人気者達に何故か俺が構われすぎてます。

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俺は今、保健室に逃げている。

何故かと言うと、まぁ、言わなくても分かるか。

そう、主人公である虹宮唯から逃げる為だ。俺と席が隣という事もあって、授業中だと言うのに、席をくっつけてきたり、頬にキスをしてきたり·····。

ゲームの世界である前に、俺は男だ。

前世では、というか今でも恋愛対象が女の子なのは変わっていない。

それに、虹宮は決まって星吾が見ている目の前でキスをしてくる。

星吾からしたら、俺は遊びの1人に過ぎないが、友達？の前でやられるのは流石に気まづい。

故に、相手は主人公だ。

攻略者である星吾が、主人公とそんな事をしている俺を許さないだろう。

もし、星吾の怒りが頂上に達したら、俺は·······

(いかん！いかん！考えるな！！)

だけど、1つ引っかかる所がある。

それは、俊介や愛希達の前では、越してきた日以来、俺にキスをしないのだ。

男にキスされて喜ぶ男なんて、そうそう居るはずもなく、勿論俺は嬉しくは、ない。

俊介と愛希は相変わらず、いつもと変わらない態度で俺に接してくるから、俺も安心している。

でも、それが逆に怖い。

(じゃあ、あの時のあれは何だったの？)

俺の中では、いっときの気の迷いとしてあるが、もし··········

(もしだよ！あくまでも、もし！！)

もし、そこに恋愛感情が有るなら、星吾や俊介、愛希、····悟先輩に対して俺は、とても残酷な事を、しているのではないか。

最近、そう考えてしまうようになった。

「あ、園川、体調どうだ？」

桜井先生が、ベットの仕切りのカーテンを開けてこちらを覗き込んできた。

「体調は、大丈夫です。」

邪魔になるだろう、と思い帰ろうとした。

「体調 は？」

そう発した桜井先生の方を見ると、何やらニヤニヤしていた。

「え、何ですか。」

すると、保健室のイスに座り、戻ろうとする俺の腕を掴んできた。

「悩みとかあんのか？聞くぞ？暇だしな。」

そう言って俺の胸ポケットに飴を入れてきた。

(·····ど、どうしよう。)

俺が悩んでいるのは、男関係のことで、言ったら引かれるのではないか？

(あ、でも、桜井先生も恋愛対象が男だったら？)

俺があの時見たものが真実であれば、きっとそうだろう。

俺は、腹を括った。

「あの、····引かれるかもしれないんですけど、聞いてくれますか？」

少し沈黙があったあと、驚いた顔をした桜井先生は、ふっと笑って、

「引きはしねぇよ。誓う。·····まぁ、話してみろ。楽になるかもだぞ。」

と、答えてくれた。