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(······あ、あっぶねぇ~!)
俺は今病院へ向かって走っている。
あの場に居てはいけないと俺の本能が言っていたので走って逃げてきた。
(·····にしても、悟先輩の声·····)
思い出すだけで少し恥ずかしくなる。
(って!これじゃ惚れてるみたいじゃん!?)
違うからね!といない誰かに向かって叫んだ。
俺が1人でモンモンしてるとあっという間に病院に着いた。
「あの、子猫を·····」
看護師さんに声をかけた。
「あ!春馬さん!子猫を見に来ましたか?」
どうやら沢山の人に顔を覚えられているらしい。
「はい。」
こちらです、と案内されて子猫のいる部屋へ入った。
そこにはスヤスヤと気持ち良さそうに寝ている子猫の姿があった。
「可愛い·····」
そう呟いていると獣医さんが来た。
「春馬さん。お久しぶりです。」
(あ、俊介のお父さん·····)
「お久しぶりです。」
「いや~びっくりしましたよ。」
「え?」
「この子猫回復がとても早いんですよ。体は弱いはずなのに今じゃとても元気なんですよ。この様子だと今日退院出来そうですよ。」
「本当ですか!?」
「はい。」
俺はホッと胸を撫で下ろした。
しばらく子猫の様子を見ているとニャアと目を覚ました。
「····起こしちゃったかな?」
手の甲を子猫に向けるとザラザラした舌で舐めてきた。
生温かさに生きているんだなと感じる。
それと同時に目頭が熱くなった。
「····お前、家来るか?」
小さい体を起こしてまるで返事をするように俺の腕にすがりついてきた。
ニャア
可愛らしいその声は愛しさを感じさせる。
その後は獣医さんの許可が降りて俺は子猫を家に持ち帰る準備をした。
子猫は元気が有り余っているのか俺の肩にジャンプして乗り移った。
「うおっ!?」
ニャア
肩から子猫を下ろしてもまたすぐに飛び乗ってくる。
(たっく、可愛いヤツめ。)
ちなみにこの子猫はオスだ。
俺は諦めてそのまま肩に乗せたまま帰ることにした。
*****
「た、ただいま~。」
玄関をあけて置いてある靴を見ると、父さんの靴があった。
(もう、帰ってきてるんだ。)
俺はふぅと息を吐いてリビングのドアを開けた。
「あ、春馬おかえり~。」
母さんは夜ご飯を作っていて俺が肩に子猫を乗せていることには気づかなかった。
「あの、父さん·····」
ソファに座っている父さんに声をかける。
「ん?あ、おかえり春馬。···その猫どうした?」
「あのね、怪我してて、····お家がないんだこの子猫。····俺、責任もってお世話するから、だから·····この子猫を家族に迎え入れてくれませんか。」
頭を下げて言った。
子猫も承諾して欲しかったのか、肩から床におりてペコっと頭を下げた。
父さんと母さんは顔を見合わせて言った。
「迎え入れてくれませんか····って春馬らしい言い方だな。」
「え?」
「家族が増えることに異論はない!なぁ美紅さん?」
「えぇ、賑やかな方が好きよ。」
俺はてっきり反論されると思っていたから思わず涙が出た。
「ありがとう、父さん母さん。」
子猫の名前は俺が決めていいと言われたのでシルクと名付けた。
俺は今病院へ向かって走っている。
あの場に居てはいけないと俺の本能が言っていたので走って逃げてきた。
(·····にしても、悟先輩の声·····)
思い出すだけで少し恥ずかしくなる。
(って!これじゃ惚れてるみたいじゃん!?)
違うからね!といない誰かに向かって叫んだ。
俺が1人でモンモンしてるとあっという間に病院に着いた。
「あの、子猫を·····」
看護師さんに声をかけた。
「あ!春馬さん!子猫を見に来ましたか?」
どうやら沢山の人に顔を覚えられているらしい。
「はい。」
こちらです、と案内されて子猫のいる部屋へ入った。
そこにはスヤスヤと気持ち良さそうに寝ている子猫の姿があった。
「可愛い·····」
そう呟いていると獣医さんが来た。
「春馬さん。お久しぶりです。」
(あ、俊介のお父さん·····)
「お久しぶりです。」
「いや~びっくりしましたよ。」
「え?」
「この子猫回復がとても早いんですよ。体は弱いはずなのに今じゃとても元気なんですよ。この様子だと今日退院出来そうですよ。」
「本当ですか!?」
「はい。」
俺はホッと胸を撫で下ろした。
しばらく子猫の様子を見ているとニャアと目を覚ました。
「····起こしちゃったかな?」
手の甲を子猫に向けるとザラザラした舌で舐めてきた。
生温かさに生きているんだなと感じる。
それと同時に目頭が熱くなった。
「····お前、家来るか?」
小さい体を起こしてまるで返事をするように俺の腕にすがりついてきた。
ニャア
可愛らしいその声は愛しさを感じさせる。
その後は獣医さんの許可が降りて俺は子猫を家に持ち帰る準備をした。
子猫は元気が有り余っているのか俺の肩にジャンプして乗り移った。
「うおっ!?」
ニャア
肩から子猫を下ろしてもまたすぐに飛び乗ってくる。
(たっく、可愛いヤツめ。)
ちなみにこの子猫はオスだ。
俺は諦めてそのまま肩に乗せたまま帰ることにした。
*****
「た、ただいま~。」
玄関をあけて置いてある靴を見ると、父さんの靴があった。
(もう、帰ってきてるんだ。)
俺はふぅと息を吐いてリビングのドアを開けた。
「あ、春馬おかえり~。」
母さんは夜ご飯を作っていて俺が肩に子猫を乗せていることには気づかなかった。
「あの、父さん·····」
ソファに座っている父さんに声をかける。
「ん?あ、おかえり春馬。···その猫どうした?」
「あのね、怪我してて、····お家がないんだこの子猫。····俺、責任もってお世話するから、だから·····この子猫を家族に迎え入れてくれませんか。」
頭を下げて言った。
子猫も承諾して欲しかったのか、肩から床におりてペコっと頭を下げた。
父さんと母さんは顔を見合わせて言った。
「迎え入れてくれませんか····って春馬らしい言い方だな。」
「え?」
「家族が増えることに異論はない!なぁ美紅さん?」
「えぇ、賑やかな方が好きよ。」
俺はてっきり反論されると思っていたから思わず涙が出た。
「ありがとう、父さん母さん。」
子猫の名前は俺が決めていいと言われたのでシルクと名付けた。
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