幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ

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耳かきその後

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「早く帰りたいです……」
「なぁ、あの漬物食べたいなあ」
「やっぱりセデル村が一番だよなぁ……」

がたごと、がたん。

帰り道の馬車の中、私たちは完全にホームシック村民モードだ。
王都のにぎわいも、甘い焼き菓子も、豪華な宿も、それなりに楽しかったはずなのだけれど――最終的に恋しくなるのは地元の味と畑の匂いと、村のみんなの顔。

そしてあの耳かき。

そう、あの耳かきは返さなかった。
いや、正確には「入れ替えた」。

「王国騎士団にあった似たような銀製の耳かきと、こっっそりすり替えてきたわけだな!」

兄様が胸を張る。

「そうですね。何も盗んではいません。交換しただけです」

「交換って言い方、ずるいな……」

父様は苦笑していたが、止めなかった。

「いや、だってさ……」

兄様がクッションに頭をぐでーと預けながらぼやく。

「本物ってわかってたら、あれ持ってる人、捕まるって感じだったよな?」

「そうですね。盗人をおびき寄せる罠としか思えませんでした」

「教会こえぇ……」

父様も小さく震えている。まぁ、あの会話を聞いたら震えますよね。

「まあ、あれが本物ならそのうち誰か気付いて教会にもどるだろう」

兄様、相変わらずポジティブである。





そして、数ヶ月後。

村に戻ってしばらく経った頃、ギルバート様――王国騎士団のあの爽やか紳士からお手紙が届いた。

封蝋までキッチリしてて、相変わらず字が綺麗である。

「ほうほう……王国騎士団、大活躍したらしいぞ」

父様が読み上げながら目を丸くした。

「何年も王都を騒がせていた盗賊団を、一網打尽にしたそうです」

「おおっ! すごいじゃねーか!」

兄様も嬉しそうだ。自分のことのように手を叩く。

「しかも、騎士団の動きがやけに良かったらしく……それで、耳かきが話題になったらしい」

そこで父様は読み上げの手を止め、そっとこちらを見た。

「……まさか」

兄様と私もそっと目を合わせる。

「例の聖女の耳環オーリキュラー・グレイスらしきものが騎士団にあったのが見つかり、

罰として騎士団が田舎に派遣されることになったようだ。」

「なんでだよ」

兄様のすばやいつっこみ。



どうやら――

・耳かきが本物と断定できない(断定する方法がないらしい)が、効果が出てしまった
・誰が持ち込んだかは不明、騎士団関係者が教会から盗んだ可能性もゼロではない
・押収品を勝手に使った疑いあり
・でも盗賊団検挙の成果もでかい

ということで、議会は揉めに揉めたらしい。

結果として――

「連帯責任で団員を何名かずつ地方の田舎に派遣することで罰にすることにしたそうです。」

「罰……?」

「王都のボンボン騎士様たちにとっては、田舎生活はそれなりに厳しいらしいですよ」

兄様はにやぁ、と口元をゆがめた。

耳かきを交換した時はそこまで考えたわけではなかったが、王国騎士団にはちょっとした貸しがあるので、それぐらいは許されるだろう。
結果、騎士様達の能力も上がったわけだし。


「セデル村にも騎士様が来られる。短期間の魔獣討伐と治安支援のために」

セデル村に騎士が来るのはありがたいことだ。
辺境には強い魔獣に備えて自前の騎士団があるけれど、私たちのような小規模な村では、魔獣が出ても対処が難しい。

「……」

「……」

「……イケメンだといいです」

「リナお前、正直だな」

「誠実な騎士様ならどなたでも歓迎ですけれど……できれば、背が高くて、落ち着いたタイプですと嬉しゅうございます」

「いや具体的ぃ!!」



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