人気者達に何故か俺が構われすぎてます。

どらやき

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 目が覚めると夜7時を回っていて、急いでご飯の支度をし始めた。


冷蔵庫に何があるのかのぞくと、驚く程に何も無かった。


そういえば母さん····


『冷蔵庫の中身何にもないから、はい。5000円置いておくから出前とってもいいしスーパーに買いに行っても良いからね。』


そう言っていたことを思い出した。


机の上には5000円が置かれていた。


財布の中身を確認すると夜ご飯を買うには十分な程お金が入っていた。


そういえば、部屋の貯金箱の中には結構しっかりな額が入っていた。


(まぁ、怖くてATMに入れたけど。)


親が俺専用のATMを作ってくれた。


おまけにスマホにも結構な額の電子マネーが入っていた。


(持ち過ぎだろ······。)


だから5000円は貰わないことにした。


*****


「春だっていうのに、もう暑いな。」


半袖の白Tと黒の長ズボンを履いてきたので汗ばんで気持ち悪い。


今日は近くのスーパーに行くことにした。


道をダラダラと歩いていると後ろから猫の鳴き声がした。


「······ん?」


気になって後ろを振り向くと歩くのもやっとなボロボロになった子猫が居た。


子猫はまるで俺に助けを求めているかのように最後の体力を絞り出して俺の足にすがり付いてきた。


ミャア····


弱々しい声が聞こえた。


俺はその子猫をすぐに抱き抱えて近くに動物病院がないか走って探した。


「クソッ·····どこも閉まってる!」


スマホはうんともすんとも言わない。


走り回っていると、俊介に会った。


「俊介!」


俊介は振り向くと俺に気づいた。


「おー!春馬····ってえ?」


俺は俊介の傍によると、泣き声になっているにも関わらずすがった。


「俊介っ!どこかに動物病院ない!?」


聞くと俊介は俺の腕を引いてひとつの動物病院に連れて行ってくれた。


その後は獣医に任せて俺は待合室で待っていた。


自分の手が震えて冷たくなっているのが分かった。


人の死は、俺にとって1番良くないもの。


でも、それは動物も同じ。


「春馬!」


俊介が下を向いた俺に寄ってきた。


「あの猫、助かるって!」


俊介が言うには骨には異常はないらしい。だけど、肉体的に大きなダメージを受けている為しばらくの入院が必要らしい。


「·····そっか、良かった···。」


安堵の息を吐いた。


「ん?ていうか、ここって何処?」


「ここは俺の家。俺ん家親が動物病院を経営してるんだ。」


(あー、だから何かと動物に詳しい訳だ。)


「すげぇな。」


ゲームではプロフィールに"動物に詳しい"としか書いてなかったからそこまでは俺も知らなかった。


それにがあるなんて知らなかった。


(·····いや、違うか。)


俺はこの世界に来て気付いたことがある。


ここは俺の世界で言う2次元に専属する世界だ。


でも実際は違う。ただの3次元なのだ。


シナリオはもう少しずつ狂っていると俺は知っている。


(まぁ、思えば主人公が俺の席じゃない時点で狂ってたもんな。)


だから、俺は俺が死ぬ前の世界と同じ構造になっていて、ただ普通に生きているだけ。


イベントがあるのは確かだと思うけどこんな想定外が起きるのは当然なのだ。


俺は改めて生きる事を実感した。






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