兄弟がイケメンな件について。

1章

six

｢お兄さん、俺らとイイコトしない？｣

(俺、死んだわ。)

｢ねえ？ちょ～っとあっちに行くだけだからさ。ね？｣

(ひ、ひぇ～)

やばい。冷や汗止まらん。てか、よく見たら結構なイケメンじゃん！

これ断ったら殺されるのかなー······。
さらば！俺の命！

ガシッ

(わ、WOW····俺のぷにぷに二の腕掴まないで····てか、案外力強いなおい。)

命は大事にしようと思うものの、やっぱり怖いものは怖くて······

｢あ、あの～俺この後用があって····｣

｢えぇ～そんな事言うなって。行こー？｣

(ふふふっ。ムカついてきた。)

｢まじで、そろそろ離せって！｣

バシッ

｢·························｣

(あ、やべ。やっちった。てへへ。)

ムカついて腕をバシーンってやったらイケメンさんの顔に当たってグラサンが取れた。

｢········す、すみません。｣

お辞儀をして謝って相手の顔を伺うと···

(·····え？この顔どっかで····)

｢あ！もしかしてっんんっ！？｣

名前を言おうと思ったら手で口を抑えられた。

((ﾎﾞｿｯ…名前言うのはやめてね。困っちゃうからさ。

｢お、おう。｣

｢じゃあ、俺達はこれで。｣

｢えぇ～もう！？まだ遊んでない。｣

｢はいはい。ナンパも程々にね。｣

そう言ってあの人は帰っていった。

あの人は何もしてこなかったな。付き合わされてただけか。

 
俺がしばらくフリーズしていると、

｢朔！探したよ。どこに居たの？何かあった！？｣

楓兄が息を切らして聞いてきた。

｢あ～何もなかったよ？｣

｢ホント？｣

｢ホント。｣

｢ホントは？｣

(こういう時の楓兄は厄介なんだよな～。答えなきゃ拗ねるんだよなあ～。)

｢な、なんかあの俳優さんがいた。｣

｢あの俳優さん？｣

｢うん。今人気の、有真翔月かける。｣

｢まじ？｣

｢うん。｣

｢そっか·····｣

(？なんか不服そうな顔してる。······あ！)

｢はい楓兄！ピーチフラペチーノ！｣

｢え、ありがとう！俺がピーチ好きなの覚えてたの！？｣

｢え！？ま、まぁね！｣

(あっ、ぶねぇ！これで覚えてないとか言ったらぶっ飛ばされそう。)

その後は珀兄が何故か俺専用に服を10着以上買ってきてくれて、葵兄は今人気過ぎて手に入らない靴を俺の為に買ってきてくれた。

(いや、嬉しいんだけどさ。一体俺にいくら使ったの？)

｢珀兄、葵兄。買ってくれるのはものすごく嬉しいよ。でもね、今日この服と靴でいくら使った？｣

｢ん～？分かんない。｣

｢俺も。｣

(こいつら、揃いも揃って······！)

｢まぁ、可愛い弟に金を使うのは当たり前だ。｣

｢諦めろ我が可愛い弟よ。｣

(クッ·····俺は諦めないぞ！）

※駐車場にて

｢もう帰るら？｣

｢え？俺の行きたい所行ってないよ。｣

(え、嘘でしょ。もう疲れた。)

｢どこに行くの？｣

｢それはお楽しみに。ね？｣

(クッソイケメンめ！)

葵兄の目的地の為、葵兄が運転することになった。

俺は助手席で後部座席に楓兄と珀兄が座っている。

2人とも爆睡だ。寝てる時の顔もイケメンとか羨ましいわ。俺にその顔よこせ！ 

諦めないと誓った俺は今日買ってもらった服と靴をあらゆる手を使って調べた。

(············おい。何だこの額······。1回の買い物でこの額は流石に初めてだ。よし、後でお説教だな。)

なんと、靴屋と服屋両方相当なブランドらしく合計98000円だった。

俺はこの金額を見て今後一切お強請りをする事はやめよう。そして、兄達を散財させないように努力しようと誓った。