兄弟がイケメンな件について。

どらやき

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3章

eight

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「······どうしたいって?」

兄達の真剣な目が俺に向けられる。

「そのまんまの意味だ。お前は珍しい血筋だ。これから危険な目にあうかもしれない。もちろん、俺達は全力でお前を守る。·······こんな不甲斐ない兄弟と一緒に居ても良いのか?」

(·····不甲斐ない······)

どの言葉よりも俺の大好きな兄達が侮辱されるのは1番嫌なことだ。

「良いの。·····兄達と一緒がいいの!」

もう迷いなんてしない。

二度とこの手を離すもんか。

俺が自信満々に応えると、兄達はとても安心したような顔を見せた。

「ふっ、そうか。」

珀兄の目には少し涙が溜まっていた。

「うぅ·····さくぅぅぅぅぅ!!!」

「うおっ!?」

俺の元に楓兄が抱き着いてきた。

「あっ!?狡いぞ!楓兄!」

「はぁ?朔を独り占めすんのは兄の特権ですぅ!」

と、楓兄と來は口喧嘩をしていた。

(微笑ましいな。)

「おい、楓、來、朔が困ってるだろ。」

そう言って秋兄は楓兄と來を俺から意図も簡単に引き離した。

「·····ありがとう、秋兄。」

「··········ばーか。」

その大きな手で俺の頭をぐじゃぐじゃと撫でてきた。

不思議と、秋兄の耳は赤く染っていた。

「「朔」」

次に呼ばれたのは尚兄と葵兄だった。

「尚兄······仕事は?」

(ま、まさか!?)

「え、休んだよ?」

(ですよね!?)

「って、ダメだよ!」

尚兄が俺の言葉にしゅんとした。

「朔以上に優先すべき事はないよ。」

そう言って俺は尚兄の膝の上に座る形になった。

「ちょ、尚ばっか狡い。」

葵兄は尚兄から俺を引き離すと、渡すもんかと言わんばかりに俺を強く抱き締めた。

(oh......デジャブ·····)

葵兄は俺の胸の中に顔を潜めて、すぅはぁしていた。

(······これがイケメンじゃなかったら、大変なことになってるな·····)

少し引きつつも、込める力が強くそろそろ離して欲しくなってきた。

「あ、葵兄あのさグゥゥゥ」

「「「「「「「····················」」」」」」

それまで賑やかだった空間が俺の空腹の音で一気に静かになった。

(恥ずかしぃ!!)

目をギュッと瞑って唇をギュッと噛んだ。

そして、沈黙は続いたまんまだ。

俺はとうとう痺れを切らして、

「·······なんか言えよ!!?」

思いっきり叫んだ。

「ぶっ、あははっ!!わりぃ、わりぃ。面白くて静止してたわ笑」

腹を抱えて弦兄は笑った。

「う、·····なぁっ!?」

からかわれて弦兄の方を思いっきり睨むと、珀兄が俺の頭をポンッと叩いた。

「はいはい。兄弟喧嘩は後な。飯作るぞ。」

「!ありがと!!」

その後は、珀兄が沢山ご飯を作ってくれた。

もちろん、全部完食です。




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