛の音が響いた





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